「村上春樹氏にエルサレム賞を辞退するよう働きかけよう」という動きに対する反駁の意見は、ネット上で散見される限り、次の二点が中心的であるようだ。 1 村上氏の文学は、その内容自体が、最終的に戦争やさまざまな争いの解消に向かうことを訴える性質のものである。今回のガザでの事態に関して(も)村上氏が作家としてなすべきこと、出来ることは、その作品を(イスラエルの人たちにも)広く読んでもらうことである。 だから、賞の辞退などの直接的に政治的と思われる方法はとる必要がない(そういう手段をとるかどうかは、本人の自由である)。 2 イスラエルの人たちに対するアプローチとしては、賞の辞退などの直接に政治的・批判的な手段よりも、村上文学を広く読んでもらうことで「平和」への志向を深めてもらう、いわば精神的に平和を尊重する方向に進んでもらうという手段の方が、むしろ有効である。 直接的な働きかけは、無力であるに決まっ