ことばの研究 高校3年生は、「新・常用漢字」をどのくらい読めるか(2) 〜「全国高校3年生・漢字認識度調査(11,000人回答)」分析報告〜 2009年11月「放送研究と調査」 2009年10月「放送研究と調査」に掲載された「(1)集計報告」の続稿。 国の「常用漢字表」を見直す「試案」に掲載された漢字について、353題の出題を全国の高校3年生1万1,000人余りが回答し、新たに漢字表に加わる191字を試案の範囲内の音訓で使った265題や、試案で新たな漢字表に加わらなかった字や音訓を使った84題などの回答を分析した。 追加される191字について、試案に掲載された音訓を使う出題は、80%以上の高い正答率のものも多かったが、高校3年生の半分以下しか読めない字も少なからずあった。たとえば「領袖」「陶冶」「進捗」「招聘」「忌憚」「痩身」「間隙」などは、正答率は10%未満である。視聴者全体にとっても
現場の疑問 Q&Q 視聴者の疑問 「幕間」の読みと放送での表記は? 読み×〔マクマ〕→○〔マクアイ〕 表記×「幕合い」→○「幕あい」 場合により「幕間」とも書く 09.09 「芝居で一幕が終わって次の幕が開くまでの間」を指す「幕間」は、「まくあい」と読むはずですが、「まくま」という読み方も耳にします。放送では、どのように読んでいるのでしょうか。 「幕間」は 〔マクマ〕と読まれることも多いようですが、放送では演劇・芝居の世界での伝統的な読み方・言い方に合わせて〔マクアイ〕と読んでいます。また、「幕間」の「間」を〔アイ〕と読むのは表外音訓(常用漢字表にない読み)なので、放送での表記は「幕あい」にしています。しかし、場合によっては(番組の趣旨・内容によっては)「幕間」と書き表すこともあります。「幕合い」とは書きません。 【解説】 「幕間」〔マクアイ〕について『演劇百科大事典』(平凡社)は
ことばの研究 ウサイン・ボルトの“ I ”は、なぜ「オレ」と訳されるのか ~スポーツ放送の「役割語」~ 2009年3月「放送研究と調査」 北京オリンピックを伝えるNHKの放送に出た翻訳テロップである。このテロップを見ただけで、日本語を母語とする私たちは、話者について何らかのイメージを思い浮かべることができる。①は力強さと自信をもっている男性、②は華やかさ、または上品さをそなえた女性、というように。 テレビのスポーツ放送における翻訳テロップには、「~さ」「~(だ)ぜ」「~(だ)わ」のような、日本語話者が話しことばとして日常的にはあまり使わないことばづかいが登場する。なぜ、現代の日本人はそんな話し方をしないにもかかわらず外国人のインタビューには使われるのか。特にスポーツ関連のニュースやドキュメンタリーというノンフィクションで使われているのはなぜか。本稿では、北京オリンピック放送に出た翻訳テロッ
毎年おこなわれているスポーツ大会について、ことし(2008年)、「○○高校は、2大会ぶりの出場です。」と言った場合、前回の「出場」はいつだったことになるのでしょうか。 多くの人は、「前回の出場は2006年」ととらえるようです。しかし人によって解釈に違いがあり、中でも年代差が非常に大きいので、放送ではできるだけ別の言い方をしたほうがよいでしょう。 【解説】 「2か月ぶりの雨」「2年ぶりの出場」などの「〜ぶり」は、ある特定の状況(=「降雨」「大会への出場」)がいったん消え去り、一定の時間の経過(=「2か月」「2年」)に伴って再び同様の状況が現れることを表現します。つまり、例えば「2年ぶりの出場」という言い方であれば、現在(2008年)から「2年」を引いた「2006年」が、前回の出場ということになります。 ところが今回の「2大会ぶり」は、それほど単純ではありません。 1つの解釈としては、その
ことばウラ・オモテ ヤマかサンか 08.04 日本の地名には、自然の地形を示す漢字を取り入れたものが多く見られます。 川はほとんどが「○○川」となるのが一般的です。池や沼、湖も同様で、地名を読むにしてもあまり迷うことはあまりありません。 ところが、山の場合は、「○○山」「○○岳」「○○嶽」などさまざまな表し方があります。 「○○山」も「○○ヤマ」であったり「○○サン」「○○ザン」であったりします(ほかに「セン・ゼン」の読みもあります)。「岳」も「ダケ・ガク」どちらか迷うことがあります。 相撲のしこ名も「サン」「ザン」両方あります。 やはり山は「山容」ということばがあるように、山の姿、形、存在感、生活との結びつきなどで呼び方が変わるのかもしれません。 手もとにあるNHKアナウンス室と放送文化研究所の合同編集の『全国市町村名の読み方』には、のべ302の「○○山」が載っていますが、「ヤ
ことばウラ・オモテ はがきの呼び方 08.03 時代が変わると、ことばも変わると言われていますが、現代ほど長期間にわたって変化が激しく続く時代はこれまで経験したことがないかもしれません。 明治維新や戦後の復興期もかなりの年月を費やして日本文化が脱皮をした時期だと言えるでしょう。 この2回の改革期は、一つの方向への変化でしたから仕組みは単純だと考えられます。 現代は、世界的なアメリカ文化の波と、日本固有の文化のせめぎ合いと見えますが、よく見ると日本文化の変質も同時に進み、片方では国際的な発信への要求も高まっています。そのほか、各国文化の流入もやむことはなく、一つの視点で見るわけにはいかなくなっています。 ことばも、「外来語の急激な流入」について、「もはや止めようがない」と言う人さえいます。 このような流れの中で、新しい物事はどんどん生まれ、ことばが足りなくなる様相をかいま見ることが
※司会は、メディア研究部 塩田雄大専任研究員 座談会で議論になった主な論点は次の通り。 NHKの放送のことばはどのように創られてきたか 放送のことばが日本の社会生活を支えるお手本の役割を果たしてきた アナウンサーをはじめ放送の最前線で働く人たちは手探りの奮闘を重ねた 放送用語委員会は放送のことばの基準づくりの役割を担った 文研と他機関との共同研究も過去に大きな業績をあげた 方言と共通語の関係は常に微妙で複雑だった テレビの文字表記は聴覚障害者のみならず高齢社会の大きな課題となる さまざまな調査が放送用語研究の根幹であることに変わりはない 放送は新聞文体から離れて「生活のことば」「耳のことば」を目指すべき ことばの変化に「半歩」遅れてついていくのが放送のことばの基本姿勢 放送のことばの中に新しい表現を探し求める努力をすべき 放送用語委員会は新しい調査研究方法を開発し放送と日本語の未来を切り開
以前、『真逆』という言葉について取り上げました。辞書には載っていませんが、最近“正反対、まったく逆”の意味で使われている言葉ですね。その後、「映画業界のことばではありませんか?」とお便りをいただきました。調べたところ、照明技術の一つに【真逆】があることが分かりました。通常、人物などは正面からライトを当てますが、その逆、つまり頭の真後ろからライトを当てて、わざと顔を暗くする手法を【真逆】と呼んでいるのです。この手法は、アメリカの映画監督がレンブラントの絵からインスピレーションを得てはじめて取り入れ、日本の映画界でも昭和初期にはこの技法が使われるようになりました。ということは、80年近く前から「真逆」という言葉はあったと言えそうです。その後、芝居やテレビなどにも広がり、照明だけでなくカメラなども、正反対、180度逆の位置からとる時にも真逆を使うようになりました。最近、タレントが使うようになって
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