小幡績くんが財政出動の話をしている(その1、その2)が、そのポイントはきわめて基礎的で、本当に普通の話である。それゆえ、多くの人に正しく理解しておいてほしいことなので、もう少し普通に(やや教科書的に)解説しておきたい。私自身の授業でも取り上げており、昨年度にこの話をしたときの講義レジュメの該当箇所を引用すると、次の通りである。 需要不足は、積極的財政政策によって解消することができるのか。 (中略) 単一均衡か複数均衡か:均衡状態が唯一である場合には、その状態を改善するためには、均衡を規定している構造パラメータ(いわば体質)を変えるしかない。例えば、構造的な需要不足を財政支出の拡大で支えても、財政支出の拡大を止めれば、元に戻ってしまう。しかし、永久に財政赤字を続けるわけにはいかない。 他方、均衡状態が複数あり得るときには、構造パラメータが変わらなくても、政府が政策的にショックを加えることで、