前回の記事から、1年が過ぎてしまった。この間、ことばと漢字を巡る仕事に追われ、一つ一つ対応していたのだが、ことばと漢字に関して新たに考えさせられることが増えてきた。韓国の南端にある済州島で開催された漢字に関する学会のことを書きつつ、触れていきたいと思う。 韓国の人が書く手書きのハングルは、今や横書きがほとんどで、崩したり続けたりした字形が目立つ。「ㄹ(リウル)」や「ㄷ(ティウッ)」(それより1画多い「t」の有気音の部分においても)が「乙」のように書かれる。なるほど、リウルを終声を表すために合字に取り込んだ韓国の国字では、「石」などの下に「乙」となったのも分かるような気がする。文字史の中では、チベット系の字形が影響しているとも言われるハングルだが、いずれにせよすでに独自の変化が生じていた。 日本人は男性作家、若年女性などが「口」をしばしば「○」とサラッと書いて済ますが、こちらでは、「ㅁ」(m
