米イェール大学の研究者たちが、胴体を除去した豚の脳に対する血液循環を人工的に回復させ、最大36時間にわたって生存させていた。米国の学会で3月28日に発表されたこの研究が、倫理的論争を呼び起こしている。
中部大学の津田一郎教授が1987年に提案した数理モデルが、海外の数学者らによって証明された。このモデルは人が脳で連想記憶を行う機構の一端を説明するもので、当時の数学的手法では証明できなかった。今回、ブラジル・リオデジャネイロ連邦大学の数学者らが、コンピューターを用いる数値シミュレーションで検証に成功し、初めて数学によってモデルの正しさが明らかになった。 31年前、津田教授は大脳新皮質内のニューロン(神経細胞)のネットワーク構造を模擬した神経回路モデルで連想記憶の研究に着手。神経回路には記憶に達する途中の状態(疑似アトラクター)が一時的に留まり、複数のニューロン間をカオス(無秩序)的な状態で行き来しながら最終的に秩序のある記憶になる数理モデルを提案し、数値シミュレーションを実施。しかし、無限小数の有限化や四捨五入などの誤差により立証はできなかった。今回、誤差内に真の解があることを保証する数学
理化学研究所(理研)が、任期なしの無期雇用研究者を2024年度末までに4割程度まで増やすことを盛り込んだ新たな「中長期計画」をまとめた。松本紘理事?が5日、記者会見して公表した。無期雇用研究者の大幅増員は、若?研究者に?期間安定して研究に取り組める環境を与えて優れた成果を上げてもらうのが狙い。現在多くの研究機関で研究者の雇用制度見直しの議論が行われており、理研の方針が注目されている。 5日に発表された新たな中長期計画は、「Ⅰ.研究開発成果の最大化その他の業務の質の向上に関する目標を達成するためにとるべき措置」「Ⅱ.業務運営の改善及び効率化に関する目標を達成するためにとるべき措置」「Ⅲ.財務内容の改善に関する目標を達成するためにとるべき措置」「Ⅳ.その他業務運営に関する重要事項」の4章で構成されている。理研の中長期計画公表に先立ち、文部科学大臣が3月1日付で理研の7年間にわたる「中長期目標」
人間の場合には、成長に伴って脳の海馬でのニューロン新生が減り、成年に達すると完全に停止することを報告する論文が、今週掲載される。 ニューロンは電気インパルスを伝える細胞で、海馬内でのニューロン新生は、記憶、気分、ストレス、運動、神経疾患と関連する過程だと考えられている。一部の哺乳類では、成体になっても海馬でのニューロン新生は続き、これまでの研究では、人間の場合も海馬でのニューロン新生が成人期まで続くことが示唆されていた。ニューロン新生の研究は、学習過程、情緒障害、および神経変性疾患の理解を前進させる可能性があると考えられてきた。 これに対して、今回のArturo Alvarez-Buyllaたちの研究では、ニューロン新生がこれまで考えられていたほど長くは続かないことが示唆されている。この研究では、胎児から成人までのさまざまな年齢の被験者から合計59点の脳組織検体を採取し、マーカー抗体を使っ
博士課程学生を対象とするアンケート調査から、不確実な未来への不安や、指導教員への不満が強い一方で、博士課程全般に対する満足度は高く、研究者としての就職を望んでいることが分かった。 理系の博士課程学生は、自分の研究生活を気に入っている。けれども彼らの多くが、そのことによって苦しんでいる。これは、Natureが世界各国の5700人以上の博士課程学生を対象に行った調査で明らかになった、最も重要な事実の1つだ。 Natureでは、博士課程学生の生活と進路の目標をさまざまな角度から探るため、2年に一度、同様の調査を行っている。今回、回答者は博士課程全般に対して高い満足度を示していたが、かなり強い不安や心許なさを感じていることも分かった。回答者の4分の1以上が関心事にメンタルヘルスを挙げていて、そのうちの45%(全回答者の12%)が、博士課程で研究に取り組むうちに感じるようになった不安や抑うつについて
Deleted articles cannot be recovered. Draft of this article would be also deleted. Are you sure you want to delete this article? 前書き - 人工知能と脳科学 - 最近のAI (Artificial Intelligence) の進歩はすさまじいですね。特に、深層学習 (Deep Learning) はTensorFlow, Chainerなどのライブラリの普及もあり、一般的に広く使用され、知られる概念になりました。 ところで、Deep Learningの歴史を簡単に紐解いてみると、はじめは脳の計算原理を実装しようとする試み、つまりニューラルネットワーク (Neural Network) の研究からスタートしました。人の脳は100億ともいわれる数の神経細胞からでき
内閣府や文部科学省は、政府予算で研究した科学技術分野の各種データを共有する「オープンサイエンス」の推進に乗り出す。内閣府は専門家会合をこのほど設置、優先して公開する分野を定めた指針を2018年夏までにまとめる。文科省は国立情報学研究所の取り組みを支援する。オープンサイエンスは、学術論文に載った実験データなどを研究者同士が共有することで新たな成果が生まれると期待されている。ただ、産業競争力に直結
海外に住んでいても、日本国内の公募を目にすることがあります。 そのだいたいは「簡易書留で書類を提出のこと」。そして「別刷りをX編Y部印刷」。 単純計算のため、一編の論文を10Pだとして、5編10部印刷するとしましょう。両面印刷にして、10×5×10÷2 = 250枚の紙が必要になります。A4一枚はだいたい4gとのことですから*1、250枚×4[g/枚]=1000gの書類に。重いなあ。 これをFedEx Rates and Transit Timesにていくらかかるか計算してみましょう。行き先は例えば、神戸大学としましょう。 Fedex Pakないし、Fedex Envelopで送付してみることにしましょう。詳しくは表示しません。結果はなんと \[ 100ドル以上 \] おっと、面接に呼ばれました。Skypeダメ?現地でやらないといけないんですね。えっ!旅費は出ないのですか…?そうですか…自
マウスにケタミンを投与する実験で、投与者が男性の場合にだけ、マウスに抗うつ作用が見られることが報告された。 Credit: Adam Gault/OJO Images/Getty 2017年11月14日、ワシントンD.C.で開かれた神経科学会の会議で発表された研究結果は、強力な気分高揚作用を持つケタミンが脳とどのように相互作用するかについての謎をますます深めた。またこの知見は、マウスの行動実験の再現性に関して疑問も投げかけている。 動物の麻酔薬としてよく知られている麻薬ケタミン。数時間以内にうつ状態を改善できる可能性を秘めていることから、精神科医たちは関心を寄せるようになっている。しかし、この薬が厳密にどのように働くかははっきり分かっておらず、多くの研究者たちが、動物モデルを使ってそのメカニズムを解明しようとしている(Nature ダイジェスト 2016年7月号「うつ緩和はケタミン代謝産物
**日本のイノベーション政策の中に科学はない ー科学にも実用志向が求められるようになりました。生命科学は薬剤設計に反映しやすく、基礎と応用が両立しやすい分野です。 「生物学が医学に従属してしまった。医学に役に立たない生物学は存在しないことになっている。生物学は動物を扱う学問と思っている学生は多く、その学生にとっては植物を扱う研究は生物学に位置づけられていない。日本の教育の偏った部分なのだろう」 「科学にとってサポーターの存在は重要だ。天文学はとても多くのファンがいる。宇宙に憧れ、宇宙やその成り立ち、基礎物理を知りたいという思いが研究を支えている。そして人間は生き物であり、自分の存在を知りたいと願う人は多いはずだ。なぜ生物が生きているのか、その成り立ちやメカニズムに迫る研究は多くの人が興味を持つ。本来、生物学はものすごい数のファンがいて良いはずだ」 「一方で、人間に結びつかない生物学を意味の
最先端の研究を支えてきた彼らが… 国内最大の研究機関「国立研究開発法人 理化学研究所(以下、理研)」の非常勤職員が、2018年の3月末以降、大量に雇い止めされることになった。最先端の研究発表や研究事務を長年支えてきた職員たちが、一方的に導入された就業規則によって、職場を去らなければならないのだ。 理研は物理学、工学、化学、数理・情報科学、計算科学、生物学、医科学など幅広い分野で研究を進める、日本唯一の自然科学の総合研究所。1917年に財団法人として創設され、株式会社、特殊法人を経て、2003年に文部科学省所管の独立行政法人として再発足。2015年に国立研究開発法人理化学研究所となった、100年の歴史がある日本を代表する研究機関だ。 その理研が、非常勤職員の契約期間を5年上限とするルールを導入したのは、2016年3月のことだ。非常勤職員たちは戸惑い、労働組合とともに反対の声をあげたが、さらに
ストーリー by hylom 2017年12月19日 15時45分 政治と経営だけでなく科学も二流にならなければよいのだが 部門より 総務省は15日、企業や大学などが2016年度に使った科学技術研究費の総額が18兆4326億円で前年度に比べ2.7%減ったそうだ。減少は2年連続だという。大手電機メーカーなどが事業見直しの一環で研究費を削ったことが影響したとみられ、総務省は「減少は一時的」だとしている(東京新聞、日刊工業新聞)。 7割を占める企業の研究費は同2.7%減の13兆3183億円。自動車や鉄道などの輸送用機械器具製造業が22%、情報通信機械器具製造業が10.2%を占めた。研究者数に関しては、17年3月末時点で前年比0・8%増の85万3700人となり2年ぶりの増加。さらに女性の研究者数は同4・1%増の14万4100人で過去最多となり、研究者全体に占める割合は同0・4ポイント増の15・7%
発火タイミングに基づく匂い識別の仕組みを解明 -匂いの濃度が変わっても感じる匂いが変わらないのはなぜか?- 要旨 理化学研究所(理研)多細胞システム形成研究センター感覚神経回路形成研究チームの今井猛チームリーダー(九州大学大学院医学研究院教授)、岩田遼訪問研究員らの共同研究チーム※は、哺乳類の嗅覚一次中枢である嗅球[1]において、匂いの情報が神経細胞の発火タイミング[2]に基づいて識別される仕組みを明らかにしました。 ヒトは、鼻腔の嗅上皮に存在する約400種類の嗅神経細胞によって匂いを検出します。嗅神経細胞によって受容された情報は嗅覚一次中枢である脳の嗅球へと入力されますが、嗅球でどのような情報処理が行われて、匂いの認識に至るのかは十分に解明されていません。脳の神経細胞は、一過性の電気的活動である発火[2]を用いて情報伝達を行います。感覚情報が脳に入力されると、情報を受け取った神経細胞は発
日経新聞が連日、日本の科学力失速の元凶は国立大と言わんばかりの論陣を張っています。2004年の国立大学法人化以降、論文数の世界シェア急降下を問題視ですが、法人化そのものに疑問を持たないから不思議です。世界2大科学誌のひとつ英ネイチャー誌が3月特集で「日本の科学力は失速」と明確に打ち出し、諸外国が研究開発への支出を大幅に増やす間に日本政府は大学補助金を削減したと指摘したのも耳に入らないようです。 4日付の《組織管理改革に遅れ 国立大の研究力低下》に掲載されたグラフで、まさに危機的状況を映しています。記事は日本総合研究所調査部の河村小百合・上席主任研究員が寄稿した形になっています。 《国立大学関係者からは低迷の要因を国の運営費交付金抑制に求める声がしばしば聞かれるが、本当にそうなのか》《国から国立大学法人への支出の推移をみると、確かに運営費交付金は法人化以降ほぼ1兆2千億円程度で横ばいとなって
ハイライト 50年の研究生活から想う基礎科学研究(大隅良典 氏 / 東京工業大学栄誉教授・大隅基礎科学創成財団理事長) 2017.11.08 大隅良典 氏 / 東京工業大学栄誉教授・大隅基礎科学創成財団理事長 本日は最初に(2016年のノーベル医学生理学賞の受賞対象研究となった)オートファジーの話をさせていただこうと思います。(受賞が決まった)昨年10月3日以来、私はいろいろな経験をしました。日本ではノーベル賞は特別な賞、という感じがあって(受賞決定後は)多忙な生活をしています。心からありがたいと思ったのは、国内外の友人はもとよりたくさんの研究仲間や全く存じ上げないたくさんの方からお祝いと喜びのメッセージをいただいたことです。私はずっと基礎科学を大切にしていきたいと思っていました。そうした中で(基礎科学を大切にすることに対して)一定の理解は進んでいると思えたことは私にとってたいへんありがた
生物医療系の分野の研究において、「細胞株の汚染」によって誤った結果が導き出されるといった問題が多く存在する可能性が示唆されている。最新の調査結果によると、3万以上の科学論文がこの問題の影響を受ける可能性があるという。 生物医療系分野では、研究用に培養した「細胞株」を利用することがある。通常の細胞には寿命があり、一定回数の細胞分裂を経た後に死滅してしまうが、その一部が死滅せず、無限に増殖できるようになることがあるという。こういった細胞を「細胞株」と呼び、研究用として使われるのだが、何らかのミスやトラブルでこの細胞株にほかの細胞が混入するといった「汚染」が発生してしまうことがあるという。 こういった細胞株は培養されて多数の研究機関に提供され、それがさらに培養されて使われる、といったことが繰り返される。たとえば「HeLa細胞」と呼ばれる細胞株は培養され続けた結果、使われた量はトータルで20トンほ
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