11月23日、ローマ法王フランシスコが来日を果たした。ローマ法王の来日は前回のヨハネ=パウロ2世以来、実に38年ぶり。滞在中は長崎や広島を訪問し、天皇陛下や安倍首相とも面会する予定で、最終日の26日まで綿密な予定が組まれている。とはいえ、ローマ法王は日本人にとってはあまり馴染みのない存在。そもそもどのような役割を担っているのか、疑問に思う人も多いのではないだろうか。そこで、比較文化史家の竹下節子氏による『ローマ法王』(角川ソフィア文庫)より、序章「ローマ法王とはだれか」の一部を抜粋してお送りする。 ◆◆◆ 全世界に億単位の信者を有し、1人の首長を戴く教派としては世界最大を誇るローマ・カトリックの首長であるローマ法王は、生き神のように絶対の正義、絶対の真理を擁していると見なされているのだろうか。答えは否である。それどころか、(1998年当時)法王の座について20年以上になろうとしていた法王ヨ