この興奮が醒めないうちに書いておきたい。凄い本を読んだ。 マルクスを現代にアップデートさせた研究で世界的な注目を集める俊英・斎藤幸平の『人新世の「資本論」』である。 新書の世界には何年かに一度、画期的な本が現れる。 物事の見方に新しい方向から光を当てたり、これまでにないアイデアを提示したりして、読者の世界の見え方を一変させてしまうような本だ。ここでは細かく挙げないが、本好きであれば何冊も書名が思い浮かぶだろう。そうした本は、時に時代の空気をとらえたベストセラーとなり、あるいは長きにわたって読み継がれる名著となる。 本書もそうした系譜に連なる一冊だ。今後、「新書大賞」や「紀伊国屋じんぶん大賞」などでは、間違いなく上位にランクインするだろう。のっけから「大風呂敷を広げている」と思われるだろうか?だが、本書の内容を知れば、誰もが納得せざるを得ない。この本にはそれほど重要なことが書かれている。 近