2月24日のロシア軍侵攻から1カ月余りで制圧されたウクライナ東部の要衝イジューム。9月以降のウクライナ軍の巻き返しにより、同月10日にロシア軍はそこから撤退を余儀なくされた。残されたのは砲撃によって廃墟と化した街並みと、暴力の痕跡を残す多数の遺体だった。ジャーナリスト村山祐介氏の現地レポート。 ウクライナ東部ハルキウ州のイジュームで見つかった集団墓地から、子ども5 人を含む447人の遺体が掘り出された。ハルキウ州政府によるとほとんどが民間人で、30体には首や手が縛られているなど拷問の痕があり、男性器を切断された遺体も数体あったという。市内の警察署の地下室には、ガスマスクや縄、木の棒が雑然と置かれた「拷問部屋」も見つかった。ロシア軍が占領していた約5カ月の間に、戦略的要衝の地で何が起きていたのか。 死臭があふれ出す林 イジュームの町の入り口に位置する松林の奥は、腐った肉と湿った土が混ざり合う
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