政府が原子力の活用を巡り「次世代革新炉の開発・建設に取り組む」などとする「GX(グリーントランスフォーメーション)実現に向けた基本方針」を令和5年2月に閣議決定し、約1年が経過した。電力各社は安全性や効率性を高めた次世代炉の開発を進めているが、安全対策費や高騰する火力燃料費が懸念材料となり、実際に建設へ乗り出すかには二の足を踏んでいるのが現状だ。原発による電力の安定供給確保のためにも、資金面の支援拡充が不可欠となる。 電力会社では、関西電力と三菱重工業、九州電力、四国電力、北海道電力が次世代炉の一つ「革新軽水炉」を共同開発中。中部電力も5年9月、次世代炉である小型モジュール炉(SMR)を開発中の米企業「ニュースケール・パワー」に出資すると発表した。 関電は5年12月、美浜原発(福井県美浜町)を報道陣に公開した。構内は非常用電源や防潮堤などの安全対策が細心に施され、3基あるうち、再稼働済みの