日本美術のコレクションで知られる米国ボストン美術館に、江戸・明治時代の和本約2万冊が埋もれていたことを、九州大の松原孝俊教授らの調査団が確認した。館の倉庫にほぼ手つかずの状態で保管されていた。散逸が進む和本がまとまって見つかるのは珍しいという。 変体仮名や漢字の草書体を記した和紙を和とじした和本は、明治以降大量に海外へ流出した。ボストン美術館での調査は2010年から12年にかけて九州大の中野三敏(みつとし)名誉教授(近世文学)や東京大のロバート・キャンベル教授(同)が中心となり実施した。 明治のお雇い外国人で東洋美術史家のアーネスト・フェノロサらが約100年前に寄贈した木箱を調べたところ、葛飾北斎の「富嶽(ふがく)百景」(約50冊)や「北斎漫画」(約80冊)は、題名が同じでも版や刷りが違う「異本」が複数収納されていた。勝川春英・春章作の妖怪図「異摩話武可誌(いまわむかし)」など貴重な資料も