原因が分からなくても、問題は解決できる。問題が深刻であれば、原因と考えられるものに手を打って次々と潰していく。その過程で効くものが分かり、原因が特定されることもしばしばだ。日本の少子化対策は、原因が不分明だからと言って、戦力の投入を惜しんできた。戦争の最中に、海軍と陸軍のどちらを増やすべきかの議論ばかりしていたら、敗北は免れない。正解は「全部やる」である。問題が深刻ならば、そうなる。 松田茂樹先生の「少子化論」は、問題の全体を俯瞰した上で中身も濃い。「少子化の要因は雇用の劣化による未婚化にあり、特に非正規への支援が優先課題である」という先生の主張は、一般の方には新鮮なものだろう。むろん、筆者にとっての驚きはないが、地域差や国際比較など刮目する論点は多かった。問題把握に欠かせない第一級の書籍であり、今後の政策対応の基礎にならんことを願う次第だ。 とは言え、先生の「少子化対策として、若い非正規
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