作家、村上春樹さん(65)が東京都内で本紙の単独インタビューに応じ、国際的な評価や最新作について語った。本紙の取材に応えるのは2009年以来、5年ぶり。 デビューから35年を迎えた今年、自作が初めて米紙でベストセラー1位になった。1990年代初め、米国へ渡り独力で読者を開拓した苦労に触れ、「だんだん実績を積み重ねてきた」と振り返った。 村上さんは60年代後半に大学紛争を経験した世代に当たる。当時あった理想主義を今の若い人々へ、フィクションを通し「新しい形に変換して引き渡していく」重要さに言及。先行きを楽観できなくなっている「若い世代に向けても小説を書きたい」と話した。 4月に短編集「女のいない男たち」を刊行した。どれも女性に去られた男が主人公だが、描こうとしたのは現代に生きる人間の「孤絶」の姿だと述べた。 また、来年で70年となる「戦後」に関連し、慎重な表現ながらも、戦争と原発事故