シリアの人々が避難生活を送る難民キャンプ。遠くの雪山から吹き込む風が、冬を一層厳しいものにする。(イラク・アルビル郊外) 上越から東京への帰り道。どこまで南下しても真っ白に染まった景色が広がり、今自分がどこにいるのかわからなくなるほどだった。柔らかな雪に包まれた街を見つめながら、ふと10年前に訪れたシリアの寒空が脳裏をよぎった。“中東”と大きく括られると暑さを想像する人が多いかもしれないが、とりわけ北の街はこの時期、大雪に見舞われることもある。 道端に積み上げられた雪が少しずつ解けだした日、シリアの北部ではトルコの越境攻撃によって5000人以上が避難生活を送っていると報じられた。首都郊外の地区で、再び化学兵器が使用され、民間人が犠牲になったというニュースも舞い込む。隣国イラクでも独立投票後の混乱で、救援の手が届かないのだと知らせがあった。本当の意味での温かな“春”はまだ遠いのだろうかと、も
![人間である限り、争いはなくならないのか | 安田菜津紀の写真日記 | 安田菜津紀 | 連載 | 考える人 | 新潮社](https://cdn-ak-scissors.b.st-hatena.com/image/square/916c004cbf6687a81a6af82d97086b6c83503ceb/height=288;version=1;width=512/https%3A%2F%2Fkangaeruhito.jp%2Fwp-content%2Fuploads%2F2020%2F04%2Ficon_natsuki-compressor.jpg)