「俺は差別と黒人が大嫌いだ」という有名なジョークがありますね。良く出来たジョークだと思います。しかし冷静に考えてみればこれはなかなか恐ろしい話でもあると思いませんか。差別が嫌い、と黒人が嫌い、を接続することで笑いが取れるということは、黒人が嫌いであることと差別が嫌いであることは両立し得ないことを暗に示すわけですよね。勿論ジョークなんてものはすべからく暴力的なもので、論理の瑕疵だの倫理の欠落だのをどうこう言うのは野暮天だし、何よりジョークは理屈では撃てないから、たとえば「黒人が、とか黒人は、という括りこそが差別なのだ」という反論をぶつけてみたところで、誰にも届かないですけど。言葉は言葉でしか殺せないし、ジョークはジョークでしか殺せないです。 こないだ電車乗ったら黒人の兄ちゃんが座ってて、その両隣が空いてたんですよ。そこ以外の席は埋まってて、まばらに立ってる人もいる、くらいの込み具合で、そこだ