森美術館 館長 片岡 真実 1990年代以降、現代アートの世界にも、グローバル化が浸透してきました。80年代までの現代アートは、「欧米」という中心を、日本、アジア、ラテンアメリカ、アフリカなどの各地域が見つめていましたが、いまやグローバル・プラットフォームとして、世界各地のさまざまなアーティストが活躍しています。 私も、アジア各国の作家の総合的な個展の企画などに際し、彼らの作品を理解するために、多様な背景を紐解くことで、自ずと世界の歴史、地理や政治、文化、哲学、社会などに触れてきました。そこで今日は、グローバル化する現代アートの現状と、そのなかで日本が向かうべき方向性についてお話したいと思います。 こちらは、昨年私が企画した、ベルリンを拠点に活動する作家・塩田千春さんの個展の作品です。赤い糸が空間全体に張り巡らされています。 このように、現代アートはもはや、絵画や彫刻、写真といったメディア
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