家庭や業務・産業施設において電気料金の削減や災害対策のために設置された蓄電池である「需要併設蓄電池」。現在、この技術を電力系統の安定化に併用する取り組みに期待が高まっている。2023年度末に電力市場への取引参画に向けて国が推進していた8カ年の技術実証が終結しており、今後は実ビジネスに向けた取り組みの具体化が求められる。 そこで本コラムでは、当社が需要併設蓄電池に係る実証やビジネス検討を支援してきた知見を基に、市場環境の展望や事業検討のポイントについて紹介したい。 再生可能エネルギー電源普及時の電力システムの安定的な運用のため、第1回で解説した「系統用蓄電池」と並んで、活用が期待されているのが「需要併設蓄電池」である。需要併設蓄電池とは、家庭や業務・産業施設など電力需要家の施設に設置された蓄電池を指す。かつては、夜間や休日などの安価な電力や太陽光発電の余剰電力を充電し、他の時間帯に放電するこ