筆者が教えている大学でも、学生が公共交通について真剣に学び、考えるようになったのは、大学や大学院に入ってからだという。これが路線バス崩壊の最大の原因ではないのか。 路線バスの「2024年問題」がクローズアップされ、2030年には路線バスドライバーが3万6000人不足するといわれている。それとともに、 ・ドライバーの離職と人手不足の原因である利用者離れ ・コロナ後、ローカルバスの99.6%が赤字という事実 もマスコミで報じられるようになった。つまり、給与を支払うための資金が極端に不足しているため、ドライバーの数を満たすことができないという、気の毒なほど厳しい経営状況が社会的に共有され始めているのだ。しかし日本では、残念ながら 「よし、路線バスを使おう」 という動きはない。 最近、筆者(西山敏樹、都市工学者)はTOD(Transit Oriented Development、公共交通指向型開発