最近デトロイト市が破綻し1、これをもってデトロイトという地域が完全に崩壊したかのように語られることがある。しかし実際にはデトロイトでは堅調にモーターショーが開かれており、財政破たんなどどこ吹く風といった雰囲気である2。この温度差の原因は、デトロイト周辺の人口分布を調べることで理解がしやすくなる。 アメリカの国政調査を見ると、デトロイト市の人口は確かにこの30年減少を続けている。しかしながら、これはデトロイトという街が死んだことを意味しない。行政区分としてのデトロイト市ではなく実際の「街」としてのデトロイト都市圏(Metro Detroit)に着目した場合、人口は減少しておらず、一定である。すなわち、この30年間、デトロイト中心部からデトロイト郊外に向かって人口が流出していたことを示す3。貧乏な人が都市中心に集まるようになると金持ちが郊外に脱出するという現象は、アメリカのちょっと古い都市では