安く買い、高く売る。株式投資で利益を上げるための基本だが、値動きを予想して買い時・売り時を見極めるのは難しい。こっそり株価を動かせたら――大勢の投資家が参加する株式市場を舞台に、たった1人で上場企業の株価を不正に操作したとされる事件が、証券取引等監視委員会に相次いで摘発された。その手口とは? ■ゲーム感覚で 「ゲーム感覚で株価を上げ下げできると思っているのには驚いた」。監視委幹部は、あきれ顔で話す。 愛知県小牧市の40代の男性会社員が名古屋証券取引所セントレックス上場のインターネットサイト運営会社「ガイアックス」の株価を操ったとして、監視委は6月、金融商品取引法違反(相場操縦)の疑いで会社員に課徴金を科すよう金融庁に勧告。金融庁は8月4日、課徴金326万円の納付を命じた。 会社員が使った手口の一つが、活発な取引を装う「仮装売買」。株の人気の高さは売買が成立した出来高に表れ、出来高が多