山中 浩之 日経ビジネス副編集長 ビジネス誌、パソコン誌などを経て2012年3月から現職。仕事のモットーは「面白くって、ためになり、(ちょっと)くだらない」“オタク”記事を書くことと、記事のタイトルを捻ること。 この著者の記事を見る

あけましておめでとうございます。 新年第1回目の更新分は、インフルエンザのためお休みをいただきました。 無理のきかない年齢になってまいりました。いろいろなことがあります。 待ち焦がれた読者を想定して休載を詫びてみせるのも、かえって傲慢な感じがいたしますので、なんとなくぬるーっとはじめることにいたしましょう。 フランスでこの7日から連続して起きたテロ事件は、17人の死者を出す惨事になった。 1週間を経てあらためて振り返ってみると、この事件が、これまでにない多様な問題を投げかける出来事だったことがわかる。 表現の自由と宗教の尊厳の問題、宗教への冒涜とヘイトスピーチの関係、テロ警備と市民生活、多文化主義と移民の問題など、数え上げればきりがない。 どれもこれも簡単に結論の出せる問題ではない。 それ以前に、半端な知識や安易な態度で踏み込んではいけない話題なのかもしれない。 なので、事件の核心部分につ
長野 光 日経ビジネスニューヨーク支局記者 2008年米ラトガース大学卒業、専攻は美術。ニューヨークで芸術家のアシスタント、日系テレビ番組の制作会社などを経て、2014年日経BPニューヨーク支局に現地採用スタッフとして入社。 この著者の記事を見る
安倍晋三内閣が6月までに行う「成長戦略」の見直しに向けた自民党の政策策定作業が佳境を迎えている。自民党日本経済再生本部(本部長・高市早苗政調会長)で「金融資本市場・企業統治改革グループ」「起業大国推進グループ」「労働力強化・生産性向上グループ」「女性力拡大グループ」「地域力増強グループ」の5つに分かれて、各界からの意見聴取を繰り返したうえで、具体的な政策のとりまとめ作業をしている。 既に「労働力強化・生産性向上グループ」からは3月26日に「労働力強化に関する中間とりまとめ」が出され、技能実習制度の見直しなど外国人材活用のあり方について踏み込んだ提言がなされた。 各グループの政策は主査を務める国会議員が中心になって取りまとめ、関係する諸官庁との間で文言を調整する。あくまで自民党としての意見だが、事前に役所との間でも摺り合わせをするのが慣例になっている。 かつては議員に代わって役所がたたき台を
「デジタル技術の進化が速すぎたことで雇用を失った」ということでしたが、一方で、対応次第ではチャンスにもなると主張されています。 ブリニョルフソン:もちろんそれは簡単ではありません。工学や科学、技術の世界にいる人たちは、非常に優秀なロボットを作ることに成功しました。一方、経済学者や社会科学の専門家、あるいは企業のマネジメント層は、テクノロジーとの協業に対応できていないのです。 そうしたミスマッチに直面しているのに、なお以前の制度のままでいる。テクノロジーが変化したのに合わせて制度も変えねばならないのです。それは大きな挑戦です。 企業を含め、既存の組織形態ではもはや対応できなくなりつつあるわけですね。 ブリニョルフソン:そういうことです。伝統的な組織は20世紀に対してデザインされたものに過ぎません。つまり、オールドテクノロジーに合わせて作られたものなのです。デジタルテクノロジーに合わせられては
米国で最大の力を持つ2人の男が、折に触れて協議しなければならないテーマがあるのは当然だ。だが、米連邦準備理事会(FRB)のベン・バーナンキ議長が「オバマ大統領と会談した」という事実を3月20日に明かした時、その内容はバーナンキ氏の今後についてだったろうと誰もが憶測した。 バーナンキ氏の任期は来年1月31日に満了する。しかし、その後の身の振り方については言及していない。かつての同僚たちは同氏が3期目を務めるつもりはないだろうと考える。FRB史上最も揺れた8年間を担当しただけで十分すぎるからだ。だが決めつけるのは早計かもしれない。バーナンキ氏は、経済成長を回復させるために自ら実施した政策(超低金利政策から量的緩和まで)の出口戦略を手がけたいと思っている可能性もある。 もっとも、彼自身が言うように、バーナンキ氏が「政策の出口をうまく処理できる世界で唯一の人間」というわけではない。FRB議長を指名
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 先進各国では低迷する経済から脱すべく、QEという非伝統的金融政策が広がっている。だが、先進国が一斉に実施すれば、それは通貨戦争の代わりにQE戦争をもたらす。また、資産バブルやインフレなど意図せざるリスクをも招くだけに、警戒が必要だと説く。 長引く低成長局面から景気を大きく上向かせるには、量的緩和(QE)をはじめとする非伝統的な金融政策が必要だ、ということで市場関係者の見方はおおむね一致している。 だが、QEの効果やそのリスクに対して疑念が高まり始めていることも事実だ。とりわけ以下に掲げた10の問題点は、そうした政策の潜在的なコストとして注意を払うべきである。 ゾンビ企業の跋扈を招く (1)純粋な「オーストリア学派」のアプローチ(つまり緊縮策の
どうも、「バンドマン社長」河野です。 実は今回、僕は日経ビジネスの編集者と“けんか”をしました。 「河野さん、残響の売り上げの数字を出してください」と頼まれ、はいはいと提出したところ、グラフを見た編集者さんが「…うーん、基本的に右肩上がりだけど、ずいぶん波がありますよね。規模も小さいし、これって大企業に勤めている読者さんに、参考になるのかな、読んでもらえるのかなあ」と言われたんですね。これがそのグラフです。 思わずカチンときた僕は、食ってかかりました。 「右肩上がりを暗黙の前提にしてしまう経営は完全に古いと思っています。僕は、縦に伸びる経営より、横に広げる経営を目指したい。失礼ですが、『売上高』に対する考え方が、いまの世の中とずれているんじゃないですか?」 一瞬きょとんとした顔をした後、「…むしろそのお話聞きたいですね」と、食いついてきたのは、さすが編集者さんです(笑)。 とはいえ、彼の反
私は、昨年秋から、独立して得た自由を利用して、ギリシャ、ポルトガル、アイルランド、スペインの欧州訪問を繰り返している。1人で現地に飛び、英語と現地語を話す通訳を見つけ、一般家庭を訪問し街頭インタビューを重ねている。 知りたいのは、財政破綻した国家で「普通の市民」がどう生きているか。ここからの連載では、国際報道やマクロデータからは見えないリアルな市民生活の実像を紹介したい。 結論から先に言うと、「日本は数年先に経済的な修羅場を迎えるものの、条件付きながら、それを十分に乗り越えられること」を確信した。 まず、ギリシャ、ポルトガル、アイルランドについて見てみよう。どの国でも庶民層の二極化が顕著だ。資産形成をして1~2年の経済の修羅場をしのげる蓄えを持つ「勝ち組」と持たぬ「負け組」の差が残酷なまでに出ていた。アリ組とキリギリス組の差とでも言えようか。 1年分の蓄えがあれば、国家破綻時もしのげる 蓄
2012年9月12日。ドイツのある裁判所がヨーロッパの経済史に残る判決を下した。 この日、ユーロ圏加盟国の首脳だけでなく、世界中の通貨当局、金融関係者の目が、ドイツ南西部のカールスルーエにある連邦憲法裁判所に注がれていた。同裁判所の第二法廷は、過重債務国を救うEUの緊急融資機構「欧州金融安定メカニズム(ESM)」にドイツが参加することの合憲性について審理していたのである。 金融市場は安堵 赤い法衣をまとったアンドレアス・フォスクーレ裁判長が読み上げた判決文は、世界中の金融市場に安堵をもたらした。憲法裁が、「ドイツがESMに参加することは合憲」と判断したからである。フォスクーレ氏は判決文の中で「債務過重国に対する救済措置以外に、リスクの少ない選択肢はない。ユーロ圏加盟国が債務不履行に陥った時の政治的・経済的なダメージははるかに大きい」と述べ、ドイツは救済措置に加わるべきだとする政府の姿勢を後
日経ビジネス2012年9月10日号では、100歳まで働かなければならない未来を想定した特集「隠居べーション」を掲載している。そこで紹介したのが、100歳の現役サラリーマン、福井福太郎さんだ。100歳という長い人生を共に振り返ることは、日本の100年を振り返ることにつながるだけでなく、今を読み解くカギにもなる。紙幅の都合で本誌には一部しか掲載できなかった、福井福太郎さんの1世紀を紹介する。 大型ショッピングモール「湘南テラスモール」が2011年に開業して、平日もにぎわうJR東海道線辻堂駅。蒸し暑い盛夏の午後、大勢の乗降客の中に、全身をパリッとしたスーツに身を包んだ1人の老紳士の姿があった。慣れた手つきで通勤定期を自動改札機に「ピッ」とかざしながら、にこやかに出て来たその足取りは力強い。 この紳士、福井福太郎さんは今年5月、100歳になった。宝くじを委託販売する東京宝商会の顧問を務め、毎日辻堂
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 経営者の中には、「経営」と「経済」を切り離して考えている方々が多く見られます。世界一あるいは日本一の評価が得られる商品を持っていれば話は別ですが、それ以外のケースでは、会社が大きくなれば大きくなるほど、経営者は経済の大きな流れを認識しながら経営を進めていく必要があります。さもなければ、経営が失敗してしまう可能性が高まってしまうからです。 ですから、この3回の連載では、経営者にとって世界経済や日本経済を見るための必要最低限の知識や考えをお知らせしていきたいと思います。まずは、消費増税が決まった日本経済について見ていきましょう。 消費税増税が良いか悪いかは別にして、増税の景気に与える悪影響が過大に喧伝されています。「みんなの党」には強くそう主張す
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 今回は、「思慮」という視点から、小泉総理と麻生総理の説得力を比較してみよう。アリストテレスは、話し手が信頼に値する人物だと判断されるように話せば、その人の説得力は高まると言っている。この話し手の人柄による説得方法は、エートスによる説得と呼ばれている。[1] では、どのような人柄が信頼につながるのだろうか。そのよりどころとして、アリストテレスは「思慮」という資質を挙げている。[2] 確かに、私たちには、思慮深いと感じる人を信頼する傾向があるようだ。では、どのように話せば、思慮深さが伝わり、エートスの説得力が高まるのだろうか。この「思慮」という資質については、フランスの批評家ロラン・バルトが興味深い解説をしている。 「思慮。これは、よく思案し、賛
題名からお分かりかもしれないが今回の内容は『資本金ゼロで年商500万ドル』とも『ママCFO奮戦記』とも関係がない。米国を揺るがしている大事件が日本で一切報じられていない不思議について書く。 昨年、本欄の編集者から「またコラムを書きませんか」という電子メールをもらったとき、次のように返信した。日経ビジネスオンラインでは「米国」と表記するそうだが、元のメール通り「アメリカ」にしておく。「$500K」は50万ドルのことだ。 「アメリカについて以前から気になっている内容がまだいくつかあります。アメリカメディアの行き過ぎたリベラリズム、リーガルシステムの崩壊に根付いた医療費・健康保険制度の問題、常識がなくなってしまい何でも議論になるアメリカ社会、まだまだ落ち込む不動産市場や景気、ビジネスと生活。ここは体験談が中心になります。私たちの会社の話であれば、資本金ゼロ会社の成長とチャレンジとしてかなり書けそ
2030年時点での電源のベストミックス(原発依存度0%、15%、20~25%の「三つのシナリオ」)、再生可能エネルギーの買い取り価格の検討、そして大飯原発再稼働への対処と、中長期的な電力・エネルギー政策から差し迫った問題まで幅広く、専門的に関わってきた。 政府の委員会で議論を積み重ねるメンバーの中で、フランクにさまざまな「盲点」を突いてきた植田氏。国民的議論の焦点である「三つのシナリオ」にはどんな意図が込められているのか、そして原発再稼働を取り巻く実情を訊ねてみた。 山岡:まず「三つのシナリオ」のお話からうかがいます。基本問題委員会ではどのような話し合いで、この形にまとまったのですか。 植田:のべ70時間ちかい議論は複雑な経緯をたどりましたが、端的に言うと、政府は脱原子力依存の前提として「40年廃炉、新規なし」と宣言しているのだから、それを数値に落とす必要がある。僕自身、そう発言しました。
「増税の前に無駄使いの削減などやるべきことがある」という意見が広がっています。歳出削減の努力が足りないとの指摘にはどう答えますか。 五十嵐:増税はイヤという国民の心情におもねった先送りの発想ですね。逆に、どこまで削減したら増税していいんですか? それで、どのぐらいの財源が出てくるんですか?と、お聞きしたいです。 歳出削減という点では、これまでも「事業仕分け」なども活用しながら非効率な予算にメスを入れています。独立行政法人も法人数で約4割弱を削減しますし、国家公務員給与の約7.8%削減など「身を切る改革」にも取り組んでいます。 「『身を切る改革』の正当な評価を」 「政治家、役人は優遇されている」との声は消えませんね。 五十嵐:例えば、自民党政権時代に国会議員年金を廃止しましたが、もう皆さん、忘れてしまっています。役所のちょっとした役職以上の幹部は10%も給与がカットされています。住宅ローンの
気になる記事をスクラップできます。保存した記事は、マイページでスマホ、タブレットからでもご確認頂けます。※会員限定 無料会員登録 詳細 | ログイン 2012年に入り、NYダウ平均株価はリーマンショック後の高値をあっさりと更新し、現在は1万3000ドル前後で推移しています。GDPの7割を占める個人消費も回復基調を維持しており、失業率も徐々に低下傾向を辿ってきています。これらを受けて、米国経済の先行きについては、楽観的な見方が未だに優勢であります。 しかし、本当に米国経済は底堅いと言えるのでしょうか。実は昨年の今頃も、米国経済に対するエコノミストたちの見方は非常に楽観的でした。「2011年後半には力強い回復軌道に入る」との見方が大勢だったのです。あたかも世界経済の危機は去ったかのように報じられましたが、当時から私は、成長率の回復や株価上昇は、戦後最大規模の財政出動や量的緩和策の効果によるもの
日経ビジネスのムック「新しい経済の教科書 2012」が4月20日に発売されます。2010年から発行している本誌は今回、装いも新たに表紙を変え、サイズも持ち運びしやすいB5判に。経済学の思想からノーベル賞に関する話題、最新の経済学の知見、経済学の基本用語や英語解説まで盛りだくさんの内容を掲載しています。 その本誌の冒頭を飾るのが、伊藤元重・東京大学経済学研究科・経済学部教授と、テレビ東京「ワールドビジネスサテライト」の小谷真生子キャスターの対談。オンライン版の本稿は、まずはお2人の対談から、本誌に収録仕切れなかった足元の経済状況や制度改革などについての議論を2回に分けてお届けします。 小谷:始めに、消費増税についてです。実は数年前、消費税増税は必要なのでしょうか、などと「ワールドビジネスサテライト」でも申し上げていました。と言いますのも、社会保障の構造改革や行政指導、規制緩和を徹底することに
奥田碩元会長(トヨタ自動車元社長)に誘われたのが直接のきっかけでした。当時は小泉純一郎政権下。経団連は改革の旗手を担う組織でした。ただ、その後、会長が奥田さんから御手洗さん(御手洗冨士夫・キヤノン会長兼社長)に代わり、それからまた米倉さん(米倉弘昌住友化学会長)になるにつれ、どんどん風向きが怪しくなっていった。 辞めようと思った直接的なきっかけは、やはり震災後です。経団連は(電力の)発送電分離の話が出たときには早々に反対し、原子力発電所については早々と賛成であると表明した。「多分経団連ってそういうために作られたんだな」とその時、初めて分かりました。 経団連が言っていることがあたかも経済界の統一見解のように言う。だから僕は「そんなことないよ」と世の中にはっきり言いたかった。違う意見だってあるんだよ、ということですね。 「経団連は日本企業の護送船団方式を擁護する団体」 ツイッターで退会をほのめ
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