43年生まれ。81年パリ・コレクションデビュー。著書に『MY DEAR BOMB』(岩波書店)=松本敏之撮影 ■青年ならではの老成した日 『風と光と二十の私と』 著・坂口安吾 (岩波文庫・903円) 安吾との出会いは中学生のとき。最初は『風博士』だったかな。日本語が美しく朗読してもサマになる。でも、何を言おうとしてるのか、正直よく分からなかった。頭脳が明晰(めいせき)過ぎ文章は簡潔過ぎて一筋縄でいかない人だからね。そのうち大学受験に向けた猛勉強に巻き込まれ、再会したのは20年以上たってからでした。 ぼくは40代にさしかかって、精神的に追い詰められてた。西欧の、均整の取れた美に異議申し立てをするぼくの服、乱れやゆがみ、崩れのあるデザインが海外でも受け入れられるようになり、自分では固い壁にガツンと殴り込んだはずなのに、ぐにゃっと力が吸い取られるような、実に気持ちの悪い感じになってきた。 そんな