安倍晋三首相が19日、東日本大震災の復興事業で、集団移転などの用地取得手続きを簡素化すると表明したことについて、被災地では期待する一方、「抜本的な対策になるのか」と不安の声も上がる。 住宅の高台移転を進める宮城県南三陸町の佐藤徳憲・総務課参事は「相続などの手続きが障害で用地取得が進まない。簡素化すれば、事業もスピードアップする」と期待する。同町では、取得したい用地の名義が2、3代前のままで、相続に関わる多数の子孫から判子をとるのに手間取るケースが多い。佐藤参事は「国の権限で土地収用を進めて一時所有し、それから町が取得できるようにしてもらえれば」とも話した。 岩手県大槌町では住宅約3700棟が全半壊し、5地区で防災集団移転促進事業(防集)を導入し、高台移転を計画する。しかし予定面積35ヘクタールのうち、7月末までに取得したのは1.4%の0.48ヘクタールだ。 用地取得を遅らせている主因