「宣戦布告だと?」 見慣れぬ服装の使者がもたらした一報に、謁見の間にいる面々が一気に色めき立った。 「長らく続いたノイシュタットの横暴を正し、かの地をあるべき姿、あるべき場所に戻す所存――」 要するに、開戦する旨の内容を滔々と語りつづける。敵中にひとり飛び込んできたというのに、場慣れしているのかその使者に怯んだ様子はまるでなかった。 一通り布告の中身を伝え終えると、使者は居丈高に胸を反った。 「お主たち、命が惜しくないようだな」 オトマルの一声に、他の家臣たちも同調する。 「よせ、使者に当たってもしょうがない」 「フェリクス様、これは共和国全体に対して言っておるのです」 「もういい。そなたも、とっとと帰れ。全面的に受けて立つとでも伝えておけ」 相手を射抜かんばかりの視線にさらされながらも、使者は最後まで慇懃無礼な態度を変えずに去っていった。 「さて――」 少し間を置いてから、主君たるフェリ
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