アジアインフラ投資銀行(AIIB)を巡る物語は、米国にとって外交的な大失敗と化しつつある。 中国との勢力争いをお膳立てしておきながら、その争いに負けることで、米国政府は21世紀の権力と影響力の漂流に関して意図せぬシグナルを送ってしまった。 2013年に中国がAIIBを創設する意図を明らかにするや否や、米国は同盟国に対し、新銀行をボイコットするよう求める説得工作に乗り出した。 米国は、中国政府の支援を受けた新銀行は、クリーンな政府や環境基準といった問題について、世界銀行ほど慎重ではない融資基準に従う恐れがあると主張した。 アジアにおける米中の勢力争い だが、これが勢力争いであることもかなり明白だった。世界銀行はワシントンに本部を置き、総裁は常に米国人だった。潜在的な競合機関のAIIBは上海に本部を置く予定で、中国が最大の株主だ。 当初、日本、韓国、オーストラリアはAIIBへの参画を見送ること