「必要なもの」の反対語は「ほしかったもの」なのだと思う。 必要なものは目的が作り出す。たいていはいつでも買えるし、買った結果は見通せる。ほしかったものは出会いが作り出す。出会ったその瞬間まで、お客さんは「それがほしかった自分」がいたことなんて想像だにしない。 必要なものはあらかじめ想定された選択肢であって、買い叩かれる対象でもある。それが必要なものになったその途端、その商品は価値を失うと言い換えてもいい。欲しかったものは、出会う時まではお客の頭に存在しない。選択とは無縁の何かで、価値は下がらない。 田舎のホームセンターは十分に大きくて、必要な物はなんだって揃っているのに、欲しいものが何もない。何かの機会に東京に出かけると、地下街を歩くのが常なのだけれど、欲しかったものばかりがそこにあってびっくりする。実際にそれが必要かといえばそうでもないし、ホームセンターを探せば、欲しかったその商品と同じ