竹内研究室の日記 2019 | 01 |
中村修二さんの青色LEDや私の元上司である舛岡先生のフラッシュメモリなど、発明者が特許の対価を求めて古巣の企業を訴えることが相次いだ時代がありました。 こういった元従業員からの訴訟のリスクを避けるため、特許を現行の発明者ではなく企業に帰属するように法改正する、という動きがあるようです。 この法改正によってエンジニアのやる気が奪われるのか? 結論を先に言うと、さして変わらないと思います。 むしろ、アメリカ企業と同様になると、特許を書くモチベーションは高まるかもしれません。 まず、現在の特許が発明者に帰属するという法律下でも、特許によって成功報酬としてエンジニアに補償金が払われるのは実際はそう多くないという現実があります。 特許は書くだけでは単なるコスト(出願にも維持にもお金がかかる)です。 そして、特許を自社で使うだけでも不十分。 例えば、ものすごくマニアックな技術を開発し、自社だけしか利用
東芝をやめて大学に移ってから7年が経ちました。大学に移った当初は全く研究資金が無くて金策に走る毎日。そうしているうちに助けて下さる方いて、何とか研究室を立ち上げることができました。 当時はまだ日本の半導体はそれなり頑張っていたので、半導体産業への期待という意味で国家プロジェクトが立ち上がり、その恩恵も受けました。 おかげさまで研究室が立ち上がり、研究スタッフも集まり、多くの方のご支援のおかげで、自分では思ってみないほどの成果をあげられました。 まさか毎年ISSCCで発表できるなんて、思ってもみませんでした。 研究はとても好調ですが、実は今、予想外の逆風にさらされています。 自分の研究は順調だし、古巣の東芝のフラッシュメモリ事業も絶好調、ビッグデータを蓄えるストレージ産業も絶好調。自分の周辺だけは何の問題もありません。むしろ、状況は良くなる一方。 ところが、気付くと、周囲の他の日本の半導体や
VLSIシンポジウムに参加中です。今回はVLSI TechnologyでカーボンナノチューブメモリNRAM、VLSI Circuitsで長期保存メモリの発表を行います。 まずは今日、カーボンナノチューブメモリの発表が終わりました。新しい材料ということもあり、とても注目を集め、発表者のNing君は発表後も多くの人に囲まれて質問攻めにあいました。しかも、なぜか女性が多い。もてるね、Ning君。 プレスリリース資料はこちらになります。 日経テクノロジー、EE Timesも早速報道して下さっています。 「カーボンナノチューブを用いた「NRAM」、万能なメモリー特性を中央大学とNanteroが実証」 「新たな次世代メモリ候補:カーボンナノチューブを使った「NRAM」の基本動作を実証」 発表した技術に興味がある方は記事やプレスリリース資料をご覧下さい。 私にとって面白かったのは、質問攻めにする技術者の
今日の日経の一面の記事、「ルネサス、山形の最先端工場を閉鎖 15年度にも 」はさすがにショックでした。 日経は最近は誤報が多いから、また誤報かなとも思いましたけど、その後、NHKなども報道しているから、きっと本当なのでしょう。 ルネサスは多くの工場を国内に抱えており、リストラはかねてから言われていました。 工場の内容を聞くと「まだ日本にあったんだ??」と不思議に感じてしまう古い工場や後工程の工場などが多い。 他の企業がすでに海外にアウトソースしているのが遅れていたわけで、閉鎖や売却も仕方ないかなと思っていました。 しかし、鶴岡工場は違います。300ミリウエアのちょっと前までは最先端の微細化された製品を作る工場です。 ロジックとDRAMを混載する技術があり、グラフィックスなど、高速なメモリを必要とする市場に強く、任天堂の製品のCPUを作られていたことで有名でした。 この技術は、世界でも鶴岡工
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