最近、自衛隊にいたときの仲間たちと夕食を共にする機会があった。その席で彼らが、私が平成20年の年頭の辞で航空自衛隊の全隊員に向けて語った言葉が、極めて任務遂行意欲を高揚させられるものであったと言っていた。年頭の辞は多くの場合、スタッフが原案を準備してくれるが、私は正月の休みの間に、自ら年頭の辞を作成することにした。当時、「来年はもう空幕長でないかもしれない」「最後の年頭の辞になるかもしれない」という思いがあり、私の熱い思いを航空自衛隊に向けて発信しようと考えた。そして、私はこの年の10月に更迭された。 私は、航空自衛隊に30数年在職し、この組織が如何に素晴らしい組織であるか体感している。自分の権利ばかりが声高に主張される風潮の中にあっても、自分のことよりは国家国民のことを優先して考えるという意識が、これほどまでに浸透している組織は、ないのではないかと思っていた。しかし、自衛隊は政争の道具と