もう一つ面白かった論説は、18日付の北岡伸一・東大教授の「共同歴史研究 『侵略』認め、日中攻守逆転」だった。北岡は日中首脳会談で合意されてスタートした日中歴史共同研究の中心的人物である。 北岡の議論の中心点は、侵略とか南京虐殺とかを否定するんじゃなくて、当然の前提として認めた方が、はるかに攻勢に回ることができる、というものだった。 ぼくは以前から言ってきたが、ドイツのように侵略の事実をもう当然の前提にしたほうが、外交上はつけこまれるスキが逆になくなる。ここで否認したり世界に通用しない議論をすると、外交上の諸問題では本来優位に立てるはずの問題でもアドバンテージを失ってしまうからだ。国益を損なう、売国といってもいい。 そもそも「日本がおこした戦争は正しかった」という議論に分があるなら、それらの人々は国際舞台で堂々とそれを展開し、サンフランシスコ条約をはじめとする国際秩序をすべてひっくり返すこと