タグ

ブックマーク / nepalreview.wordpress.com (12)

  • 書評:水村美苗『日本語が亡びるとき』(1)

    遅ればせながら,水村美苗『日語が亡びるとき:英語の世紀の中で』(筑摩書房,2008)を読んだ。実に面白く,感動的。日語への著者の深い愛情と危機感,国語政策への怒りとどうしようもない絶望がひしひしと感じられる。魂を揺さぶられる物の評論だ。 水村氏は,いわば国語ナショナリストであり国語保守主義者だ。日の植民地化を阻止し,「国家国民」を形成し維持してきたナショナリズムを,その限りで高く評価し,「国語」としての日語のかけがえのない価値(フランス語以上!)を称賛してやまない。 このようなナショナリズムや国語保守主義については,あと知恵で批判する人も少なくないが,想像力の欠如も甚だしい。つい百数十年前の幕末維新の頃のこと,例えば福沢諭吉の危機感や夏目漱石の苦悩に思い至らないのだ。水村氏のようなナショナリズムや保守主義であれば,私はこれに満腔の賛意を表したい。そう,英語帝国主義にたいし,日

    書評:水村美苗『日本語が亡びるとき』(1)
  • 軍民一体型PRTは日本NGOの危機

    Provincial Reconstruction Team(地域復興チーム)とは,軍民一体で復興支援に当たるもので,アフガンにはNATOが部隊を派遣している。今回決まったのは,中西部のリトニア軍部隊への文民派遣だ。外務省職員2名,公募で2名が選出され,大使館書記の身分でPRTに参加し,リトアニア軍部隊と一緒に教育,医療などの支援活動をする。 このような軍民一体型支援活動がいかに危険かについては,中村哲氏をはじめ多くのNGO関係者が指摘しているし,私自身も何回か指摘した。特に日NGOの場合は,軍とは無関係ということが世界中で知られ,それがNGO活動家の大きな安全保障になってきた。今回のアフガンPRT派遣でそれが一気に崩れてしまう。

    軍民一体型PRTは日本NGOの危機
  • 防衛「副大臣」,カトワル支持示唆か

    岸防衛「副大臣」が2日訪ネし,カトワル将軍解任問題について次のように述べた,と報道されている。(カトワル将軍は,ネパール国軍のChief of Army Staff, Commander-in-Chief) 「日国防衛副大臣は今日午後,トリブバン国際空港到着後,記者団に対し,懸案の軍長官(統幕長)去就問題に決着をつけるには諸政党の合意が必要だ,と強調した。岸防衛副大臣は,政府-軍対立はネパールの内政問題であり,日はこの問題には介入しない,と述べた」(KOL, May2)。 これは微妙な問題である。周知のように,カトワル問題では,コングレスは「諸政党合意」を主張し即時解任に反対,これに対しマオイストは政府(内閣)決定による解任を要求している。解任拒否は,文民統制を定めている憲法違反というわけだ。

    防衛「副大臣」,カトワル支持示唆か
  • 自衛艦をソマリア沖に派遣せよ,朝日社説

    麻生内閣が,死に体からの起死回生をねらって,日海軍(海上自衛隊)のソマリア沖派遣の検討に入った。内政に行き詰まったとき外に危機をつくるのは,無能政治家の常套手段だ。だまされてはならない。 ところが,朝日社説「海賊対策・事前に明確なルールを」(12/27)は,これを批判するどころか,政府の尻馬に乗って,軍艦(自衛艦)を出せ,と要求している。

    自衛艦をソマリア沖に派遣せよ,朝日社説
  • 血液型優生学を粉砕せよ

    ネパールで仕事に忙殺されていて気づかなかったのだが、この夏、東京新聞にトンデモナイ血液型政治家論が掲載されていた。御瀧政子氏(心理研究家)と清水孝幸氏(東京新聞記者)の対談「即興政治論」(8月12日)。 あまりにも低俗で相手にするのもはばかられるが、やはりこれは看過しえない。こんなものは出たらすぐ叩くべきだ。ナチスも、当初は、皆がバカにしていたため、ひどいしっぺ返しを受けた。ひどい目にあいたくなかったら、こうした荒唐無稽だが、危険きわまりない記事は完膚無きまでに粉砕してしまうべきなのだ。 どんな「心理研究」の成果か知らないが、御瀧氏の分析によると、こうなるそうだ。 O型:狩猟民族。行動的、リーダー。 A型:農耕民族。地道、協調的、補佐役、優柔不断、責任逃れ。福田首相は典型的なA型。長男(=冒険しない)でもあり、保身だけに走る。 B型:遊牧民族。個人主義。自由な発想。独断、即決、行動的。小沢

    血液型優生学を粉砕せよ
  • 朝日の血液型優生学

    谷川昌幸(C) 朝日新聞(6月27日)が,また血液型政治家分類をやっている。血液型と政治信条・政治能力とは全く無関係なのに,あえてそれをやるのは,ナチス優生学を日政治に導入する意図があると疑われても仕方ない。もしそうでないのなら,血液型政治家分類の必要性を理論的に論証して見せよ。 口閉ざす「ポスト小沢」(朝日6/27) 血液型政治家分類の危険性については,すでに何回か指摘し,朝日新聞「声」欄にも掲載された(「血液型の記載,記事には不要」朝日新聞西部社版2006.10.8)。その際,私に確認電話をかけてきた西部社の担当者は,私の批判の正当性を全面的に認め,なぜ東京社がこのような血液型記載をするのか理解できないと語っていた。 にもかかわらず,また血液型政治家分類を,しかも三面ではなく政治面に堂々と掲載している。これは故意だ。朝日は,血液型優生学を導入し,日に人種差別のタネをまき,大き

    朝日の血液型優生学
    philoyuky
    philoyuky 2008/06/29
    これは正当な朝日批判。
  • ゴミと聖牛

    このテーマについては、昨年も書いたが、状況はさらに悪化し、聖牛たちのあまりの哀れさに不覚にも涙を禁じえなかった。牛をう罰当たりなキリスト教国でさえ、牛の権利はもっと尊重されている。(少し前、アメリカで、へたり牛をフォークリフトで突付き屠殺場へ追いやろうとした従業員が、牛権侵害で囂々たる世間の非難を浴びた。かの国では、牛を殺すにも、「牛道的」に殺すことになっているのだ。人道的殺人を規定する国際人道法と同じ論理だ。) 1.ケガレとしてのゴミ この国では、ゴミはケガレであり、忌避の対象。伝統的カースト社会では、ケガレを下送りし、最下層の人々にゴミ処理を押し付けていた。このケガレ下送りシステムが、宗教的に聖化され正当化されていたときは、町も村も清潔であった。 ところが、民主化とともに、そのケガレ下送りシステムが機能しなくなる一方、政治的混乱の長期化で新しい近代的民主的ゴミ処理システムの構築が出来

    ゴミと聖牛
    philoyuky
    philoyuky 2008/06/20
    噂にきくカトマンズ
  • アイヌ先住民族決議:ネパールから学ぶ

    谷川昌幸(C) 「アイヌ民族を先住民族とすることを求める国会決議」が6月6日,衆参両院会議で満場一致で採択された。 我が国が近代化する過程において、多数のアイヌの人々が、法的には等しく国民でありながらも差別され、貧窮を余儀なくされたという歴史的事実を、私たちは厳粛に受け止めなければならない。 1 政府は、「先住民族の権利に関する国際連合宣言」を踏まえ、アイヌの人々を日列島北部周辺、とりわけ北海道に先住し、独自の言語、宗教や文化の独自性を有する先住民族として認めること。 1.アイヌ民族弾圧の前科 日政府が近代化のためアイヌ民族を搾取(共有地,共益権没収など),弾圧し,「北海道旧土人保護法」(明32制定,平9廃止)により「同化」政策を進めてきたことは周知の事実だ。(拙稿「宮島喬『ヨーロッパ市民の誕生』(6)」参照) アイヌ民族は北海道や東北北部に先住していた。もし彼らを先住民族と認めると

    アイヌ先住民族決議:ネパールから学ぶ
  • チベット問題に苦悩する真性マオイスト:リー・オネスト(2)

    谷川昌幸(C) Ⅱ リー・オネストのチベット論(1) 1.チベット問題の多元性 今回のチベット叛乱は,「反動的中国政府」に対する抗議行動ではあるが,よく見ると,そう単純ではなく,多くの勢力が複雑かつ多元的に関与していることがわかる。オネストはそれらをきれいに整理し,次のような構図に描いている。 「一方で,この闘争は,自称『社会主義』『共産主義』だが実際にはそうでない体制が加えている,チベット人民への国家的抑圧に対するものだ。中国政府は反動的,資主義的である。他方で,この闘争は,より大きな国際的動きに対する異議申し立てだ。アメリカは,米帝国主義のグローバル支配を強引に拡大強化している。そしてチベットは,アフガン,パキスタン,インドにおける米国利権にとって,地理的・戦略的に世界的な重要性をもつ地域だ。アメリカは,以前からチベット反動勢力を支援してきた。CIAはダライラマと共同行動をとったり直

    チベット問題に苦悩する真性マオイスト:リー・オネスト(2)
  • チベット難民を取り締まれ-「人民評論」

    チベットは,古来,ネパールにとっては取扱注意の難問であった。今回のチベット叛乱についても,ネパールの政府や諸政党は対応に苦慮しているようだ。その事情は,たとえばもし日台湾独立運動が拡大した場合,日がどのような態度を取るかを考えると,すぐ分かる。ネパールにとって,チベット問題は,それとは比較にならないほど身近で深刻な問題なのだ。 国外の反政府運動については,ネパール自身も,インド政府に対しマオイストの領土利用を止めさせよと幾度も要求してきたし,マオイスト+7(6)党政府もマデシのインド領土利用に抗議してきた。 このように,どの国家にとっても,外国反体制派の国内活動への対応は難しいが,とくにネパールのように国家権力が弱体な国にとっては,それは深刻な政治問題となる。チベット弾圧抗議活動を容認すれば,中国から圧力をかけられ,内政干渉を招くが,そうなると対抗上,インドも介入する。泥沼だ。 ネパ

    チベット難民を取り締まれ-「人民評論」
  • 朝日「単一民族神話」の神話

    いまどき「単一民族神話」とは驚きだが,朝日推奨の「乗り越える」方法も大時代的だ。「外国人の子どもに,日語などの教育支援を」だそうだ。朝日は音では日文化への同化主義,よくて統一主義をとっている。どうして異文化が異文化のまま日で共生できないのか? 現在のネパールは,朝日の勧めるような同化主義,統合主義の段階をとうの昔,卒業した。いまや,言語自治,文化自治,民族自治だ。ネパールで朝日のような主張をしようものなら,袋だたき,焼き討ちだ。

    朝日「単一民族神話」の神話
    philoyuky
    philoyuky 2008/03/13
    また朝日。
  • ネパール王制と天皇制:苅部直「新・皇室制度論」をめぐって

    谷川昌幸(C) 君主制は,ネパールのようにまともに議論もせず安易に廃止すべきではないが,それ自体,民主主義に勝るとも劣らず危険なイデオロギーであることはいうまでもない。利用価値が高いだけに,状況をよく見ないと,それだけ危険も大きい。 (ネパール連邦共和制宣言は暫定決定。正式には制憲議会で決定されることになっている。) たとえば,1月5日付朝日新聞が「異見・新言」欄に掲載した苅部直「新・皇室制度論」を読むと,「これで当に大丈夫かなぁ?」と不安になる。 1.苅部直「新・皇室制度論」 著者の苅部直氏は東大教授で専門は日政治思想史。専門家中の専門家といってよい。 苅部氏は,まず久野収が「『天皇崇拝』の意識構造」(1988)において現人神信仰の名残を批判しつつ,皇室存続を次のように説いたことに注目する。 「『天皇制』をめぐる表現の自由は広く認められるべきであり,国際化が進むこれからの日では,天

    ネパール王制と天皇制:苅部直「新・皇室制度論」をめぐって
    philoyuky
    philoyuky 2008/01/09
    「またアカヒか」ではすまないお話
  • 1