広東省が拠点の週刊紙「南方週末」新年特集号・年頭社説が、当局の指示で中国共産党賛美の内容にすり替えられた事件について、ざっと日本の大手新聞社説などを見回してみると、ややピンぼけの印象があった。補足がてら、その理由を少し書いておこう。 まず、中国には政府の意向から独立したジャーナリズムは存在しないので、今回の事態も、特段に不思議なことではない。今回の抗議運動では、年間1000記事以上の書き換えがあるとも言われた。中国の報道ではこの手のことは日常茶飯事である。 むしろ、なぜ今回に限ってこれが問題となったのかということが、事件だと言える。 ゆえに、そこを議論しないと、この事件についてはまったくわかったことにはらない。なのにそのあたりの解説が日本国内の報道ではほとんど見られなかったように思えたし、大手紙の社説はピンぼけしていた。 別の言い方をすれば、例えば、10日朝日新聞社説「中国の検閲―言論の自