この記事の写真をすべて見る 思想家で神戸女学院大学名誉教授の内田樹さんが「就職活動とキャリア教育」について語った。AERAムック「大学ランキング2019」(朝日新聞出版)より紹介する。 * * * 就職活動で「即戦力」という言葉を耳にするようになったのは、1990年代以降のことだ。この頃に企業の人材育成のあり方が変わったのだと思う。 それまでの経営者は大学にあまり専門的な知識や技能の教育を求めなかった。 「専門的なことは入社してから教えますから、大学では語学と一般教養をしっかり教えてください」。経営者たちからはそういう言葉をよく聞いた。 それが変わった。研修をスキップしてすぐに仕事ができる「即戦力」を求めるということは、「人材育成コスト」を外部化して大学に押し付けるということである。「即戦力」を求める企業は端的に「人を育てる手間と金が惜しい」と言っているに等しい。 そもそも採用側は大学