人はひとりで死ぬ―「無縁社会」を生きるために (NHK出版新書 338) 著者:島田 裕巳 日本放送出版協会(2011-01-06) 販売元:Amazon.co.jp ★★★★☆ 昨年、NHKの「無縁社会」というシリーズが大きな反響を呼んだ。その後、100歳以上のはずの老人が行方不明になっている事件が多発し、老人が社会とのつながりを失って「無縁」になることが社会問題となった。こういう話は日本が本来「有縁社会」で、その古きよき日本が失われていくという感傷的なストーリーになっている。 しかし著者も指摘するように、無縁というのは中世では「自由」の意味だった。縁切り寺に飛び込めば公権力の追及も逃れることができ、楽市楽座のように領主が公認した場合もあり、堺のように一つの都市が領主から独立した場合もあった。日本の高度成長を支えたのも、人々の「無縁化」を求めるエネルギーだった。そのころのフォークソングに