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2009年1月31日のブックマーク (8件)

  • キョンシーマジックについて(8)〜番外〜 - 西荻区長2009(虫博士日記)

    「思いつきで書いてるだけだよな」 深町さんに怒られた。 ここを読んでいる人(どれだけいるのかわからないけど)には、関係ない話かも知れないけど、俺はリアルで深町先生(id:FUKAMACHI)と飲みに行ったりする仲なんだよね。 で、昨日、深町さんから電話がかかってきて、新宿のゴールデン街で待ち合わせをしたんだよ。 で、さあ。正直に言うと怒られたんだよね。 「区長さ、書くことないからって、適当に知り合いをキャラクター化して、内輪受けのお話しを作るっていうのはさ……言っていい?」 「うん」 「恥知らずだよ、あんた」 「……」 「なにあれ? いま流行りのラノベ?っていうの? いくらブログで書いてるからって、志が低いよね」 「まあ……暇つぶしっていうか」 「それはさ、あんたの暇つぶしだろ? 読者にとって暇つぶしになってる? ただの時間の無駄でしょ?」 「……」 「人を楽しませる仕事をさ、なめてない?

    キョンシーマジックについて(8)〜番外〜 - 西荻区長2009(虫博士日記)
  • キョンシーマジックについて(7)〜八重子先生について私が知っている2、3のこと②〜 - 西荻区長2009(虫博士日記)

    「男はね、すぐに『夢があれば貧乏だって耐えられる』とか言うんだけど」 八重子先生がしんみりと語る。 「あんたがいつも空腹で苦しまないでいられるのは、夢のおかげじゃなくて、私がわせてあげてるからじゃない。いまのあたしだったら、はっきりそう言ってやるわ。『このごくつぶし!』ってね」 宮子は八重子先生が言っている内容については、まるで理解できなかった。 でも、八重子先生のしんみりとした語り口には、なぜか引き込まれた。 「でもそんなこと……18歳のあたしが言えるわけなかったわよ。だって、その年になるまで、父親以外の男の人と、口もきけなかったんだから」 そう言って、ちらりと芋子と宮子を見る。 「うらやましいの」 宮子はドキリとする。 「ひっこみ思案で、いつもばかり読んで……あの頃あたしが好きだったのは、そうね、山田詠美の『蝶々の纏足』なんて大好きだった」 宮子は八重子先生の告白に驚いていた。「私

    キョンシーマジックについて(7)〜八重子先生について私が知っている2、3のこと②〜 - 西荻区長2009(虫博士日記)
    pooti
    pooti 2009/01/31
    最高です!!!現実との区別がつかなくなってきました・・・
  • キョンシーマジックについて(6)〜八重子先生について私が知っている2、3のこと①〜 - 西荻区長2009

    後ろから八重子先生が追いかけてくるのではないかとパニックになりながら、芋子と宮子は学校裏の藪の中を走って逃げた。やたらと柊の多い藪で、二人は全身に細かい切り傷を作った。柊には魔除けの効果があると宮子は聞いたことがある。この藪の柊は、なにから学校を守っているのだろうか。「いや」、と宮子はすぐさま自分の思いつきを否定した。この柊は、学校に「魔」を閉じこめているんだ。そうであって欲しい。深町先生も八重子先生も、きっとこの藪を越えることはできないんだ。 芋子と宮子が必死で逃げているのには、ちょっとしたわけがあった。 「地震のことを、古代中国のある秘密結社がなんと呼んだか知っている?」 芋子が宮子に尋ねた。 宮子は、あらゆる質問に答えるのが苦手だ。なんだか自分の価値が試されているような心持ちになってしまうからだ。もともと引っ込み思案だった宮子だが、継母が来てからはなおさら質問が苦痛になった。継母はな

    キョンシーマジックについて(6)〜八重子先生について私が知っている2、3のこと①〜 - 西荻区長2009
  • キョンシーマジックについて(5) - 西荻区長2009(虫博士日記)

    道徳の授業で、担任の深町先生が『バイオレンスジャック』というタイトルの小冊子を配った。 「ここには、荒廃した千葉島で生きるために必要なことが書かれている。ホンシュウ人の偏見が多く含まれているが……まあ、それはいいとしよう」 そのあと、先生は熱っぽく、身振り手振りを交えながら『バイオレンスジャック』がいかに素晴らしいかを説明しはじめた。 その様子はちょっと変だった。 宮子は「ああ、先生、酔っぱらってるんだ」と思い、憂な気持ちになった。ときどき、父が仕事の取引先の人たちを家に招いて宴会をするときがある。宮子はそんなとき、必ず自分の部屋に逃げ込んで、外に出ようとしない。いつもは穏和な父の様子が一変するからだ。 だが、深町先生は酔っぱらっているわけではなかった。少しばかり違法な(とは言っても、ここ千葉島ではすでに法の概念など無効になっていたが)薬を摂取しているだけだった。その薬は極度の興奮状態を

    キョンシーマジックについて(5) - 西荻区長2009(虫博士日記)
  • キョンシーマジックについて(4) - 西荻区長2009(虫博士日記)

    その夜、宮子は自分が「とてもよろしくないこと」をしてしまったのではないか、と後悔の気持ちでいっぱいになりながら、鶴亀算の練習問題に取り組んでいた。ちなみに「とてもよろしくないこと」というのは、宮子の継母の口癖で、宮子がちょっとした粗相をするたびに、まとわりつくような口調でそう叱責するのだった。 確かに、男の子の名前に「芋子」というのはおかしな感じがする。でも、小野芋子はそのことでしょっちゅういじめられているし、それを宮子も何度も目撃してとても悲しい思いに駆られているではないか。宮子は芋子と二人きりのとき以外ではまるで意気地がなくって、喋れなくなってしまう。だから、芋子がいじめられているのを目撃しても、それを止めることができない。 父親の仕事(しかしその具体的な中身を父親はまったく教えてくれないのだが)の関係で、東京からわざわざ江戸川峡谷を越えてこの町に転校してきた宮子を、「ホンシュウモノ」

    キョンシーマジックについて(4) - 西荻区長2009(虫博士日記)
  • キョンシーマジックについて(3) - 西荻区長2009(虫博士日記)

    「え、キョンシー?」 「そうだよ」 学校からの帰り道、小野芋子が突然中国のゾンビのことなんて言い出すから、綾小路宮子は心臓の鼓動が早まるのを感じてしまった。怖い話だったらごめんだ。気でそう思った宮子は、小野芋子の両親が面白半分で自分の息子の名前を「芋子」に決めたという当にあったひょうきんな噂話を思い出すことで、恐怖をうち消そうとした。それは成功した。宮子はその後五分ほど腹を抱えて笑い続け、会話が途切れてしまった。 (つづく)

    キョンシーマジックについて(3) - 西荻区長2009(虫博士日記)
  • キョンシーマジックについて(2) - 西荻区長2009(虫博士日記)

    「津波って怖いよな」。千葉島の子供たちは「怖いもの」のベスト3に必ず「津波」を入れます。もちろん「関東地獄地震」が千葉島を誕生させたからです。 (つづく)

    キョンシーマジックについて(2) - 西荻区長2009(虫博士日記)
  • キョンシーマジックについて - 西荻区長2009(虫博士日記)

    かつて千葉島の子供たちのあいだで流行し、そして多数の死者を出した「キョンシーマジック」について書く覚悟ができた。 (つづく)

    キョンシーマジックについて - 西荻区長2009(虫博士日記)