「森のイスキア」 心を病んだ人がやって来る。 体を病んだ人がやって来る。 重いのやら、軽いのやら、荷物を背負ってやってくる。 そして 気が付けば、自分で荷物を降ろして帰っていく。 青森県、弘前市から車で1時間。岩木山の麓、標高400メートルの湯段温泉の地に初女さんの主宰する、憩いと安らぎの家「森のイスキア」がある。 やってきた人たちに初女さんがすることはごく平凡なことだ。 料理を作り、一緒に食べる。そして話したくなった人の傍らでじっとその人の話に耳を傾ける。言ってしまえばただそれだけのことである。 だが、その食事は不思議な力を持っている。もし人の体のどこかに魂の器があるとしたら、直接その中にエネルギーを注ぎ込むような、そんな料理なのである。悩みを抱えた人や心を病んだ人たちがその料理に接し、やがて心を開いていく。 「調理」と「食事」という「目に見えるもの」を通して、「人の心」という「見えない