瀧本哲史さんとの最初に会ったのは、あるイベントの控え室であった。一人パソコンに向き合う瀧本さんは、近寄りがたい雰囲気を出していた。今から6年前である。先鋒鋭い書きぶりの著書からも、一筋縄ではいかない人かもしれないと勝手に想像していたが、名刺交換をしてもその印象はあまり変わらなかった。 イベントでは、瀧本さんはパネルディスカッションのパネリストの一人として登壇し、僕はモデレータである。テーマは「働き方」であり、瀧本さんは持論でも戦略的な働き方を語っていた。話の流れはキャリア形成についてとなり、別のパネリストの方が「ご縁を大切にする」という発言をされて盛り上がった。僕も「なるほど、そういうものだよな」と納得しながら聞いていたら、こういう人情味のある見方に対し瀧本さんはどう考えるのだろうと思った。そこにイタズラ心も加わり、 「失礼ですが、瀧本さんも、人の縁を大切にする方ですか?」 と無茶振りした