“人が最後に流れ着く街”と称される大阪・西成で暮らす人々は、普段どんな生活をしているのか――。西成の街を徹底取材して、労務者に仕事を斡旋する手配師、非合法薬物を売りさばいた元売人、簡易宿泊所“ドヤ”の管理人、元ヤクザの組長、さらには元シャブ中の男性までインタビューしたフリーライター・花田庚彦氏の著書『西成で生きる この街に生きる14人の素顔』(彩図社)が版を重ねている。 西成の人々の素顔と本音に迫った本作から、一部を抜粋して転載する。(全3回の3回目/#1、#2を読む) ◆◆◆ クスリ売りが語る「泥棒市」のリアル ひと昔前は南海線の高架下で大々的に行われていた“泥棒市”。 いまは規模が小さくなり、平日は数店舗しか出ていない泥棒市でその男と出会った。 “薬局”と呼ばれるクスリ売りの男に路上で接触し、インタビューの約束をその場で取り付けて、筆者が泊まるホテルのロビーが新型コロナウイルスの影響で