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加藤幹郎の検索結果1 - 38 件 / 38件

  • まず読みたい100冊

    I. <まず読みたい図書> 1)全学生向きの図書 著作名 著者・編者名 *シリーズ名な ど 出版社 西暦発行年 現在書店で 入手が可能 か(○または ×) 筑波大学図書館 での所蔵の有無、 ある場合は配架番 号 *その他の情報 紹介コメント(80字以内) 三四郎 夏目漱石 岩波文庫 岩波書店 ◯ 081-I95-G10-6 漱石が明治時代の大学生を描いた名作です。自分と比べて見るのも一 興。 地獄変・偸盗 芥川龍之介 新潮文庫 新潮社 ◯ 無 各作品は図書館所蔵 の他の版で読むこと ができる。 何百もの小説を残した芥川。「羅生門」だけじゃ物足りない。 万葉集と日本人:読み継がれる 千二百年の歴史 小川靖彦 角川選書 KADOKAWA 2014 〇 911.12-O24 古典と呼ばれる作品が現代までどのように読み継がれてきたのか、そして それは書物(モノ)としてどのように伝えられてきたのか。

    • ゲームの夢、映画の魔――『IMMORTALITY』について - 名馬であれば馬のうち

      (本記事は本ブログに珍しく、あまりネタバレが含まれていない。ちょっとはあります) 君という光が私を見つける 真夜中に 宇多田ヒカル「光」 (本編より) 視覚芸術分野において「見ることと見られることについての作品」というフレーズで評することは若干の気恥ずかしさを伴う。使い古された表現であるという以上に、映像の本性がそういうもので、いってみれば(特に映画は)すべてに見る見られる関係を見出せるからだ。論の起点としてはよいのだが、それだけではなにも射抜いてないにひとしい。 とはいえ、「これは見ることと見られることについての作品だ!」と騒ぎたくなる作品はある。そうしたテーマが意識されているものを立て続けに観ていると特に。わたしは最近『NOPE』を観た。『心霊マスターテープ EYE』を観た。『隣のお姉さんが好き』を読んだ。『ブロンド』を観た。『アフター・ヤン』を観た。どれもがそのようにあった。 いずれ

        ゲームの夢、映画の魔――『IMMORTALITY』について - 名馬であれば馬のうち
      • 「脚本の人そこまで考えてないと思うよ」を考える。 - サイコキラー、再び

        (図1)『月刊少女野崎くん』6巻134pより 椿いづみによる4コマ漫画『月刊少女野崎くん』を読んだことがなくとも、この一コマだけなら知っているという人は多いのではないでしょうか(図1)。 これはヒロインの千代が、演劇部のお芝居で役をどのように演じればよいか、脚本を読みながら苦悩する鹿島に対して、「脚本の人そこまで考えてないと思うよ」と言いのける、4コマ漫画の4コマ目、いわゆるオチにあたるコマになります。続きを読み進めていくと、実は「脚本の人そこまで考えていました」という次のオチが用意されているわけですが、実際に作品を読んだことがない人ではそれすら知らないのがほとんどではないかと思われます。このコマには作品本来の文脈すらも無視して、パンチの効いたセリフ内容であるために、単体でインターネット上を一人歩きしてしまっている悲しい現状があります。それは前のめりになって何か作品を考察、解釈しているイン

          「脚本の人そこまで考えてないと思うよ」を考える。 - サイコキラー、再び
        • 素材の手触り──新海誠作品の唯物論的構造分析|みなかみ | 週末批評

          Feeling of Materials: Structural Analysis of Animated Movies of Makoto SHINKAI|Minakami 文:みなかみ はじめに アニメの画面に描かれている諸要素は、我々の瞳を強く刺激し続ける「素材」としての輝きを放っている。無論アニメの作り手たちはセルで描かれたキャラクターでもいいし、背景美術でもかまわないが、いかにそれらの持つ(というか持たざるを得ない)物質性から遠く離れてフィクションを構築しうるかを常に思考=志向している。ゆえに画面に映り込むセルやBG(バックグラウンド=背景)や3DCGの関係は相対的に結ばれていき、ひとつのカットとして意味を持ち、物語を語ることができる。 その作り手たちの実践をただ単純に解体していき、すべてを素材に還元する行為を人は批評とは呼ばない。その相対的な結び目をほどきながら、どのようにカッ

            素材の手触り──新海誠作品の唯物論的構造分析|みなかみ | 週末批評
          • 劇場版『鬼滅の刃』を“列車映画”の観点から読む エモーションとモーションの連動が作品の醍醐味に

            冒頭、駅に停留していた列車が動き始める。主人公たちの声がオフで聞こえてくる。煙を堂々と噴き上げ、車輪が回転を始め、走り出した列車に飛び乗る炭治郎たち。そして、物語が動き出す。 プロローグ的な位置付けの墓のシーンが終わり、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は上記のように幕を上げる。列車の出発と物語の出発が綺麗にシンクロしている。 『鬼滅の刃』という作品において、この『無限列車編』はもっとも映画化向きのエピソードだろう。それはこの導入部が端的に示している。 映画と列車の相性の良さはいくつかの必然がある。映画(モーション・ピクチャー)は運動(モーション)によって人を魅了する。列車は、運動によって人や物を運搬する。映画も列車もその本質は運動だ。規則正しく決められた時間から上映が始まり、上映が終わる映画は、列車の運行表にも似ているかもしれない。 それ以上に、両者の関係には歴史的な深い結びつきがある。こ

              劇場版『鬼滅の刃』を“列車映画”の観点から読む エモーションとモーションの連動が作品の醍醐味に
            • アニメ・映画批評を書きはじめるための補助輪 - 虚無らがえり

              はじめに――作品批評を書くことの難しさ 二項対立を定める 批評の要素ーー感想・分析・敷衍 感想:主観的判断 分析:客観的判断 敷衍:(社会的な)価値への接続 分析の対象ーー物語・画面・受容 物語 画面と音 受容 分析の枠組みーー作家論・テクスト論・社会反映論 作家論 テクスト論 社会反映論 小技 あらすじは自分で書く 文体の選択 序文の書き方 文章の締め方 書くつもりで観る 引用のしかた 公開手段 参考資料 批評の書き方 批評理論 アニメ研究 むすびに――批評を書きおえるために はじめに――作品批評を書くことの難しさ 私は大学のサークルや同人活動などで、映画やアニメの批評を書いています。自分が観た作品について考えたり書くことは面白いし、人の批評を読むのも好きなのですが、批評というジャンルは不人気がなばかりか、「批判」と字面が似ているせいで、なんだか偉そうな印象で忌避されていることも確かでし

                アニメ・映画批評を書きはじめるための補助輪 - 虚無らがえり
              • ジョジョと絵画!元ネタやオマージュまとめ | ゆるゆる美術

                世界の有名絵画を見て「あれ…これジョジョの元ネタかな?」と思うことが多々あり、ググったらボロンボロン出てくるので忘備録としてまとめます。 確実に元ネタと言えるものだけでなく、憶測やこじつけも入ってます。逆に本人が「影響を受けている」と言った作品も含めてます。 また、ネタバレ回避していないので、気になる方は読まないようにしてください。順不同です。 ◆ジョジョと有名絵画 ブラックモアとマグリットのゴルコンダ 雨を固めるスタンドで、その上を移動するシーンが描かれています。これはまんまマグリットのゴルコンダということでわりと周知されてるオマージュだと思います。 そして最新すぎて存じ上げなかったんですが、8部の23巻表紙でも起用されているようです。 ジョジョリオン 23 (ジャンプコミックス) ブラックモア キャッチ・ザ・レインボー マグリット ゴルコンダ ジョジョの奇妙な冒険 Part7 スティー

                  ジョジョと絵画!元ネタやオマージュまとめ | ゆるゆる美術
                • 【2023年9月版】世界史関連の新刊60冊 - 歴ログ -世界史専門ブログ-

                  暑い夏に世界史関連本が豊作です 四半期恒例の世界史関連新刊の紹介です。 今回は2023年7月~9月の世界史関連新刊紹介です。 私のリサーチ力?も向上したのか、増えに増えて今回は60冊です。 今回は、新書、文庫、選書、学術書がとても多いです。 新書・文庫・選書・学術書 このカテゴリーだけで今回は26冊もあります。 これらは買う予定です。 ハイチ革命の世界史 奴隷たちがきりひらいた近代 (岩波新書 新赤版 1984) オットー大帝―辺境の戦士から「神聖ローマ帝国」樹立者へ (中公新書 2766) 十字軍国家 (筑摩選書) 1.『ハイチ革命の世界史 奴隷たちがきりひらいた近代』 岩波新書  浜 忠雄 著    2023/08/18 税込1056円 リンク 一八世紀末、カリブ海の島で黒人たちが立ち上がり、自らの手で史上初の奴隷解放を達成した──長く忘却されてきたハイチ革命は、いまや近代史の一大画期

                    【2023年9月版】世界史関連の新刊60冊 - 歴ログ -世界史専門ブログ-
                  • アニメ版「グリッドマン」シリーズをめぐって――特撮のアニメ化と、アニメで表現される「特撮らしさ」 | MACC – Media Arts Current Contents

                    トップ > 記事 > アニメ版「グリッドマン」シリーズをめぐって――特撮のアニメ化と、アニメで表現される「特撮らしさ」 坂口 将史 TRIGGER制作の『SSSS.GRIDMAN』(2018年)は、円谷プロの特撮作品『電光超人グリッドマン』(1993~1994年)を原作とし、アニメでありながら特撮を彷彿とさせる画面表現が数多く盛り込まれている作品です。本稿では『SSSS.GRIDMAN』とその続編『SSSS.DYNAZENON』(2021年)、および劇場版『グリッドマン ユニバース』(2023年)が、どのようにして「特撮らしさ」をアニメ上で表現したのかについて分析し、アニメ、特撮、そして同シリーズにおいてそれらの中間項として機能した3DCGのそれぞれのメディアにおける特性を明らかにします。 『グリッドマン ユニバース』ポスター アニメ×特撮の前例 2015年、「日本アニメ(ーター)見本市」

                      アニメ版「グリッドマン」シリーズをめぐって――特撮のアニメ化と、アニメで表現される「特撮らしさ」 | MACC – Media Arts Current Contents
                    • 曖昧な、曖昧な、フィルム・ノワール [1]

                      「映画とは何か」「フィルム・ノワールとは何か」といった、「○○○○とは何か」といったタイトルを映画批評ではよく見かけるのだが、風呂敷が大きいだけで、広げる場所が間違っているような印象をいつも受けている。だが、「フィルム・ノワールとは何か」については、さすがに困っている。その定義が極めて曖昧で、流動的で不定形で、どんな映画を《フィルム・ノワール》と呼ぶのかという点も絶えず変化しているからだ。1980年代には、1940年代から50年代の一握りのハリウッド娯楽作品を指すものだと主張されていたが、今ではIMDBで『獣人島(Island of Lost Souls, 1932)』に film noir のタグがつけられてしまうほど自由自在に解釈されているようだ。《濫用》されているといってもよいだろう。そんな調子だから、《フィルム・ノワール》についての様々な記述や批評を読んでいると、あまりにいろんな齟

                        曖昧な、曖昧な、フィルム・ノワール [1]
                      • 【ネタバレ無 (?)】映画夜明け前『カツベン!』 - えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~

                        お題「最近見た映画」 ここでは題名と名称を恣意的に表記します。[敬称略] www.imdb.com 当時の人気職業であった活動弁士を夢見るニセ活動弁士で泥棒の染谷俊太郎は、親分が捕まったことから悪事から解放されて、小さな町の閑古鳥の鳴く映画館・靑木館。隣町にライバル映画館がある場所に流れ着いた。人材もそのライバルに取られ、残ったのはクセの強い人ばかり。そこで雑用ばかりを任される毎日を送る俊太郎の前に、幼なじみの初恋相手、大金を取り戻そうとする泥棒の親分、俊太郎を追う警察などが現れさまざまな騒動に巻き込まれていく。 周防正行監督 注意:できる限り内容への言及は避けますが、抵触しそうな可能性もあるので、純粋にこの映画を楽しみたい方には、ご遠慮くださるようお願いします。 まず最初にことわっておくと自分は弁士(活動弁士)についてはまったく知らない。 そんな自分でも弁士はサイレント映画の花形だったこ

                          【ネタバレ無 (?)】映画夜明け前『カツベン!』 - えいざつき ~元映画ブログだったポエマーの戯言~
                        • 体制とアウトローの狭間で 『ノマドランド』感想・考察 - 川井書生の見聞録

                          雨の日は(晴れの日もだけど)本を読んだり映画を観ること多い。先日の大雨の日は2021年のアカデミー作品賞を受賞した『ノマドランド』を観に行った。梅雨とは無縁そうな、荒涼としたアメリカの大自然を舞台に漂うノマドたちは、現代の開拓者なのか? ⑴ 昔の開拓者 ⑵ アウトローと体制 ⑶ 西部劇とアメリカンニューシネマ ⑷ 狂言回しのファーン ⑸ まとめ ⑴ 昔の開拓者 物語終盤で、主人公ファーン(フランシス・マクドーマンド)の妹が、ハウスレスで働く人々を「昔の開拓者みたい」と言うシーンがある。ここでいう昔の開拓者は西部劇の開拓者である。また、アメリカ文学者の宮脇俊文は『キネマ旬報 1862号』の中で次のように述べている。 昨日より明日を信じ、路上に夢を追い求める生き方は、フロンティアの時代、常に西を目指して移動を続けたアメリカ人の伝統だ。どこにでも移動できるのがアメリカ人の特権であり、そうすること

                            体制とアウトローの狭間で 『ノマドランド』感想・考察 - 川井書生の見聞録
                          • 喪失と希望の対位法:『ほしのこえ』とエグザイルの詩学 - てらまっとのアニメ批評ブログ

                            本稿は2012年に頒布された批評同人誌『セカンドアフター vol.2』に寄稿したものです。 「どれほどの/遠さも苦にせず/呪縛され/汝は飛び来る」──ゲーテ 「私たち、どこだって行けるよ!」──平沢唯 0. 〈いま・ここ〉にある未来 あれからずいぶん月日が流れた。被災地の瓦礫の受け入れはなかなか進まないし、メルトダウンした福島第一原子力発電所がどうなっているのかもよくわからないが、それでも人々はかつての日常を回復しつつあるように見える。実際、電力会社や政府の対応に怒りを覚えながらも、毎日の生活を何とかするだけで精一杯という人がほとんどだろう。政治不信や産地偽装はいまにはじまったことではないし、低線量被曝を気にしていたら食事も外出もままならない。粗末な仮設住宅で暮らす被災者には同情するが、テレビの向こうの他人を気づかう余裕があるわけでもない──そんな諦めにも似た感情を抱いて日々を過ごしている

                              喪失と希望の対位法:『ほしのこえ』とエグザイルの詩学 - てらまっとのアニメ批評ブログ
                            • 樫村晴香 - Wikipedia

                              樫村 晴香(かしむら はるか、1956年6月21日[1] - )は、日本の哲学者。男性。京都大学文学部哲学科卒業、京都大学大学院経済学研究科理論経済学専攻単位取得退学[1]。雑誌『現代思想』などに寄稿。妻は社会学者の樫村愛子[2]。 概要[編集] 小説家の保坂和志は栄光学園高校での同級生で友人[3][4]。保坂の公式ホームページ内に「樫村晴香のページ」が設けられている[5]。 浅田彰は「アルチュセール派イデオロギー論の再検討」(『思想』1983年5月号)で、「アルチュセール派イデオロギー論の研究」を評価している。 稲葉振一郎は「『装甲騎兵ボトムズ』雑感」(1997年)で、ニーチェついて「面白いコメントをしています」と紹介している[6]。 東浩紀は『存在論的、郵便的―ジャック・デリダについて』(1998年)、千葉雅也は『動きすぎてはいけない―ジル・ドゥルーズと生成変化の哲学』(2013年)で

                              • 女の頭に金属バット――Vtuberとリアリティショーの倫理、射精するオタク - 思考停止

                                昨今、トレンディでTwitterをコロナ騒動をさておいて賑やかにさせた「テラスハウス」、並びに「リアリティショー」とSNSの問題を、僕などは「こんなもんヤコペッティの時代だったらなんでもなかっただろうが、あれはそういうもんでもないし、モキュメンタリー的表象を存外素朴に受け取ってしまう人たちが可視化されただけだなあ」程度に思っていた。僕は大昔にアダルトビデオの中で、虚構と現実のあわいがセックスシーン以外において強度を獲得してしまう事態がX監督、希志あいの主演『スキャンダル』(2015年、アイデアポケット)において生起しているが、そこで起こっている事態が虚構か現実なのかははっきり言ってどうでもよく、その「曖昧な虚構」が非常に審美的であるという文章を書いたことがある。というかアダルトビデオ自体がそういった曖昧さと厳密な意味でのドキュメンタリズムに裏打ちされていることについては映画学者の加藤幹郎も

                                  女の頭に金属バット――Vtuberとリアリティショーの倫理、射精するオタク - 思考停止
                                • 新型コロナPCR検査の目的:パート2 - 燃えるフィジカルアセスメント

                                  SARS-CoV-2のRT-PCR検査について、私たちが提言しているのは、公衆衛生学的な目的、すなわち防疫目的の検査で使うことです。防疫検査であり、診断検査ではありません。 診断と防疫は目的が異なり、防疫検査では、被検者がCOVID-19に感染しているかどうかを診断するための検査ではなく、被検者が「感染性」を有するかどうかを確認するための検査となります。 感染伝播を予防するための待機が必要かの判断に使うのです。 防疫のためのスクリーニング検査では、対象者が感染しているかどうかがゴールドスタンダードではなく、感染性 (infectiousness)または伝播力(transmissibility)です。この防疫目的での検査では「体の中のどこかの細胞内にSARS-CoV-2が居て悪さをしている」という、COVID-19感染の有無は、もはやゴールドスタンダードの役割ではなくなり、リング上から場外に

                                    新型コロナPCR検査の目的:パート2 - 燃えるフィジカルアセスメント
                                  • 劇場版『鬼滅の刃』を“列車映画”の観点から読む エモーションとモーションの連動が作品の醍醐味に(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース

                                    冒頭、駅に停留していた列車が動き始める。主人公たちの声がオフで聞こえてくる。煙を堂々と噴き上げ、車輪が回転を始め、走り出した列車に飛び乗る炭治郎たち。そして、物語が動き出す。 【写真】煉獄さんの炎の呼吸 プロローグ的な位置付けの墓のシーンが終わり、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は上記のように幕を上げる。列車の出発と物語の出発が綺麗にシンクロしている。 『鬼滅の刃』という作品において、この『無限列車編』はもっとも映画化向きのエピソードだろう。それはこの導入部が端的に示している。 映画と列車の相性の良さはいくつかの必然がある。映画(モーション・ピクチャー)は運動(モーション)によって人を魅了する。列車は、運動によって人や物を運搬する。映画も列車もその本質は運動だ。規則正しく決められた時間から上映が始まり、上映が終わる映画は、列車の運行表にも似ているかもしれない。 それ以上に、両者の関係には歴

                                      劇場版『鬼滅の刃』を“列車映画”の観点から読む エモーションとモーションの連動が作品の醍醐味に(リアルサウンド) - Yahoo!ニュース
                                    • ここでもあるどこかへ──『ほしのこえ』と故郷喪失者の詩学|てらまっと | 週末批評

                                      ※本記事は、サブカルチャー評論同人誌『セカンドアフター vol.2』(2012)所収の「喪失と希望の対位法──『ほしのこえ』とエグザイルの詩学」を一部加筆・修正のうえ、転載したものです。 文:てらまっと あれから10年以上の月日が流れた。仮設住宅で暮らしていた被災者の大半は復興公営住宅に移り、メルトダウンした福島第一原子力発電所の廃炉作業も地道に進められている。唯一、全住民の避難が続いていた福島県双葉町では2022年8月に避難指示が一部解除され、ようやく町内での居住が可能になった。震災直後には50万人近くにのぼった避難者の数も、いまでは3万人余りにまで減少しているらしい1。本稿の元となった文章(「喪失と希望の対位法──『ほしのこえ』とエグザイルの詩学」)を書いた2012年当時と比べると、被災地の復興は着実に進んでいるように見える。 そのあいだに新型コロナウイルスの世界的な流行は3年目に入り

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                                      • 現代のメディア状況を歴史から照らす3冊/飯田豊

                                        古川隆久『皇紀・万博・オリンピック 皇室ブランドと経済発展』 加藤幹郎『映画館と観客の文化史』 松田美佐『うわさとは何か ネットで変容する「最も古いメディア」』 中公新書といえば近年、日本史ものが好調であることは周知のとおり。もっとも、メディア論と文化社会学を専攻している僕にとって、そのラインナップの魅力といえば、歴史的な視座にもとづいて執筆されているにも関わらず、まるでわれわれの足下を背後から照らすかのごとく、現代のメディアや文化の状況に光を当ててくれる著作が豊富な点にある。 たとえば、東京オリンピックの開催が近づく現在、1964(昭和39)年を回顧する機運の高まりに加えて、1940(昭和15)年に開催されるはずだった「幻の」東京五輪と東京万国博覧会の再検証もさかんにおこなわれている。2025年に再び大阪で万博が開かれることが決まって、この機運は来年以降もしばらく続きそうだ。 そこで先行

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                                        • あこがれの国立国会図書館を初体験・「スクリューボール・コメディ」について調べた - シロッコの青空ぶろぐ

                                          初めての国立国会図書館 国立国会図書館は面倒くさい 登録利用者カードを作る 休館日に注意 登録利用者カードを作る方法 入館するときの注意 閉架式図書館はどう利用するか 本を閲覧するにはどうすれば良いか 〈図書〉と〈雑誌〉は受け取る場所が別 「利用できる資料はありません」 コピー依頼はどうすれば良いか デジタル化資料のプリントアウト 国立国会図書館は広い 申し込み、受け取りをする場所 食堂、売店、喫茶室 もあります マイリストに保存できる 「無知の世界から低レベル知の世界へ」 初めての国立国会図書館 初めて国立国会図書館に行き、雑誌記事を閲覧・コピーしてきました。卒業研究の論文を書くためのに使いたいと考えたからです。 調べたいのは「スクリューボール・コメディ(Screwball comedy)」というコメディ映画のサブジャンルのこと。住む世界が全く異なる男女が出会うラブ・ロマンスで、次々と事

                                            あこがれの国立国会図書館を初体験・「スクリューボール・コメディ」について調べた - シロッコの青空ぶろぐ
                                          • フェミニスト映画理論 - Wikipedia

                                            フェミニスト映画理論(フェミニストえいがりろん、または「フェミニズム映画理論」、 Feminist Film Theory)はフェミニズムの枠組みを援用して映画を分析しようとする理論全般を指す[1][2]。女権拡大を訴えるフェミニズム運動が英米で盛んになった1970年代、その影響下に映画祭や学術誌を舞台に理論構築が開始され、現在では英語圏の映画研究においてきわめて大きな影響をもつ理論になっている[3]。 歴史[編集] 映画(さらには人間の手で作られた映像全般)の構造や機能を分析するために整理された思考の枠組みを「映画理論 Film Theory」と呼び[4][5]、映画の登場間もない20世紀初頭から心理学者や映画製作者によって模索がすすめられてきた[6]。しかし1970年代に至ってフェミニズム運動が社会的に大きな影響力をもつようになると、そうした理論を構築した研究者の多くが男性であることに

                                            • 新連載やることになって『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を取り上げました - Film Goes with Net

                                              リアルサウンド映画部に『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』について書きました。 実写とアニメの境を見直す杉本穂高の連載開始 第1回は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』評|Real Sound|リアルサウンド 映画部 テックでも映画とテクノロジーをテーマに月イチで連載していますが、映画部でも連載をやることになりました。アニメ!アニメ!の敵役についての連載と合わせて3つ、どれもできるだけ長く続くようにがんばります。 今回の連載の主旨は上の記事の序文(1〜2ページ目)を読んで頂くとして、随分アクロバティックな主旨のテーマを設定して理由を書いておきたいと思います。 アニメーションというものを映画史の中でどう捉えるのか。このことが未だに宙ぶらりんになっているような気がしていました。アニメーションも映画の本流の中にちゃんと位置づけた方がいいんじゃないか、世界の映画マーケットの中で今後もアニメーション

                                                新連載やることになって『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』を取り上げました - Film Goes with Net
                                              • ニコラス・レイ検討 (1):序論|髙橋佑弥

                                                序論 主に50年代から60年代にかけて活躍した映画作家ニコラス・レイについて、こんにち日本でどのような認知がなされているだろうか。まず、優れた作品の出来栄えに反し、一介の"職人"としてしか扱われず、思い通りの映画作りを行うことができなかった作家であり、そしてのちにフランスの映画ムーブメント"ヌーヴェル・ヴァーグ"の中で、本人たちも映画作家として活躍し映画史に革新をもたらす面々——フランソワ・トリュフォーやジャン=リュック・ゴダール、エリック・ロメールやジャック・リヴェットら——が批評家時代に熱狂し、様々な場で言及したことで、再評価の機運が高まった…というのがひとまず基本的な共通認識と言えるだろう。現在では、間違いなく最も重要な映画監督の一人に数えられてもいる。日本においても、2013年には遺作『ウィー・キャント・ゴー・ホーム・アゲイン』(1973)が、製作から40年の時を経て初公開され、そ

                                                  ニコラス・レイ検討 (1):序論|髙橋佑弥
                                                • 映画館と観客の文化史 -加藤幹郎 著|電子書籍|中央公論新社

                                                  加藤幹郎 著 映画はいったいどこで見るべきものなのだろうか。ホームヴィデオの普及以降一般的になった、個人的な鑑賞は、はたして映画の本来的な姿から遠ざかってしまったものなのだろうか。本書は、黎明期から今日までの一一〇年間の上映形態を入念にたどりながら、映画の見かたが、じつは本来、きわめて多様なものだったことを明らかにする。作品論、監督論、俳優論からは到達し得ない映画の本質に迫る試みである。 書誌データ 配信開始日2013/7/15 判型中公eブックス 希望小売価格946円(10%税込)

                                                    映画館と観客の文化史 -加藤幹郎 著|電子書籍|中央公論新社
                                                  • 加藤幹郎氏死去、京都大名誉教授 映画学|社会|地域のニュース|京都新聞

                                                    加藤幹郎氏(かとう・みきろう=京都大名誉教授、映画学)26日午後0時42分、病気のため福岡市の病院で死去、63歳。長崎県出身。葬儀・告別式は既に行った。喪主は妻綾香(あやか)さん。 2005年12月~12年3月、日本映画学会の初代学会長を務めた。

                                                      加藤幹郎氏死去、京都大名誉教授 映画学|社会|地域のニュース|京都新聞
                                                    • アニメにおける風景について|Jean Vigo

                                                      アニメの画面を「風景」という一語のみで語るということの暴力性について人は多少なりとも認識すべきである(また、風景をひとつの比喩の表現として解読するということの退屈さも多少なりとも認識すべきである)。蓮實重彥の『表層批評宣言』を引用するまでもなく、常に思考が先行し、現実の瞳の知覚=視線は後退せざるを得ないからだ。風景を語る連中は思考の風景を語っているに過ぎず、視線によって知覚される実際の風景については何一つ語ってはいない。そこには視線の抑圧が働いているのは明らかだ。そもそも風景という一語は背景美術を指しているのだろうか。それとも眺めとして背景美術の他にセルが配置された構図のことを指しているのだろうか。それがはっきりしない限り、風景という言葉は実際に画面に映っているそれぞれのレイヤーへの視線を抑圧する暴力行為でしかあり得ず、具体的な体験としての瞳の知覚が抽象化されていくしかない。 例えば新海誠

                                                        アニメにおける風景について|Jean Vigo
                                                      • 美少女アニメキャラTシャツ着用によるオタクカルチャー搾取のための試論|後藤護

                                                        自分の好きなバンドTシャツをこれ見よがしに着る人間は「昭和」である、何なら「Tハラ(バンドT・ハラスメント)」であるということを我々はアイアンメイデンを知らずにアイアンメイデンTシャツを着る令和の若者の出現で感じつつある。その辺のおばあちゃんが訳も分からずにラディカルなハードコアパンク系Tシャツを着ていたという報告例もあり、その是非をめぐって議論は喧々諤々の様相を呈している。 しかし、好きなバンドへの思い入れをTシャツで自己顕示する精神は昭和(良くて平成)の遺物なのである。意味も分からずに、何となくカッコいいから、という理由でTシャツを纏うことが令和のクールネスである。ロックカルチャーの歴史を知らずに表層を掠めとるZ世代ブレインデッドたちの手法こそむしろ掠めとるべきではないか? ゆえに私はまったく知らない美少女アニメキャラを身にまとい、搾取する。 聴いたことのないバンドのTシャツを着るZ世

                                                          美少女アニメキャラTシャツ着用によるオタクカルチャー搾取のための試論|後藤護
                                                        • キネマ旬報『リチャード・ジュエル』特集の町山広美の文章が酷かった - cinemania 映画の記録

                                                          キネマ旬報2020年2月上旬号の『リチャード・ジュエル』特集に掲載された町山広美の文章が酷かった。映画の内容とは関係なく、イーストウッドはトランプ支持だと非難して、彼の作品を支持する人たちまでも揶揄する。最後も唐突に「戦争が始まろうとしている」とトランプ批判になる(始まらなかったけれど)。やれやれまたか、という感じだが問題はそこだけではない。 町山広美は、映画のとある描写が、冤罪事件の加害者である新聞社から事実と異なっていると反論された事を紹介――なぜか反論の内容そのものは書かないのだが――したその後に、そのまま行替えもせずに<この映画の日本公開版に「事実に基づく」のテロップが出ない>と続けている。しかし、ここ数年のクリント・イーストウッド監督の実話物で言えば、『アメリカン・スナイパー』も『ハドソン川の奇跡』も『15時17分、パリ行き』も、”based on a true story”とい

                                                            キネマ旬報『リチャード・ジュエル』特集の町山広美の文章が酷かった - cinemania 映画の記録
                                                          • 社会人選考で哲学科へ進学します|未満

                                                            なぜこのnoteを書くことにしたのか 普通、こういう文章は「きっとキャリアに自信があるんだろうな」と思われるような方が書く印象ですが、私自身のキャリアには恥が多い、というか、むしろキャリアを捨てている感があります。なので、耐えられなくなったらこのnoteは非公開にするかもしれません。 では、なぜ頼まれもしないのにこんな文章を書いているかというと、多少身を削ることによって、同好の士を見つけられるかもしれないと考えたためです。タイトル通りなのですが、この春から哲学の修士課程へ進学します。社会人選考なので、学部からの仲間などはいません。それどころか、そもそも哲学系の出身ですらありません。このままだとエルデンリングみたいな難易度の学生生活になりそうだな……と思い、とりあえずTwitterの公開アカウント(@ltPhilosopher)を開設してみました。その自己紹介としてこのnoteを書いています

                                                              社会人選考で哲学科へ進学します|未満
                                                            • 物語は、万華鏡のような明晰さを伴って映画全体に反響する。飯岡陸評 エドワード・ヤン『ヤンヤン 夏の想い出』

                                                              物語は、万華鏡のような明晰さを伴って映画全体に反響する。飯岡陸評 エドワード・ヤン『ヤンヤン 夏の想い出』1980年代におこった台湾ニューシネマを代表する映画監督、エドワード・ヤン。『ヤンヤン 夏の想い出』は2000年に公開され、カンヌ国際映画祭監督賞を受賞するも、ヤンの遺作となった作品である。台湾の社会を見つめ続けてきたヤン監督が本作に込めた問いに、現代の私たちはどう応答できるか。キュレーターの飯岡陸がレビューする。 文=飯岡陸 エドワード・ヤン『ヤンヤン 夏の想い出』 倫理としての群像劇「映画は人生を写す鏡なんだ」 「人生を味わうなら 自分の人生だけで十分よ」 「叔父さんが言ってた “映画が発明されて人生が3倍になった”と」 「どういうこと?」 ──『ヤンヤン  夏の想い出』より エドワード・ヤンは1980年代に「台湾ニューシネマ」の旗手としてデビューし、2007年に早世するまで、それ

                                                                物語は、万華鏡のような明晰さを伴って映画全体に反響する。飯岡陸評 エドワード・ヤン『ヤンヤン 夏の想い出』
                                                              • 映画監督・三宅唱の1ディケイド 星野源のMV考察から始まる、“映画”を作り続けられる理由について - TOKION

                                                                投稿日 2020-12-22 Author 大隅祐輔 MOVIE 観察する 長編映画デビューからちょうど10年が経過した三宅唱。その時間を巻き戻したり、行ったり来たりしながら、まさにざっくばらんと映画について何を考えているかを聞いた。 今時、フィルムでなければならないとか、鑑賞は映画館でなければならないといった、映画に対して断固とした決めつけをする人は珍しいと思う。が、しかし、この9月に映画館の入場制限が緩和されたとはいえ、半強制的な自粛のせいで娯楽は自宅のPCやテレビの中に収まり、ネットの動画配信サービスでは映画作品とお笑いの賞レースが同時表示され、結果、後者に誘われてしまうという状況になり、人との話でたびたび「映画ってなんだ?」という定義の探り合いをする羽目に陥っている。これは三宅監督と余談で話していたことだが、動画配信サービスで映画作品を観たとしても、かいつまんで見る、男子なら分かっ

                                                                  映画監督・三宅唱の1ディケイド 星野源のMV考察から始まる、“映画”を作り続けられる理由について - TOKION
                                                                • 「仕事と人生に効く教養としての映画」を図書館から検索。

                                                                  出版社: PHP研究所(2021-07-28) 単行本(ソフトカバー): 368 ページ / 5.31495 x 0.98425 x 7.4803 inches ISBN-10: 4569849237 ISBN-13: 9784569849232 深水英一郎(ふかみん)さんの書評 2022/02/24 ★★★★★ 『教養としての映画』著者の伊藤弘了さんに きいてみる 『教養としての映画』著者の伊藤弘了さんに話をききました。 ききて・深水英一郎 ——本日はよろしくお願いいたします。本書を執筆するきっかけは何だったのでしょう? 【伊藤さん】 かねてより映画研究者=批評家として自分が身につけてきた知見を世の中に還元したいという思いを抱いていました。そんなときに折よく映画の見方についての連載と書籍化のお話をいただきました。 この本で一番お伝えしたかったのは、映画を意識的に見ることでその楽しみはいっ

                                                                    「仕事と人生に効く教養としての映画」を図書館から検索。
                                                                  • 【新刊試し読み】石田美紀『アニメと声優のメディア史』「序章」を公開します!|青弓社

                                                                    12月21日に石田美紀『アニメと声優のメディア史   なぜ女性が少年を演じるのか』を発売します! これに合わせ、本書の「序章」の一部を公開します。 野沢雅子、小原乃梨子、田中真弓、緒方恵美、高山みなみ……などなど、少年を演じる女性声優を軸にアニメと声優の歴史をたどり、日本が独自に育んできたアニメと声の文化を描き出します。 みんなに愛される少年から女性が恋する青年までの女性声優を切り口に、アニメと声優のメディア史を考察した本書。ぜひごらんください! 序章 少年役を演じる女性声優―リミテッド・アニメーションと声1 先行研究と残された課題 少年キャラクターを演じる女性声優たち アメリカのフライシャー兄弟が一九二六年にトーキー短篇アニメーション『マイ・オールド・ケンタッキー・ホーム』を公開してから、アニメーションのキャラクターもわたしたちと同じく声を得るようになった。彼らキャラクターに声を与える演

                                                                      【新刊試し読み】石田美紀『アニメと声優のメディア史』「序章」を公開します!|青弓社
                                                                    • 映画批評) 溝口健二『残菊物語』の「視線」と「声」のからみあい(引用の織物)  ――加藤幹郎「視線の集中砲火」と蓮實重彦「言葉の力」 - 秋谷高志 批評をめぐる試み

                                                                      溝口健二監督『残菊物語』は驚くほどのスピードで、原作小説掲載、新派上演を経て、映画化された。 一九三七年(昭和一二年)九月、『サンデー毎日』秋季特別号に村松楓風(しょうふう)の短篇小説『残菊物語』が掲載され、同年一〇月には巖谷三一(愼一)脚色、川尻清譚演出によって明治座新派興行で上演された(菊之助を花柳章太郎、お徳を水谷八重子、五代目菊五郎を喜多村緑郎)。花柳が原作を読み舞台化を希望したという。その好評により、二ヶ月後の一二月には明治座で同じく巖谷脚本、花柳主役で『続残菊物語』が上演されたが、これは原作の末章「残んの花」にあたる帰京後の菊之助の復活から、お徳と同じ病による死までである。 そして早くも一九三九年(昭和一四年)一〇月には松竹と溝口健二によって映画『残菊物語』が公開された(菊之助を新派舞台と同じ映画初出演の花柳章太郎、お徳を同じく新派の森赫子(かくこ)、菊五郎を二代目河原崎権十郎

                                                                        映画批評) 溝口健二『残菊物語』の「視線」と「声」のからみあい(引用の織物)  ――加藤幹郎「視線の集中砲火」と蓮實重彦「言葉の力」 - 秋谷高志 批評をめぐる試み
                                                                      • CineMagaziNet! no.13

                                                                        1.近づくことで、遠くへ あらゆる場所、あらゆる分野において、その端倪すべからざる才能にふさわしいだけの分析を受けていない芸術家がいる。アメリカ映画におけるその筆頭はアンソニー・マンである。かつてジャン=リュック・ゴダールをして、「私はグリフィス以降[・・・]これほど斬新ななにかを見たことは一度もない」(357)といわせた映画作家であるにもかかわらず、マンについての本格的な研究はおどろくほど少ない。むろん概説的な文章や、断片的にではあれマンの映画をとりあげた論考は、これまでにもあふれるほど書かれてきた。ところがマンのさまざまな映画を統一的に、しかも詳細にあつかった論考となると、ほとんど見当たらないというのが現状なのである。 じっさい本国アメリカで執筆されたマンについてのまとまった研究書は、現在にいたるまでただ1冊しかない。映画学者ジェニーン・ベイシンガー(Jeanine Basinger)

                                                                        • 映画館と観客の文化史 -加藤幹郎 著|新書|中央公論新社

                                                                          加藤幹郎 著 映画はいったいどこで見るべきものなのだろうか。ホームヴィデオの普及以降一般的になった、個人的な鑑賞は、はたして映画の本来的な姿から遠ざかってしまったものなのだろうか。本書は、黎明期から今日までの一一〇年間の上映形態を入念にたどりながら、映画の見かたが、じつは本来、きわめて多様なものだったことを明らかにする。作品論、監督論、俳優論からは到達し得ない映画の本質に迫る試みである。 書誌データ 初版刊行日2006/7/25 判型新書判 ページ数320ページ 定価990円(10%税込) ISBNコードISBN978-4-12-101854-0 書店の在庫を確認 ❑紀伊國屋書店 ❑丸善&ジュンク堂書店 ❑旭屋書店  ❑有隣堂  ❑TSUTAYA

                                                                            映画館と観客の文化史 -加藤幹郎 著|新書|中央公論新社
                                                                          • 【随時更新・訃報】今年(令和2年)2020年 亡くなった芸能人 有名人 声優 作家 プロレスラー プロ野球 力士 - .net.amigo三番館

                                                                            2023年 令和5年 随時更新 【2023年訃報】今年 最近亡くなった芸能人 有名人 令和5年 随時更新 - .net.amigo三番館 2022年 令和4年 没月日・死因不詳 白木みのる 俳優・芸人・実業家 85歳(86歳説あり) 「てなもんや三度笠」 白木みのる 銭$ソング マンダム親子のテーマ(歌詞字幕あり) - YouTube 随時更新 【2022年訃報】今年 最近亡くなった芸能人 有名人 令和4年 随時更新 - .net.amigo三番館 2021年版 令和3年 【随時更新・訃報】2021年(令和3年)今年亡くなった芸能人 有名人 - .net.amigo三番館 12月 死去日不明 アレキシ・ライホ ミュージシャン 長期の合併症により死去。2021.1.4公表。チルドレン・オブ・ボトムでデビュー。2020年ボトム・アフター・ミッドナイト結成 31日 うごくちゃん ユーチューバー

                                                                              【随時更新・訃報】今年(令和2年)2020年 亡くなった芸能人 有名人 声優 作家 プロレスラー プロ野球 力士 - .net.amigo三番館
                                                                            • 実写とアニメの境を見直す杉本穂高の連載開始 第1回は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』評

                                                                              涙は明日への希望なり 1950年代、メロドラマの巨匠ダグラス・サークはアメリカンドリームの中で抑圧される女性たちを描いた。メロドラマはミュートされた弱者の本音を代弁するための物語だと先に書いた。本作において抑圧された弱者はヴァイオレットのような女性だけではない。 強権的な兄の元で様々なことに耐えていたギルベルト。ヴァイオレットを戦場で道具として扱うしか選択肢のなかった自分を呪って、彼は自責の念という牢獄の中にいる。 ホッジンズがギルベルトを訪ねる時、彼の部屋はあまりにも暗い。その暗い部屋でギルベルトは決してホッジンズの方を向かない。ホッジンズが開けたドアから外の光が見えるが、部屋から出ることはない。部屋から出る瞬間は描かれず、いつの間にか消えて、次に登場する時はやはり自室の部屋の中である。彼もまた何かに囚われていることを暗喩する。 本作のカメラについて少し説明したい。本作のフレームは終始安

                                                                                実写とアニメの境を見直す杉本穂高の連載開始 第1回は『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』評
                                                                              1