ヒトパピローマウイルス(HPV)は尖圭コンジローマという陰部などにイボができる病気、それから子宮頸がんの原因です。他にも肛門がんなどの原因にもなります。 これを予防するために開発されたのがHPVワクチンです。一般に子宮頸がんワクチンと呼ばれているのがこれです。子宮頸がんワクチンという呼称は科学的に妥当ではない、という意見もあるかもしれませんが、みなさんがよくご存知の名称のほうが分かりやすいと思います。ですから、本稿ではあえてこれを「子宮頸がんワクチン」と呼びます。 子宮頸がんワクチンは、がんの予防に有用だということで積極的にこれを勧める意見もあります。その一方で安全性に問題があり、副作用の観点からこれに反対する意見もあります。しかし、この問題に決着をつけるのが本稿の目的です。 最初に結論を申し上げておきます。現在、厚労省は定期接種である本ワクチンの積極的接種勧奨を一時的に差し控えました(2