並び順

ブックマーク数

期間指定

  • から
  • まで

1 - 40 件 / 45件

新着順 人気順

日経クロステックの検索結果1 - 40 件 / 45件

日経クロステックに関するエントリは45件あります。 技術システムdevelopment などが関連タグです。 人気エントリには 『日本における「名寄せ」と「照合」の黒歴史』などがあります。
  • 日本における「名寄せ」と「照合」の黒歴史

    健康保険証、銀行口座、年金記録――個人のマイナンバーに別人の情報がひも付けられるトラブルが後を絶たない。多くの事案に共通するのは、自治体や関係機関の職員が氏名や生年月日などを基にマイナンバーや住民データを照会した際に、誤って同姓同名の人の情報を引き出してひも付けてしまうというケースだ。 こうした情報のひも付けをする際、職員が住民データの照合や突合、本人確認に使うのが「氏名」「生年月日」「性別」「住所」、いわゆる基本4情報といわれるものだ。 だがこの4情報は、コンピューターによる自動処理とは絶望的に相性が悪い。例えば氏名は「邊」「邉」など旧字・異体字の揺らぎや外字の処理が煩雑なうえ、婚姻による改名もある。よくある氏名の場合、氏名も生年月日も同一というケースが頻発する。住所は時期によって変わるうえ、人によって書き方が「一丁目四番」から「1―4」まで一意ではない。 こうした曖昧な識別符号を代替す

      日本における「名寄せ」と「照合」の黒歴史
    • グリコもユニ・チャームも苦渋、トラブル相次ぐERP導入に潜む大きな理解不足

      ERP(統合基幹業務システム)の導入に失敗した挙げ句、ビジネスが止まる――。ERPにまつわるシステム障害が相次ぎ発生している。江崎グリコは独SAPのERP「S/4HANA」を使って構築した基幹系システムの障害で、プッチンプリンなどチルド品の出荷停止に追い込まれた。ユニ・チャームもS/4HANAと物流システムの連係を巡る障害で、製品の出荷に遅延が生じた。 なぜERPの導入はうまくいかないのだろうか。イチからシステムを構築するわけではなく、形のあるパッケージソフトを導入するにもかかわらず、だ。 江崎グリコは2024年4月3日に実施した基幹系システムの切り替えでトラブルが発生し、「プッチンプリン」をはじめとする同社製品と、同社が物流・販売を請け負っていた他社チルド食品の出荷ができなくなった SAPや米Oracle(オラクル)など大企業向けのERPパッケージを中心に、導入に失敗することは今に始まっ

        グリコもユニ・チャームも苦渋、トラブル相次ぐERP導入に潜む大きな理解不足
      • 「要件定義をやめよう」の真意、普通にやると金と時間が無駄になるだけ

        「要件定義をやめないといかんね」――。ある勉強会が終盤に近づいた頃、隣席の参加者がこうつぶやいた。それを聞いた周囲の参加者がうなずいた。驚いたことに自分も「おっしゃる通り」と同意してしまった。 なぜ驚いたかというと、「要件がすべてを決める」「じっくり時間をかけるべき」と教わってきたからだ。日経コンピュータ編集部に配属された1985年以降、取材先の情報システム部長やソフトハウスの幹部を取材した際、「情報化で重要なこと」を問うと、たいていこう言われた。だから「いわゆる最上流工程が大事」という記事をたびたび書いてきた。 勉強会に登壇した講演者たちが「要件定義をやめよ」と言ったわけではない。しかし隣に座っていた参加者は、講演の趣旨を「要件定義をやめよ」という一言に集約した。同じ話を聞いてきた筆者を含めた参加者はすんなり納得したわけだ。 失敗につながる要件定義の実態 DX(デジタルトランスフォーメー

          「要件定義をやめよう」の真意、普通にやると金と時間が無駄になるだけ
        • システム障害報告書を独自入手、神奈川県教育委員会「Gmail届かない問題」の全貌

          さらに、神奈川県教育委員会がトラブル発生から10日後に一度トラブルの「解消宣言」をしたものの、翌週に不具合が再発。X(旧Twitter)では同システムの設定不備を指摘する声も多く、そのドタバタな対応劇はたちまち注目の的となった。 トラブル発生から最終的な復旧までの間、県教委とITベンダーはどのように対応を進めてきたのか。また具体的にどのような設定不具合や、準備不足があったのか。ITベンダーが県教委に提出した「システム障害報告書」と、県教委への取材を基にトラブルの経緯を詳報する。 報告書からは、あの手この手でトラブル復旧を試みるITベンダーと県教委の苦労や、一筋縄ではいかないGmail対応の難しさが見て取れる。一連のトラブル対応は決して人ごとではなく、多くの読者にとって参考になるはずだ。

            システム障害報告書を独自入手、神奈川県教育委員会「Gmail届かない問題」の全貌
          • 事業会社とコンサルが技術者吸い込む SIerの人手不足が危ない

            1人の転職活動に10社以上が内定を出すほど、ITエンジニアの争奪戦が激化している。背景には、事業会社やコンサルティング会社が採用を強化していることがある。しわ寄せが行くのは中堅・中小のベンダーだ。生き残るすべを見つける必要がありそうだ。 パーソルキャリアが発表した2022年12月の「エンジニア(IT・通信)」の転職求人倍率は、12.09倍と全職種でトップだった。前年同月比で2.21ポイント増、前月比で1.64ポイント増と人気に拍車がかかっている。 2023年1月のITエンジニアの転職求人倍率は11.17倍と前月比で0.92ポイント下がった。それでも全体平均の2.34倍を9ポイント近く上回っている。

              事業会社とコンサルが技術者吸い込む SIerの人手不足が危ない
            • 防波堤が前触れなく一夜で倒壊、3年前の調査で「問題なし」

              宮城県気仙沼市の気仙沼漁港で、防波堤が延長50.3mにわたって一夜にして海上から消えた。防波堤を支える鋼管が折れ、海中で倒壊していた。県が2018年に実施した老朽化調査では、健全度に問題はないと判定していた。 21年11月2日午前6時50分ごろ、地元の漁業関係者が小々汐(こごしお)防波堤の倒壊に気づき、漁港を管理する県に通報した。県気仙沼地方振興事務所水産漁港部によると、地元の人は「前日の午後5時半ごろまで異変はなかった」と話しているという。 小々汐防波堤は、延長81mで幅約4m。岸から30.7mの区間は、コンクリートブロックを積み重ねた重力式の構造で、1976年に完成した。 倒壊したのは、77年に延長した50.3mの区間だ。この区間は、地中に打ち込んだ直径約700mmの鋼管で堤体を支えるカーテン式防波堤だ。港外側の鋼管の前面に取り付けたプレキャストコンクリート(PCa)板で波を防ぐ。港外

                防波堤が前触れなく一夜で倒壊、3年前の調査で「問題なし」
              • 「ハードだけ売ってほしい」、自動車部品メーカーに突き付けられた異変

                「ハードウエアだけを売ってほしい」。最近増えているのが、自動車部品メーカー(サプライヤー)に対する自動車メーカーからのこうした要求だ。フランスValeo(ヴァレオ)やドイツZF、同Bosch(ボッシュ)など大手サプライヤーも、そうしたケースが増えていることを認める。 背景にあるのは、電気自動車(EV)化の先に見据える、ソフトウエア定義車両(SDV)化や自動運転(AD)化の存在だ(図1)。SDV化やAD化では、クルマにおけるソフトウエアの重要性が増し、自動車メーカーはその主導権を握りたいと考えるようになるからだ。

                  「ハードだけ売ってほしい」、自動車部品メーカーに突き付けられた異変
                • 技術力だけで相手を「マウンティング」、極めて幼稚かつ残念な風土を変えよ

                  IT企業やIT部門は技術力を発揮してなんぼである。技術力で存在価値を高めようとする。そのカルチャーはある意味で健全である。IT業界やIT職種の正しい発展を後押しすることにもつながる。 一方、技術力だけで初心者や中途採用者をマウンティング(優位性の誇示)するのは問題だ。さらにひどいと、顧客や取引先まで小ばかにするような態度をとる。これが一部の人の特異な行動ではなく、職場やチームの複数名がマウンティング気質であったり、上長がそのような性格の持ち主だったりすると、職場の性格そのものが問題となる。つまり、性格の悪い職場のオーラをまとい、悪臭を放ち始める。 マウンティング文化の人が部門長や管理職だったり、いわゆるスタープレーヤー的な存在だったりする職場はタチが悪い。職場が技術で相手を殴る行動を正当化しているようなものだからである。 なぜ技術力だけで他者をマウンティングするような、「性格に難あり」な人

                    技術力だけで相手を「マウンティング」、極めて幼稚かつ残念な風土を変えよ
                  • 波紋広がるGmailガイドライン、国内企業から相次ぐ利用者への「お願い」に感じる不安

                    神奈川県教育委員会が2024年1月9日に開始した公立高校の出願システムでトラブルが生じている。利用者が米Google(グーグル)のメールサービス「Gmail」のアドレスを登録しても、手続きに必要なメールが届かないというものだ。神奈川県公立高校の募集案内によれば、出願期限は1月末。1月末までにトラブルは解消されず、県教育委員会はGmail以外のアドレスを使うよう呼びかけたり、メールアドレスを貸し出したりしている。手続きができなかったり、完了通知などのメールが届かなかったりした受験者やその家族は、気が気でないだろう。 筆者がこのトラブルを知ったとき、「まだ1月なのに」という疑問が頭をかすめた。グーグルは2024年2月に、メール送信者向けのガイドラインを適用する予定だったからだ。メール送信者のガイドラインとは、グーグルが2023年10月に発表した、Gmailの個人利用者に届く迷惑メールを減らすた

                      波紋広がるGmailガイドライン、国内企業から相次ぐ利用者への「お願い」に感じる不安
                    • プロジェクト管理の知識体系まとめたPMBOK、公開予定の第8版は「揺り戻し」

                      PMBOK(Project Management Body of Knowledge)ガイドは、プロジェクトマネジメントに必要な知識を体系化してまとめた冊子。米プロジェクトマネジメント協会(PMI)が発行している。プロジェクトマネジメントの実態を反映し数年ごとに改訂されており、2025年に第8版の英語版が公開される見込みだ。 現時点での最新版である第7版は2021年に公開された。PMI日本支部の理事で標準推進委員会委員長の金子啓一郎氏は、「第7版はこれまでの版から大幅に変わった」と指摘する。大きな変更となったのが、プロセスベースから原理・原則ベースへの転換だ。 具体的には、プロジェクトを円滑に進めるための基本的な行動指針として、12個の「原理・原則」を示す。原理・原則に基づいた8個の「プロジェクト・パフォーマンス領域」を定義し、プロジェクトの成功に向けた行動内容を示す。内容は概念的な記述が

                        プロジェクト管理の知識体系まとめたPMBOK、公開予定の第8版は「揺り戻し」
                      • 日本のPMP資格者数は世界5位、その力を生かせているのか

                        「5人のボランティアが米国で始めたPMI(プロジェクト・マネジメント・インスティテュート)は世界最大のプロフェッショナル・コミュニティーになった。今なお成長を続けており、中でもアジア・パシフィック(AP)は最速の伸びを示している」 来日したPMIのソヒュン・カン アジア・パシフィック・リージョナル・マネージング・ディレクターはこう切り出した。PMIが認証した「プロジェクトマネジメントプロフェッショナル(PMP)」と呼ぶ資格の保有者は全世界で160万人いて、このうち68万人がPMIの会員になっている。APの42カ国(中国とインドを除く)で見ると、PMPが14万人で会員が6万2000人だ。 APの中で最も多いのは日本で、PMPが4万4000人で会員が1万3000人。さらに1万3000人のうち、6000人はPMI日本支部という地域組織の会員にもなっている。4万4000人は中国、米国、カナダ、イン

                          日本のPMP資格者数は世界5位、その力を生かせているのか
                        • 「IT業界の構造と個人の勉強不足が低賃金エンジニアの原因だ」、DBICの西野氏

                          ITエンジニアの給与を国際比較した場合、日本のITエンジニアの平均年収は3万6061ドルで世界72カ国中26位。24位だった中国を下回った――。2024年1月に人材派遣会社のヒューマンリソシアがこんな調査結果を発表した。 日本のITエンジニアの平均年収(前年比)は円ベースで0.4%増と、G7構成国(カナダを除く)の平均となる同2.6%増を下回る。グローバルで見て日本のITエンジニアの給与はなぜ低いのか。様々な立場の識者4人に聞いていく。 「日本の給与水準が低いのではなくて、国際的に見て日本のITエンジニアの価値が上がっていない」と語るのは、グローバルのIT事情に精通した、デジタルビジネス・イノベーションセンター(DBIC)の共同代表である西野弘氏だ。国際的に見た日本のITエンジニアについて処遇の在り方と今後採るべき方策を聞いた。 西野さんは、スイスのIMD(国際経営開発研究所)と共同でリー

                            「IT業界の構造と個人の勉強不足が低賃金エンジニアの原因だ」、DBICの西野氏
                          • 京大病院がマイナカード保険証利用に「NO」を突き付けたワケ

                            2021年3月から開始予定だった、医療機関などでマイナンバーカードを健康保険証として利用する「オンライン資格確認」。相次ぐトラブルを受け、厚生労働省は本格稼働を約半年後に延期した。だが、トラブル発覚以前から医療機関は導入に後ろ向きだった。医療機関の負担が過大なだけでなく、少なくとも現段階では医療機関側がメリットを見いだせる状況にないからだ。 「当初、京大病院では導入しないと判断した」。京都大学医学部付属病院で医療情報企画部長を務める黒田知宏教授は、こう振り返る。 黒田教授は情報科学が専門で、2001年から京大病院の情報システムを担当する。システムやネットワークに詳しく、マイナンバーカードの保険証利用について厚労省担当者らに質問するなどしてやり取りを重ねてきたが、2019年12月に「導入しない」と判断した。 受付対応が外来診療時間に終わらない 当初「NO」と判断した理由は、導入によって病院受

                              京大病院がマイナカード保険証利用に「NO」を突き付けたワケ
                            • ダイハツ不正の真因は「技術力不足」、トヨタ出身経営者が見抜けぬ訳

                              スピード開発である「時短開発」をこなし切れない開発設計部門の「技術力不足」が不正を招いた。厳しい開発日程による「時間不足」によって短期開発ができずに認証部門が不正を行ったという調査書の見方を、自動車の開発設計の経験者は否定する。(出所:日経クロステック、「ミラ イース」の写真:ダイハツ工業) 結論から言えば、ダイハツ工業が不正に手を染めた真因(問題を引き起こした本当の原因)は「技術力不足」にある。それを許したのは管理職の機能不全およびリスクに対する経営陣の機能不全だ。そして、少なくとも34年間、不正を継続し隠蔽し続けても問題にならなかったという現実が、同社の不正行為を正当化した──。これが専門家への取材を通じて得た、ダイハツ工業の不正問題の「真相」である(図1)。 改めて、第三者委員会による調査報告書(以下、報告書)の見方は表層的なものにすぎないと指摘しておく。そのわけは、社員が「本当の事

                                ダイハツ不正の真因は「技術力不足」、トヨタ出身経営者が見抜けぬ訳
                              • ランサムウエア被害のならコープ、身代金は支払わずシステム再構築に2カ月超

                                2022年10月、ならコープがランサムウエア攻撃の被害を受けた。業務システム群が暗号化され、店舗と宅配関連サービスに支障が出た。2023年1月10日時点で侵入経路の特定には至っていない。最終的に身代金は支払わず、過去のバックアップから自力でシステム復旧を目指した。とはいえ、ソースコードから再構築するなどの手間で再稼働に2カ月超を要した。 2022年10月9日早朝、生活協同組合のならコープが奈良県内で運営する10の店舗すべてで混乱が生じていた。午前9時の開店に向けて準備していたところ、POS(販売時点情報管理)レジや商品の受発注に使う端末などがネットワークに接続できなくなったのだ。店舗のスタッフは本部に連絡してトラブルが発生している旨を伝え、指示を仰いだ。 その頃、別の異変も起こっていた。複数の店舗や本部、物流センターなどでプリンターが勝手に大量の印刷を始めたのだ。そこにはランサムウエア(身

                                  ランサムウエア被害のならコープ、身代金は支払わずシステム再構築に2カ月超
                                • 警察がランサムウエア被害のデータを復旧、どうやって高度な暗号化から復元したのか

                                  国内におけるランサムウエア(身代金要求型ウイルス)被害が相次ぐなか、被害者救済に明るい兆しが見えてきた。警察庁がランサムウエアによって暗号化されたデータの復旧に成功したというのだ。日本経済新聞社の報道によれば、ランサムウエアの一種「LockBit(ロックビット)」の被害に遭った3社で、警察庁が暗号化されたデータを元の状態に戻すことに成功したという。 警察庁サイバー捜査課は報道内容に関する日経クロステックの取材に対して2023年1月、ランサムウエア被害組織のサイバー特別捜査隊による捜査の過程でデータの復旧に複数件成功したことを明らかにした。サイバー特別捜査隊は2022年4月に発足した、重大なサイバー攻撃への対処を担う国の捜査機関だ。 ただ、多くのランサムウエアはインターネット通信の暗号化に使うTLS/SSLで採用されるAESなど、高度な暗号化技術を利用している。暗号化を解除する鍵(復号鍵)を

                                    警察がランサムウエア被害のデータを復旧、どうやって高度な暗号化から復元したのか
                                  • データセンター電力「100分の1」へ、光電融合10の疑問

                                    生成AI(人工知能)の普及により、データセンターで扱う莫大な電力量が課題になっている。これを受けて開発が加速するのが、データの送受信に使う電力を激減できる光電融合技術だ。同技術の現在地や課題、将来を10の疑問で解き明かす。 Q1:そもそも光電融合やシリコンフォトニクスとは? Q2:光電融合の現状は? Q3:なぜ今、CPOの開発が加速しているの? Q4:どんなプレーヤーが光電融合に関わっている? Q5:日本のプレーヤーはどんな企業? Q6:日本における業界の課題は? Q7:光学エンジンとは? Q8:CPOの普及に向けた技術的課題は? Q9:光電融合はゲームチェンジャーになる? Q10:これからの光電融合業界はどうなる? Q1:そもそも光電融合やシリコンフォトニクスとは? 光電融合は、光回路と電気回路を統合するというコンセプトだ。従来の銅線を用いた電気によるデータ伝送は、周波数が高くなるほど消

                                      データセンター電力「100分の1」へ、光電融合10の疑問
                                    • 神奈川県公立高入試のネット出願にGmailが使えず、原因特定の難航で復旧に1カ月

                                      2024年1月、約5万人が使う神奈川県のネット出願システムでトラブルが起きた。受験生がアカウント登録にGmailのアドレスを使うと、メールが届かなくなった。ネット出願システムの設定の不備で、Gmail側がスパムと判断した可能性が高い。県教委は設定を見直してトラブルが解消したとみられたが、翌週にも再発した。対応は難航し、復旧まで実に1カ月の期間を要した。 「志願者や保護者、中学校関係者らにご迷惑をおかけしたことを深くおわび申し上げる」――。神奈川県教育委員会の担当者は、県内の公立高校入試の出願に使う「神奈川県公立高等学校入学者選抜統合型インターネット出願システム(以下、ネット出願システム)」で2024年1月9日から継続して発生したトラブルについてこう謝罪する。 神奈川県は2024年度から公立高校入試の出願方法を、従来の紙からインターネットに切り替えた。ネット出願は各地で取り組みが広まっており

                                        神奈川県公立高入試のネット出願にGmailが使えず、原因特定の難航で復旧に1カ月
                                      • 「取得したいIT資格」は登録セキスペが1位、AWSの6連覇ならず

                                        「IT資格実態調査」を2023年10月から11月にかけて、日経BPの技術系サイト「日経クロステック」で実施。編集部が選んだ50種類のIT資格について、アンケート形式で保有状況や役立ち度合い、今後の取得意向を調べた。IT資格実態調査は2017年から毎年実施しており、今回は7回目に当たる。 5年ぶりに情報処理安全確保支援士が返り咲く 今回はIT資格の取得意欲を見る。アンケートで、50種類のIT資格の中から「これから取りたいと思うIT資格」を最大3つ選んでもらった。 最も多くの回答を集めたのは「情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)」で、229人の回答者のうち47人が取得したいと回答した。回答者全体に占める回答率は20.5%である。第1回IT資格実態調査で回答率1位を得たが、第2回の2018年以降からは「AWS認定各種(ソリューションアーキテクトなど)」が毎年1位だった。今回、5年ぶりに1位の座

                                          「取得したいIT資格」は登録セキスペが1位、AWSの6連覇ならず
                                        • 「こんな受講者は嫌だ」、自動車ソフト技術者のリスキリング講師に聞く

                                          無邪気に宣言するのはいいけれど、本当にできるのか――。自動車業界で活発化するリスキリング(学び直し)の動き。自動車メーカーや部品メーカーは機械(メカ)技術者をソフトウエア技術者へと転身させる計画を次々に打ち出す。研修プログラムをこなすことで、時代が求めるスキルを手に入れられるらしい。 メーカー側は「できる」と言う。なぜならソフト技術者を増やすための研修を用意したから。「とりあえず受けて」と上司から指示されてこなす研修に身が入らない筆者は、どうしても疑ってしまう。実態を知りたくて、リスキリングの研修を提供する側を取材してみることにした。 話を聞いたのはAKKODiSコンサルティング(東京・港)。リスキリング研修のサービスなどを提供する企業で、自動車メーカーや部品メーカーにも顧客が多い。公表しているところでは、デンソーの転身プログラムを支援する。 AKKODiSコンサルティング常務執行役員兼最

                                            「こんな受講者は嫌だ」、自動車ソフト技術者のリスキリング講師に聞く
                                          • 三菱電機と富士フイルムHDに聞く、サイバー攻撃被害の教訓とその後の対策

                                            従来の境界型防御は、最新の攻撃手法には無力だった――。サイバー攻撃の被害企業は、事件を転機にセキュリティー対策を大きく転換させた。被害企業が得た苦い教訓とその後の対策は、多くの企業にとって参考になる。 「セキュリティー対策は常に進化させる必要があると痛感した」。三菱電機の三谷英一郎常務執行役CIO(最高情報責任者)は、4年前の2019年にサイバー攻撃の被害に遭った教訓をこう語る。 同社は2020年1月、不正アクセスの被害を受けたと発表した。防衛省による2021年12月の発表によれば、三菱電機から流出したファイルの中には、防衛に関連するものが2万件あり、その中には安全保障に影響を及ぼす恐れのあるファイルが59件含まれていたとする。 攻撃者は2019年3月、ウイルス対策ソフトなどの脆弱性を突いて三菱電機の中国拠点に侵入し、その後に日本拠点にも侵入するなど不正アクセスの範囲を広げていった。「(当

                                              三菱電機と富士フイルムHDに聞く、サイバー攻撃被害の教訓とその後の対策
                                            • 「なぜ同じ失敗を繰り返すのか」それは昔のことを忘れているから

                                              「ソフト開発業界は『多重下請け構造から水平分業へ』『人月単価から価値の訴求へ』というが、いずれも1990年代の議論。これがまた蒸し返されている」 つい先日、尊敬している先輩記者に久しぶりに会った後、こんなメッセージが送られてきた。次のように返信した。「反論するわけではないですが、谷島が記者になった1985年からその議論はあったと思います」 多重下請けや人月単価の是非はさておき、この話は昔からまったく変わらない。それどころか多重下請けをあえて狙うソフト開発会社というか、人貸し会社が次々に設立されて活況であるという。複数の人からこれまた最近聞いた話だ。 若い人をかき集めて右から左に動かす。教育は送り込んだ先にしてもらう(してもらえないこともある)。成果物への責任は負わない(階層の上にいる会社が負う)。社員の机も大きな事務所も不要である。こうしてみるとノーリスク・ハイリターンの事業モデルといえそ

                                                「なぜ同じ失敗を繰り返すのか」それは昔のことを忘れているから
                                              • 10年前からプロジェクトの成功率がさっぱり上がらない理由

                                                「近年のシステム作りについて、10年前と比較して成功の割合は上がっていると思われますか?」 こういう質問を2023年11月12日、受けた。「PMI Japan Festa 2023」という講演会で50分ほど話をした際、オンラインで聴講された方が書き込んだ質問だ。時間の関係で当日は2つの質問に答えただけで終わってしまった。後ほど事務局がすべての質問をまとめたファイルを送ってくれたので、回答文を書き込んで事務局に送り返した。 冒頭の質問には次のように答えた。 「あくまでも勘ですが、プロジェクトの成功率は変わっていないのでは。つまりさほど高くはないということです。成功の定義にもよりますが。システム作りのテクノロジーがこれだけ進歩したにもかかわらず成功率が上がらないのは積み重ねがないからだと考えています。そのつど最新の開発手法に飛びつきますが、それ以前の経験や知見やハウツーが引き継がれず、同じよう

                                                  10年前からプロジェクトの成功率がさっぱり上がらない理由
                                                • ランサムウエア被害の大阪の病院、初動から全面復旧まで2カ月間の全貌

                                                  大阪急性期・総合医療センターは2022年10月、ランサムウエア攻撃の被害に遭った。電子カルテなどが暗号化され、外来診療や各種検査の停止を余儀なくされた。ランサムウエアの侵入口は給食委託事業者のVPN装置だった。攻撃者はパスワードの辞書攻撃などを駆使し、拡散を図ったとみられる。4日前のバックアップデータは残っていたが、復旧には2カ月を要した。 「電子カルテが動かない」。2022年10月31日午前6時38分ごろ、大阪急性期・総合医療センターでは、入院患者を診る病棟担当の看護師などからこのような声が相次いだ。原因はランサムウエア(身代金要求型ウイルス)攻撃だった。電子カルテシステムをはじめとした院内システムのデータが暗号化されてしまった。 大阪急性期・総合医療センターは病床数が800超に及ぶ大型病院である。地域の医療を支える重要な役割を担うが、ランサムウエア攻撃の被害で外来診療や各種検査、救急患

                                                    ランサムウエア被害の大阪の病院、初動から全面復旧まで2カ月間の全貌
                                                  • 「EVシフト」幻想を疑え、欧州や中国すらHEVを認めている現実

                                                    2050年のカーボンニュートラル(温暖化ガスの排出量実質ゼロ)の達成に向けて、電気自動車(EV)シフトの必要性が叫ばれている。Touson自動車戦略研究所代表で自動車・環境技術戦略アナリストの藤村俊夫氏は、「EV1本に絞ることは危険。重要なのは、グリーン電力の拡大とグリーン燃料の早期開発・導入による既存車も含めた二酸化炭素排出量(CO2)の削減だ」と説く。業界の壁を越えて、求められている対策は何か。「日経クロステック ラーニング」で「2030年目標必達、政府と産業界が採るべき脱炭素戦略」の講師を務める藤村氏に聞いた。 欧州を中心に電気自動車(EV)シフトの機運が高まっています。 藤村氏:本当にEVシフトの機運が高まっているのか疑問だ。 まずはメディアの報道を真に受けないほうがいいと忠告しておきたい。十分な理解もないまま欧州メーカーの表明をうのみにし、EVが世界的に売れているとあおっているよ

                                                      「EVシフト」幻想を疑え、欧州や中国すらHEVを認めている現実
                                                    • AI同士が対話して高度なマルウエアをつくり出す、「自律型エージェント」の脅威

                                                      前回は特殊な指示を与えるなどの方法で想定外の挙動を引き起こす「異常系アプローチ」について詳しく見た。異常系アプローチは攻撃者にとって実施のハードルが比較的低い一方で、防御側も対策を講じやすい。 これに対し、対策を打ちにくい脅威が「正常系アプローチ」である。特別な指示を使わず、質問の手法を工夫することによってガードレールを迂回する。具体的には、悪意を伏せた質問で「ChatGPT」に「気付かせず」に回答させる。筆者は3つの手口に分類する。 悪意を伏せて気付かせない 1つ目は「タスクの細分化」である。不適切な質問でも、小さな要素に分解すれば悪意は薄れる。要件を細かなタスクに分解し、各タスクに対応する質問を1つずつ答えさせることで目的を達成する。 2つ目は悪意が伝わる表現を言い換える「表現のステルス化」だ。例えば「ランサムウエア」ではなく「ファイルを暗号化するプログラム」と言い換えて悪意を隠蔽する

                                                        AI同士が対話して高度なマルウエアをつくり出す、「自律型エージェント」の脅威
                                                      • 「プロマネは絶対に技術者でなければダメだ」、この妄想がDXを失敗させる元凶だぞ

                                                        「プロジェクトマネジャー(プロマネ)は絶対に技術者でなければダメだ」と言い張る技術者が多くて困る――。これは私の前々からの認識だ。何で絶対に技術者でなければダメなのか、もう意味が分からない。最近はそんな「信念」を抱く技術者は少なくなったのではと思っていたが、そうでもないらしい。ついこの間もX(旧Twitter)でつぶやいたら、反発の声が随分寄せられた。本当に相変わらずだな。 プロマネは絶対に技術者でないとダメと言う技術者は、なぜそんな妄想に陥ってしまうのだろうか。「システム開発プロジェクトなのだから、そのマネジメントは技術者しか務まらない」と思っているのだろうか。それとも、いずれ自分がプロマネになりたいと思っているので「よそ者」にそのポジションを取られるのが我慢ならないのか。あるいは、システム開発の現場を知らない連中があれこれ指図するのは勘弁してほしいということなのかもしれないな。 そんな

                                                          「プロマネは絶対に技術者でなければダメだ」、この妄想がDXを失敗させる元凶だぞ
                                                        • 揺れ幅最大の超難物データ、日本の「住所」をどう整えるか

                                                          私が住所データとの格闘を始めたのは20年ほど前のことである。顧客の情報システムを開発し、納品するとき、住所の取り扱いにいつも苦労した。 例えば創業から数十年たつ老舗企業から依頼が来る。「台帳にこつこつと蓄積してきた得意先の住所があるので情報システムに入れて使いこなしたい」。貴重なデータであることは間違いないが表記のルールがばらばらだとそのままでは使えない。 平成の大合併前の住所データが残っていると配送の仕事をしている企業であれば表記の揺れがミスにつながり、遅延や再送などコスト増になりかねない。個人を特定する名寄せに住所を使う場合でもデータに揺れがあると成功率は下がる。経営陣が「顧客データを活用せよ」と力んでも効果はなかなか出ない。 そもそもデータには揺れやすい性質があり意識的かつ定期的に保全しないと再利用性は下がり続ける。そのことを前回書いた。 表記ルールが複雑怪奇で揺れ幅最大と言える難物

                                                            揺れ幅最大の超難物データ、日本の「住所」をどう整えるか
                                                          • 営業部長の罵声に負けた設計課長

                                                            足を踏み外した瞬間 C社は先代社長が技術畑だったこともあり、堅実な設計に定評があった。その分、設計部門では保守的な考えが根強かった。この姿勢に不満を持っていたのが、営業部長だ。彼は「顧客の要求を全て引き受ける」ことこそがビジネスの鍵であると考え、強気の受注方針を採った。そして、それが功を奏して売り上げが拡大。営業部門の発言力は、社内でも抵抗できる者がいなくなるほど強大になっていった。 営業部門は注文を受ける前に「できるかできないか」を議論するようでは、新たな注文は取れないと考えていた。まずはどんな依頼でも受注した上で技術を開発し、顧客が望む製品を造るべきだという姿勢だった。これに対し、設計部門は高い技術力を持ってはいるが、安請け合いを極端に嫌う風土があった。 設計部門は決して技術的な挑戦から逃げているわけではなかった。営業部門からの受注可否の打診に対し、現在の技術力など客観的な状況を踏まえ

                                                              営業部長の罵声に負けた設計課長
                                                            • Linuxカーネルを理解しよう

                                                              Linuxは現在、多くの分野で利用されている。その心臓部が「カーネル」だ。Linuxを使いこなすのに必要なカーネルの知識を解説する。 第5回 メモリー管理もLinuxカーネルの重要な仕事、プロセス間の競合防ぐ Linuxカーネルは複数のプロセスを稼働できます。また、複数のユーザーがシステムを共同利用する「マルチユーザー利用」にも対応しています。このようなOSでは、各プロセスが利用するメモリー領域が重ならないようにする仕組みなどが必要です。 2024.08.23 第4回 Linuxカーネルのタスク管理、短い間隔で切り替えて疑似的に同時実行 Linuxでプログラムを実行すると「プロセス」または「スレッド」が作成されます。プロセスとは、主メモリーに読み込まれ、独立したメモリー空間を割り当てられて稼働中のプログラムのことです。Linuxにおけるスレッドとは、ほかのプロセスやスレッドとメモリー空間を

                                                                Linuxカーネルを理解しよう
                                                              • 三菱電機は不正撲滅に何が必要か?顧客を見るトヨタの開発と技術者の正当な評価

                                                                品質不正(以下、不正)の真因(問題を引き起こした本当の原因)は、設計目標値のいいかげんな決め方にある。そして、その設計目標値をクリアできない技術開発力の低さが性能不足を生んだ。にもかかわらず、出荷して収益を確保したいという設計部(工場)の思惑が、不正の動機となった──。 日経クロステックの既報の通り、これが取材から導き出された三菱電機による不正の真因と動機だ。同社の不正を調査した外部調査委員会の調査報告書(以下、報告書)はこの点について一切触れていない。不正の再発を防止したいのであれば、三菱電機はこの真因から決して目を背けてはならない。 では、不正の再発を防ぐために、具体的にはどのような手を打てばよいのか(図1)。 その設計目標値に「根拠」はあるか 開発設計の専門家が指摘するのは、妥当性のある設計目標値を設定することだ。例えば、三菱電機の業務用エアコンの開発設計では、新モデルを企画する際に

                                                                  三菱電機は不正撲滅に何が必要か?顧客を見るトヨタの開発と技術者の正当な評価
                                                                • リスキリングで優先したい、プロジェクトマネジメント能力を育てよ

                                                                  今回は、いわゆるIT職場(IT企業やSIer、情報システム部門)の人たちが既に身に付けているはずのプロジェクトマネジメント能力について論じる。世の中を見回してみると、プロジェクトマネジメントの能力不足やプロジェクトマネジメントの担当者不在が原因で業務がうまく回っていない事象が散見される。 職場のそのモヤモヤはプロジェクトマネジメント不在で起こっているかも プロジェクトマネジメント能力を備える人がいないのでうまく立ち上がらない。あるいはそもそもプロジェクトマネジメントの考え方、もっといえばプロジェクト型で物事を進める発想・経験がないためにうまく進まない。このようなことは世の中にたくさんある。以下、いくつか具体例を示そう。 (1)新規事業が立ち上がらない 世間は新規事業創造ブームである。スタートアップの立ち上げが盛んだ。大企業も新規事業推進室などの専任部署を立ち上げ、従来と異なるビジネスモデル

                                                                    リスキリングで優先したい、プロジェクトマネジメント能力を育てよ
                                                                  • 通常業務を2年間免除、ダイキンは企業内大学で「Π型人材」を徹底育成

                                                                    「DX銘柄2023」の1社であるダイキン工業は、新入社員をDX(デジタルトランスフォーメーション)人材に育て上げることに心血を注いでいる。対象の社員には、2年間通常業務を受け持たせず、AI(人工知能)の基礎知識や活用法を勉強させるほどの徹底ぶりだ。 人材育成を担うのは、ダイキン工業の企業内大学「ダイキン情報技術大学」。2017年12月に設立し、2018年4月には新入社員100人を受け入れた。2023年4月時点で累計390人の卒業生を送り出している。 これほど大規模な新人教育に踏み切った背景には、危機意識があった。ダイキン情報技術大学設立当初、空調の組み込みシステムや基幹システムを担当する人材はいたものの、情報系の技術者は全従業員の1%ほど。「DX人材の争奪戦は激しく、中途採用も難しい」と、ダイキン工業の下津直武テクノロジー・イノベーションセンターデータ活用推進グループ主任技師は当時を振り返

                                                                      通常業務を2年間免除、ダイキンは企業内大学で「Π型人材」を徹底育成
                                                                    • 出荷を死守せよと言われ、追い詰められた品質保証の課長

                                                                      ジェムコ日本経営 本部長コンサルタント、経営学修士(MBA)、大阪産業大学 経営学部商学科 非常勤講師 足を踏み外した瞬間 有り余る人員を確保している工場は、恐らく少数だろう。現実には人員をなかなか確保できず、ぎりぎりの状態で生産を行っている工場が多い。そうした工場では病欠や出張などで誰かが不在になると、たちまち業務が回らなくなってしまう。さらに言えば、作業者は常に過負荷になっていて有給休暇を取ることもかなわず、モチベーションの低下や退職者の増加など、悩ましい問題を抱えているものだ。 D社の工場も例に漏れず、ぎりぎりの人員で生産活動を続けていた。特に出荷検査を担当している品質保証課では、検査員の人数が生産計画から算出される必要人員よりも1人少なかった。検査員の誰か1人でも欠勤すると、出荷検査が間に合わなくなってしまう。そのため、検査員の資格を持った課長や部長が欠勤者の穴埋めをすることが半ば

                                                                        出荷を死守せよと言われ、追い詰められた品質保証の課長
                                                                      • 成果物を出せずに「報酬ゼロ」の例も、準委任契約に「成果完成型」

                                                                        契約が途中で解除された場合に、報酬をどれだけ得られるのかは、多くの受注者にとって気になる問題だ。民法には、発注者が受けた利益の割合に応じて部分的に報酬を支払う規定がある。ただ、発注者が利益を得なければ、報酬ゼロもあり得る。 中日本高速道路会社が発注した設計業務で、人材不足や業務難航などを理由に履行期限までに完了しない案件が、この1年ほどの間に相次いでいる。その中には、契約解除に至った例もある。トップライズ(新潟市)、日発技研(松江市)、丸栄調査設計(三重県松阪市)が手掛けた計5件の業務だ(資料1、2)。

                                                                          成果物を出せずに「報酬ゼロ」の例も、準委任契約に「成果完成型」
                                                                        • デジタル赤字「2035年に最大45兆円」と経産省が警鐘、問われる構造改革への本気度

                                                                          経済産業省が2025年4月30日に公表したリポートが注目を集めている。名称は「デジタル経済レポート:データに飲み込まれる世界、聖域なきデジタル市場の生存戦略」だ。注目を集めている理由の1つは、独自のモデルを作ってデジタル関連サービスの国際収支を推計し、対外の支払い超過である「デジタル赤字」の実態に迫ろうとしていることだ。 これまで日本のデジタル収支は日本銀行が公表する「国際収支統計」を基に集計してきた。ただし日銀の統計は、デジタル広告にマス媒体など非デジタルの広告や経営コンサルティングサービスが合算されているなど、デジタルに焦点を絞った分析がしにくかった。 経済産業省が推計モデルから導いた2024年のデジタル赤字は約5兆9000億円だ。日銀統計に基づく2024年のデジタル赤字額である6兆6507億円(速報値)よりも小さく推計されたのは、対象をデジタルに絞れた効果だという。

                                                                            デジタル赤字「2035年に最大45兆円」と経産省が警鐘、問われる構造改革への本気度
                                                                          • コードを極力いじらない開発こそ正義

                                                                            「システム開発とは結局のところコーディング、と思われているようですが大間違いです」 つい先日、海外のソフト開発者と組んで仕事をしているプロフェッショナルとやり取りをした際、こう指摘された。「ソースコードを修正するには」という言い方をしたところ、「原則としてソースコードはそのまま使う。いじらない」と正されてしまった。 そのプロの説明はこうだ。今やシステムを開発することは事業や組織の開発と表裏一体である。こういう事業をやりたい、こんな組織にして動きたい、という構想がまずある。構想を支えるシステムを用意するために、世の中にあるクラウドサービスやパッケージソフトウエア、オープンソースソフトウエアなどを組み合わせ、実際に動かしてみて、必要があれば構想も含めて調整していく。これが開発である。 どうしても足りないコンポーネントを用意するためにコードを書くことはあるが、利用者の細かな要求を受け入れてクラウ

                                                                              コードを極力いじらない開発こそ正義
                                                                            • 化学業界の隠れた高収益企業、日産化学を徹底解剖

                                                                              化学業界において、純利益が過去最高益を10年連続で更新し続け、2022年3月期には営業利益率24.5%を達成するなど、快進撃を続けている企業がある。半導体やディスプレー向け材料などを手掛ける日産化学だ。景気変動の影響を受けやすい化学業界にあって、2003年以降、20年にわたり営業利益率は10%以上を維持。大手総合化学メーカーの大半は営業利益率は1桁%台にとどまるのに比べると、同社の高い収益性が際立つ*1。

                                                                                化学業界の隠れた高収益企業、日産化学を徹底解剖
                                                                              • ソニーが挑むソフト設計工程の改善、欠陥リスクを発見する「パターン」とは

                                                                                開発時間が限られる中でも、開発工程の上流から効率的に品質をつくり込むことで、ソフトウエアのQCD(品質・コスト・デリバリー)をより良くしたい――。筆者らが所属するソニーグローバルマニュファクチャリング&オペレーションズ(SGMO)は、この考えで設計の改善に取り組んでいる。SGMOはソニーの子会社で、ゲーム機の「PlayStation5」や愛犬ロボットの「aibo」、テレビの「ブラビア」、デジタルカメラの「α(アルファ)」「VLOGCAM」、医療機器などを製造している。それらの製品に組み込むソフトウエアの役割やQCD向上は近年ますます重要になっている。 ソフトウエア開発では実装やテストの工程で欠陥が見つかり手戻りが発生すると、QCDに悪影響を及ぼす。上流工程である設計において、後工程で顕在化するかもしれない欠陥リスクを見つけて対処しておくのが望ましい(設計の段階では後工程で欠陥が顕在化するか

                                                                                  ソニーが挑むソフト設計工程の改善、欠陥リスクを発見する「パターン」とは
                                                                                • マイナカードで証明できる国家資格に公認会計士など44資格を追加、政府が改正法案

                                                                                  政府は2025年3月7日、マイナンバーカードを使って手続きや証明ができる国家資格を広げるマイナンバー法改正案を閣議決定した。公認会計士や司法書士、獣医師など44の資格を追加することを柱とする。 法改正後は、政府がマイナンバーを使って対象資格と本人をひも付けて管理できるようになる。マイナンバーで国家資格と本人をひも付けて管理するシステムは、デジタル庁が2024年8月に稼働済み。ひも付けは、希望する資格保有者がマイナポータルを通じて自ら手続きする。ひも付けた後は資格の更新や変更、免許登録、デジタルでの資格証明発行などの手続きがオンラインで可能になる。 国家資格とマイナンバーをひも付け可能にする法改正は、2021年と2023年にも実施している。医師や美容師、理容師など80以上の資格が、法的にはひも付け可能になっている。その上でデジタル庁は資格を管理する関連団体とシステム対応の準備を進めている。

                                                                                    マイナカードで証明できる国家資格に公認会計士など44資格を追加、政府が改正法案

                                                                                  新着記事