新型コロナウイルスによる行動制限が昨年春に解除され、活況が戻りつつある百貨店。ところが消費者の購買動向は大きく変化している。ファッションなど高額品の需要が高まる一方、中間価格帯の紳士服や生活用品などは振るわない。背景に物価高と実質賃金の低迷による生活防衛意識、専門店やインターネット販売の拡大がある。各社は生き残りへ、多様な商品価値を提案するなどの新たな戦略を練っている。 生活雑貨や紳士服が低迷 「デパ地下といえば阪神やろ」。そう考える大阪人は多いようだ。阪急阪神百貨店の阪神梅田本店(大阪市北区)の地下1階食品売り場「阪神食品館」入り口には、人気店の洋菓子を求めて行列をつくる人々の姿が店外にまで続く。 同店は昨年4月、約7年半かけた改装工事が完了し、全面開業。全フロアの3割以上を食品関係とするなど得意の「食」を前面に押し出した。阪急阪神百貨店を傘下に持つエイチ・ツー・オー(H2O)リテイリン