次は西日本大震災 2011年3月11日午後2時46分、東日本大震災(東北地方太平洋沖地震・M9.0)が発生。その大揺れ直後、ヘドロを巻き込みどす黒い濁流となった大津波が、いとも易々と沿岸の防潮堤を乗り越え、次々と人、車、家に襲いかかり、飲み込みさらっていった。その情け容赦のない凄まじい映像(光景)に日本中が凍り付いた。恐怖と衝撃はそれで終わらなかった。東京電力福島第一原子力発電所(以下「第一原発」)では、地震と津波で全電源が停止し、炉心溶融(メルトダウン)という最も深刻な原子力災害が発生。現在も懸命に廃炉作業は続けられているが見通しは厳しい。 あの時、内閣総理大臣から発出された「原子力緊急事態宣言」は、未だに解除されていない。震災関連の避難者は、今も全国で約3万人(2023年5月1日現在・復興庁)。インタビューに応じた福島県富岡町からの避難者Aさん(65歳)は、「原子力緊急事態宣言が解除さ