新年、ようやく源氏を書くことにしました。 容易に大概案内できる大作ではありませんし、 好き勝手に書きたいとも思いません。 しかし、源氏はわれわれのどこかに プロトタイピングされている物語でもあります。 長らく「もののあはれ」や「いろごのみ」が 主題だとされてきましたが、 「面影」が複合離散していく物語でもありましょう。 それでは、千夜千冊としては 初めて3夜にわたって書きつなぎます。 少し遅めですが、あけましておめでとうございます。乙未(いつび/きのとひつじ)の正月です。新しい年の千夜千冊の「話し初め・書き始め」なので、ぼくも幾分あらたまる気持ちをもって『源氏物語』をめぐるぼくなりの話をしたいと思います。納得できるものになるかどうかは保証のかぎりではありません。 正月の『源氏』といえば、巻22の「玉鬘」(たまかずら)とそれに続く巻23の「初音」(はつね)です。紆余曲折のあげくついに太政大臣