今はまだ創作に登場するだけでも歓迎せざるを得ない段階にある。これから我々は気の遠くなるような時間をかけ、たとえ凡庸なものであっても障害者表象を蓄積していかなければならない。量をストックし続ける事が、優れた表現を芽吹かせるための土壌となる。 アニメ版『ジョゼと虎と魚たち』予告編より その先の遥か未来、豊かな物語が障害者からも健常者からもたくさん現れていくだろう。そして最終的には、障害者が何の理由もなく出てくるようになる事を願っている。 最後に、本作の白眉と言える箇所を紹介しておきたい。 「ずっと届かんかった 屋根に引っ掛かった赤い風船にも 木にくっついとるセミの抜け殻にも 雨の日に水玉の傘さして歩くのも 神社の階段駆け上がるのも 全部…」 車椅子に乗る者の実感を見事に掬い取っている。絶望を語る言葉でありながらハッとする程美しい。このジョゼの台詞だけで、本作が世に出た意義はあった。 注4……