こんにちは、シナリオライターの各務都心(@toshinthepump)です。古今東西の傑作と呼ばれるゲームを、シナリオの面から掘り下げてみようという企画――「ゲームシナリオの解剖学」第8回は、『Return of the Obra Dinn』を取り上げる。今回もネタバレが出てくるので、未プレイの方は注意していただきたい。 古いMacやコモドール1084を意識したレトロ調のモノトーングラフィックに、「『オブラ・ディン号』 情報、求む 1803年、航海中に消息を絶つ」というだけの紹介メッセージ、探索と論理的推理以外に一切の遊びがないというとてつもなくソリッドな作品が、今回取り上げる『Return of the Obra Dinn』だ。 主人公は保険の調査員。4年間彷徨っていた船が戻ってきたために、主人公はその船の損害査定書を作ることになる。60名の船員は皆色々な死因で死んでおり、乗客名簿と照ら