欧州研究会 FY2022-1号 「研究レポート」は、日本国際問題研究所に設置された研究会参加者により執筆され、研究会での発表内容や時事問題等について、タイムリーに発信するものです。「研究レポート」は、執筆者の見解を表明したものです。 1.多極化時代における経済制裁の効果と副作用 米国のSDNリスト(特別指定国民および資格停止者リスト)、SWIFT(国際銀行間金融通信協会)からのロシア主要銀行の排除、資源関連技術・サービスの禁輸、石炭・原油の輸入禁止、タンカー輸送保険の禁止など、G7を中心として多角的な対ロシア経済制裁網が形成・強化され、ロシア経済に打撃を与えている。だが、2022年7月26日、IMFは、2022年のロシアの実質GDP成長率予測を4月時点のマイナス8.5%からマイナス6.0%に上方修正した。その根拠は、ロシアの金融・財政政策の効果と石油・ガス輸出収入である1。 2022年上半