Industrial&Engineering Chemistry Research誌に掲載されていて目を引かれた論文を紹介しておこう。 汚損して使えなくなった「不適格」な銀行券を置き換えるために、世界中で1500億枚近くの銀行券が毎年新たに刷られている。そのためにかかる費用は、1年あたりで100億ドルに迫ろうとしている。中央銀行がやらねばならないことは、他にもある。環境(自然環境)への影響に配慮しながら、15万トン近くにも及ぶ「不適格」な紙幣を処分せねばならないのだ。それも、毎年。オランダ銀行(DNB)による画期的な研究によって、銀行券が汚れる主たる原因が明らかになっている。人間の皮脂が表面に付着して、その皮脂が酸化するせいで黄ばむのである。超臨界二酸化炭素を使えば、偽造防止のために費用をかけて施されている最先端のあれやこれや(ホログラムだとか)を無効化することなく、銀行券――通常の紙幣だ