「足を悪くしている私にとって、車が足の代わり」。2022年11月に支給停止処分の取り消しと55万円の損害賠償を求めて提訴した女性(71)は裁判で、繰り返し訴えた。 ペットの理容師(トリマー)として働いてきた女性は、2019年7月から生活保護を受け始めた。長年の仕事などの影響で頸椎(けいつい)損傷による四肢体幹機能障害を患い、身体障害者手帳1級の交付を受ける。手足にしびれがあり、変形性膝関節症の影響でつえが欠かせない。50メートル以上歩くことも難しいが、最寄り駅まで約700メートル。バスも少ない。 生活保護の申請時、女性は通院するために車の保有を認めるよう申請すると同時に、売却した場合の見積書も提出した。しかし市は20年、有償の輸送サービスを使うよう求め、申請を却下。女性は「利用可能なサービスがない」「タクシーも車両が少なく、確保は困難」と訴えたが、市は保有を認めなかった。