2028年までに全個体電池を量産すると発表している日産。しかし、日産は世界的な電気自動車の市場争いで後れを取っているうえ、世界で競争するための規模も不足していていて、危険な賭けにでていると英紙は指摘する。 全固体電池をめぐる日本と中国勢の見解はわかれている 日産は2028年までに全固体電池を量産すると明言している。その一方で、全固体電池の技術はまだ黎明期にあるとの声もあがる。日産の幹部は2024年4月半ばに、その全固体電池を製造する工場内で、懐疑論を唱える企業は過去にしがみついているだけだと反論した。 「電池メーカーはどこも、現在使われている液体電池でずっと儲けていきたいと考えているのです。すでに多額を投資していますから、CATLのみならず、電池メーカーはどこも、全固体電池にあまり前向きではありません」。その幹部は工場見学の最中にそう語った。 幹部がそのように言うのは、電気自動車(EV)の
リチウム硫黄(Li-S)電池は、正極活物質に硫黄(S)、または硫黄化合物を用いたリチウムイオン2次電池(LIB)である。負極には金属リチウムか、その合金を用いることが多い。硫黄(S)は原子1個でリチウム(Li)原子2個を引き付けられる、もしくは電子2個を出すことができるため、理論上は既存のLIBの約10倍の重量エネルギー密度を達成できる。現実的には、2倍程度の重量エネルギーの実現を目標とした開発が進められている。 硫黄は地球上に豊富にある元素の1つ。地殻中における元素の含有率を示すクラーク数では炭素の次で、窒素よりも多い。そして、中国や米国、ロシアなどを中心に、化石燃料の精製や金属の精錬過程で分離された副産物として大量に生産されている。このため、非常に安価に入手でき、安定的な供給が確保できる。Li-S電池では、既存のLIBの正極で使われているコバルトやニッケルといった高価な金属材料が不要に
リチウムイオン電池超える「超高速充放電亜鉛二次電池」、産学連携で開発へ:革新的ナノ均一正極構造を採用 山形大学は、大阪ソーダやエムテックスマートと連携し、「革新的ナノ均一構造正極による超高速充放電亜鉛二次電池」の開発を行う。資源リスクが低い亜鉛金属を用い、現行のリチウムイオン二次電池を超える電池容量の実現を目指す。 現行のリチウムイオン二次電池を超える電池容量を目指す 山形大学理学部の石崎学准教授、栗原正人教授らによる研究グループは2024年6月、大阪ソーダやエムテックスマートと連携し、「革新的ナノ均一構造正極による超高速充放電亜鉛二次電池」の開発を行うと発表した。資源リスクが低い亜鉛金属を用い、現行のリチウムイオン二次電池を超える電池容量の実現を目指す。 山形大学の石崎氏らはこれまで、負極に金属亜鉛を用い、高速に充放電ができる二次電池に向けた「革新的ナノ均一正極構造」を開発してきた。今回
商用軽EV「N-VAN e:」を披露するホンダ統合地域本部日本統括部の高倉記行部長=13日、埼玉県和光市 ホンダは13日、商用軽自動車の電気自動車(EV)「N-VAN e:(エヌバン イー)」4モデルを10月10日に発売すると発表した。令和8年までに4車種の投入を計画している国内向けEVの第1弾。EV普及に向けて、国の補助金の活用により、購入負担が全モデルで100万円台となる価格設定とした。 同社はEVや車載電池のリース、電池の二次利用を手掛ける新会社を三菱商事と折半出資で7月に設立することも発表した。 ホンダは配送などの事業用では、静かで環境に優しいEVのニーズが顕在化しているとし、軽EVで事業展開を本格化して国内EV市場で「ナンバーワンを目指す」(統合地域本部日本統括部の高倉記行部長)方針だ。 今回の商用軽EVの航続距離は245キロ。充電時間は普通充電で約4時間半、約30分での急速充電
これで走るのか……? 超極薄「曲がる太陽電池」搭載EV 太陽電池スタートアップのPXP(相模原市)とモビリティスタートアップのEVジェネシス(東京都渋谷区)は2024年5月21日、「曲がる太陽電池」を搭載した小型EVの実証実験を開始したと発表しました。 拡大画像 「曲がる太陽電池」を搭載した小型EV(画像:PXP)。 小型の3輪EV(側車付軽二輪車登録、普通免許で運転可)の屋根に、PXPが開発した「カルコパイライト型」の曲がる太陽電池を搭載。太陽電池パネルはトータル1kg未満の超軽量設計で、厚さも1mmと超極薄だそうです。 1日の太陽光による発電のみで約15kmから20kmの走行が可能になると見込んでいるといいます。 さらに、現在開発中の「ペロブスカイトタンデム型」の曲がる太陽電池にアップグレードした場合は、1日の発電で約25kmから30kmの走行が可能になると見込まれるとのこと。日常の近
EV失速でどうなる? 電池覇権 電気自動車(EV)大手の米テスラや中国BYDのEV販売が失速。欧州系自動車メーカーもこぞってEV計画を先送りさせている。ここにきて、世界のEVシフトに待ったがかかっている状況だ。だがその一方で、EVの基幹デバイスである「車載バッテリー」の投資競争はむしろ過熱している。自動車メーカーによる電池メーカーの囲い込みが激化し、主要国の政府は経済安全保障の確保をスローガンに巨額の補助金を投下しているのだ。車載バッテリーの最新勢力図を描くとともに、国内電池メーカーの課題と“勝ち筋“を炙り出す。 バックナンバー一覧 世界の電気自動車(EV)市場に失速ムードが漂っているのとは対照的に、車載バッテリー市場の投資競争は激化している。経済産業省は日本の電池産業を全面的にバックアップする構えを見せており、今年度は5000億円にも上る巨額の補助金を投じる予定だ。EVの販売が減速してい
アメリカのバイデン政権は5月14日、中国製の電気自動車(EV)と太陽電池に対する制裁関税を引き上げると発表した。写真は「北京国際モーターショー」のブースに展示されたポルシェのEV ”Taycan”と龍。2024年4月25日(共同通信社) アメリカのバイデン政権は5月14日に中国製の電気自動車(EV)に対する制裁関税を現行の25%から100%に、太陽電池に対する制裁関税も25%から50%に引き上げると発表した。4月にアメリカのイエレン財務長官が訪中した際にもEV、太陽電池、二次電池において中国が過剰な生産能力を形成し、安い製品を輸出して外国を圧迫していると批判していた。今回の制裁関税の引き上げはそうしたアメリカ側の不満を背景とするものである。 需要は急成長 たしかに、中国のEVの工場稼働率は5割程度とされ(『日本経済新聞』2024年4月28日)、太陽電池に関しては、中国の生産能力はセルの段階
中国の電池メーカーが驚異的な成長を遂げ、世界最大の電気自動車(EV)メーカーとなった比亜迪(BYD)。その飛躍的な躍進は世界に衝撃を与えた。同社の創業者・王伝福氏は卓越した洞察力とユニークな経営手腕を発揮し、この成長を導いた。同社は、電池事業で培った「人とテクノロジーの融合」の生産方式を武器に自動車業界に参入。2005年に発売した「F3」は瞬く間に中国市場を席巻。各国の政府の後押しもあり、急成長を遂げた。本連載では、BYDの急成長の要因を分析し、その実力を明らかにしていく。 【画像】「えっ…!」これがBYDの「創業者」です(計14枚) ※ ※ ※ 中国のEVメーカー・比亜迪(BYD)の快進撃が続いている。日本国内で各所に正規ディーラーがオープン、テレビCMも盛んに行われている。そんな企業を率いるのが、創業者の王伝福氏である。1995年に工業団地の片隅で始まった会社を、瞬く間に世界屈指の企業
BYDの快進撃は、創業者王伝福氏の逆境を乗り越える挑戦と革新の結果である。独自の生産方式と公共交通の電動化戦略で、深セン市をはじめ多くの都市でEVタクシーとバスを普及させた。いまや技術革新で世界市場を席巻する企業へと成長している。 中国の電池メーカーが驚異的な成長を遂げ、世界最大の電気自動車(EV)メーカーとなった比亜迪(BYD)。その飛躍的な躍進は世界に衝撃を与えた。同社の創業者・王伝福氏は卓越した洞察力とユニークな経営手腕を発揮し、この成長を導いた。同社は、電池事業で培った「人とテクノロジーの融合」の生産方式を武器に自動車業界に参入。2005年に発売した「F3」は瞬く間に中国市場を席巻。各国の政府の後押しもあり、急成長を遂げた。本連載では、BYDの急成長の要因を分析し、その実力を明らかにしていく。 ※ ※ ※ 中国のEVメーカー・比亜迪(BYD)の快進撃が続いている。日本国内で各所に正
電子部品メーカーとして知られるTDKが、従来品よりも100倍エネルギー密度の高い「全固体電池」の材料を開発したと6月17日、発表した。 全固体電池といえば、電気自動車用(EV)に搭載するリチウムイオン電池の代替電池としての期待の高さから、トヨタや日産など、自動車メーカーが開発に力をいれる素材として注目されることが多い。その名の通り、全てが固体でできているという特徴から、燃えにくく安全性が高く、大容量化への期待も大きいがゆえのことだ。 EVだけじゃない、全固体電池需要 TDKによると、全固体電池の需要はIoT機器やウェアラブル端末などに使われる小型電池にも同様に存在するという。矢野経済研究所は、小型全固体リチウムイオン電池・薄型電池の世界市場規模は2030年までに988億円とも試算している。 実際TDKでは、2017年に世界初となる充放電可能な小型の全固体電池「CeraCharge」を発表。
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