並び順

ブックマーク数

期間指定

  • から
  • まで

1 - 40 件 / 42件

新着順 人気順

青春ゾンビの検索結果1 - 40 件 / 42件

タグ検索の該当結果が少ないため、タイトル検索結果を表示しています。

青春ゾンビに関するエントリは42件あります。 映画ドラマTV などが関連タグです。 人気エントリには 『『かまいたちの知らんけど』濱家が涙…スーパー・イズミヤへ最後の挨拶 - 青春ゾンビ』などがあります。
  • 『かまいたちの知らんけど』濱家が涙…スーパー・イズミヤへ最後の挨拶 - 青春ゾンビ

    MBS製作『かまいたちの知らんけど』の9月12日放送の特別編「37年間通ったスーパー イズミヤへ濱家最後の挨拶」が実に素晴らしい内容だった。関西圏外にはあまり馴染みのない番組かもしれないが、今はTVerという素晴らしいメディアがありますのでぜひチェックして欲しい。 かまいたちの濱家の生まれ育った大阪市東淀川区にある上新庄という町で、彼が生まれる前から営業している大型総合スーパーイズミヤ。濱家にとって、幼少時代から家族や友人との思い出の詰まった大切な場所だ。そのイズミヤ上新庄店がこの8月末をもって47年間の歴史に幕を閉じるという。濱家はイズミヤに感謝と別れを伝えるべくロケを敢行する。 ショックすぎる…。 フードコートのチョコマーブルアイス、世界一美味いポテト。 おもちゃ売り場、ジャンケンのゲーム機、初めてCD買ったお店、横の本屋さん。 たまに開催されるガラガラ福引き。 服も靴も全部イズミヤで

      『かまいたちの知らんけど』濱家が涙…スーパー・イズミヤへ最後の挨拶 - 青春ゾンビ
    • 宮﨑駿『君たちはどう生きるか』 - 青春ゾンビ

      宮﨑駿による『不思議の国のアリス』(もしくは宮沢賢治の童話)とでもいうような、イマジネーションの破茶滅茶なまでの躍動。『千と千尋の神隠し』以降の作品に見られた傾向がさらに押し進み、ストーリー・テリングとしては、明らかに混乱している。しかし、それは宮﨑駿の“世界”に対する誠実な態度であるように思う。シンプルで明瞭なストーリーで語り切れるほど、この複雑で暗澹たる現代は生易しくないし、そもそも人間というのはそんなに簡単なものではない。たとえば、この映画における主人公の父親。彼にいい印象を持つ観客は多くないだろう。転校初日に車で学校に乗りつけたり、子どもの喧嘩に介入したりするさまなどは、まさにエーリッヒ・ケストナーが『飛ぶ教室』で書いた大人への批判がそのまま当てはまる。 どうしておとなはじぶんの子どものころをすっかり忘れてしまい、子どもたちにはときに悲しいことたみじなことだってあるということを、あ

        宮﨑駿『君たちはどう生きるか』 - 青春ゾンビ
      • 星野源『Gen』-無意味、幸せ、そして、妖怪について- - 青春ゾンビ

        星野源のニューアルバム『Gen』が素晴らしい。断トツの最高傑作。研ぎ澄まされたその音像について適切に言語化できる能力を持ち合わせていないのがもどかしいのだが、これまでのアルバムから数段に進化を遂げている歌詞とフロウがデリバリーする『Gen』というアルバムのフィーリングみたいなものについて、何か掴み切れないものかと、すがるようにして『SONGS』『あちこちオードリー』『EIGHT JAM』といった星野源が出演しているテレビ番組を注意深く視聴してみる。どの番組においても、「とことん言いたいことはない」「伝えたいことはない」「何にも興味がない」「もういいかな」「どうでもいい」といったネガティブな響きの強いワードが頻出している。しかし、これはすべてを手に入れた男の虚無感、ミドルエイジクライシスといった話では決してない。星野源は、“意味がない高み”という表現の領域に突入せんと、静かに燃え上がっていて

          星野源『Gen』-無意味、幸せ、そして、妖怪について- - 青春ゾンビ
        • 福澤克雄『VIVANT』 - 青春ゾンビ

          TBSドラマ『VIVANT』がおおいに盛り上がっている。個人的には心の1本になるような作品ではないけども、“テレビドラマ”というジャンルを愛好するものとしてはテレビが巻き起こす、この熱狂がとてもうれしい。実際のところ、おもしろいのだ。ツッコミどころ満載ながらも、莫大な予算感の壮大なスケールで黙らされてしまう。このおもしろさと支持のされ方の秘訣は、『VIVANT』に息づく “浦沢直樹”感ではないだろうか。『MASTERキートン』『MONSTER』『20世紀少年』・・・モチーフやルック、謎が謎を呼び伏線を回収していく筋運びなどがどこか似ていて、この国のエンターテインメントの中道とでも言うべき浦沢直樹作品との相似が、『VIVANT』の圧倒的な大衆性を支えているように思う。*1 登場人物たちが常にマージナルな立ち位置を貫いているのもおもしろい。乃木(堺雅人)は、野崎(阿部寛)は、ノーゴン・ベキ(役

            福澤克雄『VIVANT』 - 青春ゾンビ
          • 道路交通看板「静かに」について - 青春ゾンビ

            夜が更けた帰り道、親の運転する車の窓から見上げる、「静かに」と書かれた青い看板が好きだった。お出掛けが終わってしまう“寂しさ”と、知っている場所に帰ってきた“安心感”がないまぜになったような感覚。幼心に芽生えたちょっとだけ複雑な感情が、あの看板に今でも宿っているような気がする。 そもそも、道路標識というものは、運転中にドライバーが目にするものだから、注意喚起するわりには情報量が少ない。じっくり読ませてしまったら事故を起こしてしまうから。「結局のところ、どういう意味なんだっけ?」と混乱することもあるが、効率や機能性を追い求めるこの情報社会において、あの“抜け感”がちょっと心地よいのだ。 個人的に「普通自転車等及び歩行者等専用」(得体の知れない物語性*1)とか「動物が飛び出すおそれあり」(シカ、タヌキ、サル、ウサギなどバリエーションがあるところかわいい)の標識あたりが好き。 そういった道路標識

              道路交通看板「静かに」について - 青春ゾンビ
            • 深作欣二『バトル・ロワイアル』 - 青春ゾンビ

              <A面> 映画『バトル・ロワイアル』が公開25周年を記念して、2週間限定ながら全国75館でリバイバル上映。スクリーンで『バトル・ロワイアル』が観られるだなんて!!2000年に公開された『バトル・ロワイアル』は、わたしにとってあまりにも特別なフィルムだ。というのも、公開当時わたしは中学3年生、劇中の登場人物と同い年の15歳であったのだ。この映画はその過激な内容から映倫によってR-15にレイティングされていて、15歳なら観てOKだったのか、中学生は問答無用でNGだったのか、そこらへんの記憶が定かではないのだけど、「中学3年生の俺たちが観られないなんておかしいじゃないか!!」と虚勢を張りながら、内心は「逮捕とかされないよね」とドキドキしながら劇場に足を運んだのを覚えている。年齢確認や身分証提示などはないとのことだったけど、念のため大人びた顔をしていた友人を連れていったのも覚えている。藤島くん、元

                深作欣二『バトル・ロワイアル』 - 青春ゾンビ
              • 坂元裕二『花束みたいな恋をした』 - 青春ゾンビ

                <A面> 絹(有村架純)が「この人はわたしに話しかけてくれている」と心酔するブログ『恋愛生存率』ではいつも同じテーマが綴られていた。それは、”はじまりはおわりのはじまり“。 出会いは常に別れを内在し、恋愛はパーティーのようにいつしか終わる。だから恋する者たちは好きなものを持ち寄ってテーブルを挟み、お喋りをし、その切なさを楽しむしかないのだ ある日、ブログの筆者である”めい“は恋に落ち、「数パーセントに満たない生存率の恋愛をわたしは生き残る」と綴ったその一年後に自ら命を絶ってしまう。 めいさんが死んだ 恋の死を見たんだろうか。その死に殉ずることにしたんだろうか。どれも想像に過ぎないし、そこに自分の恋愛を重ねるつもりはない としながらも、絹の頭には「どんな恋でも、いつしか必ず終わりを迎える」という諦念が刷り込まれている。麦(菅田将暉)が何気なく言ってのける「僕の人生の目標は絹ちゃんとの現状維持

                  坂元裕二『花束みたいな恋をした』 - 青春ゾンビ
                • バカリズム『ホットスポット』1~6話 - 青春ゾンビ

                  バカリズム脚本ドラマを支える雑談、その徹底したリアリズム。会話劇を得意とする作家は多くいるが、バカリズムの手掛ける会話には一つの大きな特徴がある。それは、登場人物らがおそろしく“察しがいい”ということだ。会話におけるディスコミュニケーションを笑いやドラマに展開していくというのはよく目にするのだけど、バカリズム作品の場合は「あぁ、それね」とすぐに理解し合うし、言ってもないことを、「えっ、今、〇〇って思ってたでしょ?」と言い当てていく。これはバカリズムが狭い範囲での親密なコミュニティを題材にしているからであろう。今作における異様なまでの高橋(角田晃広)の察しの良さ。 あのさ、ひょっとしてだけど、もう言っちゃってない? ねぇ、今さぁ、時期が早まっただけで、能力使わなくも剥げてただろうって思った? えっ、今、おれのことちょっとヤバいやつだと思った? これはもうエスパーである(高橋は宇宙人であるから

                    バカリズム『ホットスポット』1~6話 - 青春ゾンビ
                  • 坂元裕二『大豆田とわ子と三人の元夫』1話 - 青春ゾンビ

                    <A面> オレンジ色の上下のジャージを身に纏った大豆田とわ子(松たか子)が、オレンジ色の布で囲われた公園を歩いている。このはじまりが象徴的なのだけど、この『大豆田とわ子と三人の元夫』というドラマにはあまりにも“オレンジ”に満ちているのだ。大豆田とわ子が入店するお洒落なパン屋の軒先、大豆田とわ子の住む部屋のカーテンとソファーと照明、大豆田とわ子が拾うパスタ、大豆田とわ子が出席した従兄弟の結婚式会場の照明、大豆田とわ子の娘が飲むオレンジジュース、大豆田とわ子の3番目の夫の髪色、2番目の夫の着るアウターの切り返し、1番目の夫の名前の響き(ハッサク*1)、大豆田とわ子の履くサンダル、大豆田とわ子の持つバッグ、大豆田とわ子の同僚の洋服、シロクマハウジングのオフィスの証明、ミニチュアの家の屋根、大豆田とわ子のiPhoneの背景トーン、大豆田とわ子が焦がれるカレーパン、大豆田とわ子の履く靴、大豆田とわ子

                      坂元裕二『大豆田とわ子と三人の元夫』1話 - 青春ゾンビ
                    • 『Official令和ロマン【公式』】「松井ケムリ、故郷に帰る。」 - 青春ゾンビ

                      YouTubeチャンネル『Official令和ロマン【公式』】の「松井ケムリ、故郷に帰る。」が実に素晴らしい。あまりに気が早いのだけども、今年のベストYouTube動画の予感だ。26分ほどの動画なので、ぜひともチェックして頂きたい。 松井ケムリが「1人になりまして、自分を見つめ直すいい機会なんじゃないかということで」と地元である“たまプラーザ駅”周辺を巡る動画なのだけど、M-1グランプリ2連覇という偉業を成し遂げた矢先に相方の活動自粛、といったゴシップ的な要素はこの動画の魅力に少しも関わっていない。このタイミングで原点に立ち返り自分を見つめ直している、といった構成が素晴らしいわけでもない。では、なにがこの動画の魅力なのかということをここから書き連ねていく。 ケムリの歩調に合わせて、たまプラーザの“田園都市”としての風景が画面に映し出されていく。まずもって風景が鑑賞に堪えうる強度を持った美し

                        『Official令和ロマン【公式』】「松井ケムリ、故郷に帰る。」 - 青春ゾンビ
                      • 坂元裕二『片思い世界』 *ネタバレあり - 青春ゾンビ

                        <A面> 『片思い世界』は、目には見えないけども、たしかに世界に存在している少女たちのお話。そう、幽霊についての物語なのだ。彼女たち幽霊は、その透明性によって、社会の誰からも相手にされることがない。 わたしたち、ありえないって言われないといけない存在なの? これは坂元裕二がこれまで描いてきた、“生きづらさ”の象徴だろう。『カルテット』(2017)のオープニングショットは、路上チェロを演奏する世吹すずめ(満島ひかり)を捉えたものであった。しかし、道行く人の中に、彼女の音に耳を傾ける者はいない。まるで、すずめなどこの世に存在しないかのように。しかし、彼女は演奏を続ける。坂元裕二が描くのは、社会と上手に接続できない、それでも、なんとか世界と繋がろうと「わたしたちはここにいます」と小さな声で叫ぶ者達の物語であり、『片思い世界』はその最新型だ。 幽霊である彼女たちは社会から無視されるばかりか、世界へ

                          坂元裕二『片思い世界』 *ネタバレあり - 青春ゾンビ
                        • 坂元裕二『大豆田とわ子と三人の元夫』2話 - 青春ゾンビ

                          『大豆田とわ子と三人の元夫』というドラマは、ロケーション・インテリア・衣装・音楽・カメラワーク・・・どの要素をとっても、徹底してオシャレな質感に包まれている。画面だけ見れば、さながらトレンディードラマのようなリッチさであるのだけど、描かれているのは、シャワーヘッドに頭をぶつけてしまう、うどんの丼にイヤフォンを落とす、ソファーにカフェオレを零してしまう、些細な誤解でパトカー連行されてしまう・・・といったように実に卑小な人間の営みだ。これまでの坂元裕二作品の登場人物と同様に、”社会の理“のようなものからはみ出してしまう人々の魂は健在のようだ。今話の主役である中村慎森(岡田将生)の理屈っぽく捻くれて、憎まれ口ばかり叩くそのありようは、まさに坂元裕二の描いてきたキャラクターの典型と言えよう。特に、携帯で動物の画像を眺める所作などからも、『最高の離婚』(2013)の主人公である濱崎光夫(瑛太)の魂の

                            坂元裕二『大豆田とわ子と三人の元夫』2話 - 青春ゾンビ
                          • けらえいこ『あたしンち』 - 青春ゾンビ

                            『あたしンち』は素晴らしい、心から素晴らしい作品だ。心がしんどくなった時に摂取するカルチャーというものがあって、そのラインナップ(他にはアニメ『キテレツ大百科』やQ.B.B.『中学生日記』などがある)に常に鎮座しているし、そんなものとは関係なしに、ついつい本棚から手に取ってしまえる“気楽さ”とか“親密さ”のようなものが作品に備わっていて、色んな場所で、それこそお風呂やトイレなんかにも連れ出してはパラパラとページをめくっている。たぶん人生で1番読み返している漫画だと思う。『あたしンち』を読むということはわたしの中で、時には解体されそうにもなる日常を維持していくことと同義なのだ。 「母じょうねつ編」「みかん青春編」「父の愛情編」・・・といったようにテーマごとに編まれた2019年からのベスト版の刊行やTwitterやYouTubeを駆使した原作やアニメのプロモーションにより(SNSと『あたしンち

                              けらえいこ『あたしンち』 - 青春ゾンビ
                            • 『キングオブコント2020』空気階段の描く“恋と退屈” - 青春ゾンビ

                              『キングオブコント2020』を終え、そのままTBSラジオ『空気階段の踊り場』の収録に臨んだ空気階段の2人。「いつもひとりぼっちだけども、ラジオを聞いて孤独を慰めた」というリスナーからの感謝のメールに鈴木もぐらが感極まり、お得意の口上から銀杏BOYZ「エンジェルベイビー」を流す。 どうして僕 いつもひとりなんだろ ここじゃないどこかへ行きたかった Hello my friend 君と僕は一生の友達さ そして、リスナー達に「お前たちひとりじゃないぜぇ」とメッセージを送る鈴木もぐら。人間の愚かさ醜さを笑い飛ばす空気階段、そのルーザー達に向ける眼差しの真摯さにいつも胸を撃たれてしまう。 彼らが『キングオブコント2020』で披露した2本目のコントの登場人物は夜間の定時制の生徒たちだった。昼は働きながら学び、歩けば職務質問されるという彼らの人生は決してイージーなものではないのだろう。そんな社会との風通

                                『キングオブコント2020』空気階段の描く“恋と退屈” - 青春ゾンビ
                              • さくらももこ『ちびまる子ちゃん わたしの好きなうた』 - 青春ゾンビ

                                まる子が万歳している瞬間にも 宇宙全体のそれぞれの生命が平行して それぞれの世界をくり広げています 『ちびまる子ちゃん』では まる子の世界をクローズアップして描いていますが 平行して動いているあらゆる世界のことを 私は忘れないでいようと思います これは映画『ちびまる子ちゃん わたしの好きなうた』の原作として書き下ろされた漫画版のおまけに何気なく記されていた言葉。しかし、ここにさくらももこという作家の魂の根幹が示されているように思う。「平行して動いているあらゆる世界のことを私は忘れないでいようと思います」という宣言のとおり、フィルムは静岡県清水市の町並みを俯瞰で捉えるところから始まり、町の中に点在するモブキャラクターの何気ない仕草を切り取ったいくつかのショットが連なっていく。町で一瞬すれ違い、また別れていく人々。彼らの中にもそれぞれの人生の物語が、つまりは“うた”があり、それぞれのうたの響き

                                  さくらももこ『ちびまる子ちゃん わたしの好きなうた』 - 青春ゾンビ
                                • 田島列島『水は海に向かって流れる』 - 青春ゾンビ

                                  『水は海に向かって流れる』が3巻をもってして、堂々たる完結。2020年を代表する傑作というありきたりな言葉を冒頭に置いておきたい。ときに、今作の血の繋がらない共同体のイメージソースとしてあるのは『めぞん一刻』というよりも、『すいか』ではないだろうか。なにせ、直達の暮らす広い一軒家にはOLと教授と漫画家がいるのだから。そう考えると、言葉の飛距離と会話劇の妙、そして、スローペースな寡作ぶりといい、田島列島は漫画界に現れた木皿泉のようである。 『水は海に向かって流れる』の素晴らしさは、”運命“というような大きな容量の言葉に収まらない感情の機微の丹念な編み込みや、「もっとラノベに出てくる妹にみたいに起こしてくれーっ」とか「何の変哲もないガールズトークですよ」のようなウィットに富んだユーモアを撒き散らすことで、盛大に照れてみせる細部にある。それを承知の上で、物語の構造を分解してみたい。 田島列島とい

                                    田島列島『水は海に向かって流れる』 - 青春ゾンビ
                                  • 坂元裕二『スイッチ』 - 青春ゾンビ

                                    だんだん不思議な夜が来て あたしは夢の中へ 堕ちていく天使は 炎を見出してく JUDY AND MARY「LOVER SOUL」 JUDY AND MARYの楽曲の挿話が『最高の離婚』(2013)を彷彿させる・・・などと列挙していたら限がないほどに、これぞまさに坂元裕二の集大成といった質感のドラマであった。社会から零れて堕ちていく人々を天使として描いてきた坂元裕二のドラマを象徴するように、ドラマは高層マンションの吹き抜けを上空から下降していくショットで始まり、天使であるところの主人公のひどく拗らせたナレーションから物語を進行させていく。そして、リーガルサスペンスとしながら、冒頭で真の犯人は星野七美(石橋静河)であると明らかにされ、ドラマのジャンル、そして善/悪の倫理感が混濁していく。善/悪のスイッチのシームレスな切り替えこそが、人間なのだ。『カルテット』(2017)ではそれを、「白黒つけら

                                      坂元裕二『スイッチ』 - 青春ゾンビ
                                    • 藤子・F・不二雄『ドラえもん のび太の宇宙小戦争』 - 青春ゾンビ

                                      反乱軍によるクーデターにより追い詰められた大統領がロケットで宇宙空間に脱出・・・そんな遠い星でのできごとが、地球の少年たちが部屋の一室で撮影に興じるミニチュア特撮「宇宙大戦争」と同期していく。このマクロとミクロの交錯、そのことで生じる奇跡のようなワンダーこそが、映画ドラえもんの本質である。武田鉄矢が『藤子・F・不二雄大全集』に寄せた文章の中にこんな一節がある。 たとえば、巻き貝と銀河系は、うずの巻き方が同じだということをご存知でしょうか。そこには、ものすごく小さなものとものすごく巨大なものが、なぜか同期している不思議さを感じます。自然界で単独に存在しているものは何ひとつなく、すべてのものが何かと同期したりシンクロしたりしながら宇宙の一部であり続けているのです。そうした自然観や宇宙観がドラえもんの世界にはふさわしいと、いつの頃からか私は考えるようになりました。 まったく痺れてしまう。武田鉄矢

                                        藤子・F・不二雄『ドラえもん のび太の宇宙小戦争』 - 青春ゾンビ
                                      • パク・ジウン『愛の不時着』 - 青春ゾンビ

                                        <Intro> アロマキャンドルやジャガイモを見かけるたびに、ヒョンビンのあの涙の滲むようなやさしさを思い出し、胸がいっぱいになってしまうのです。これが世に言う『愛の不時着』ロスというやつなのか。世界中で大ヒットを飛ばし、日本においてもNetflix視聴ランキング1位を独占し続けている『愛の不時着』にご多分に漏れずハマってしまった。テレビドラマの登場人物に想いを馳せるというこの感覚はいつ以来のことだろうか。主演陣はもちろんのこと脇役(あの愛すべき第5中隊と舎宅村の人々!)まで、誰もが好きにならずにはいられない人物造形の妙。全編を貫く“結ばれてはいけない2人”という哀しみのトーンを、絶妙に和らげる機知とユーモア。「帰りたい/帰りたくない」という二律背反の感情をベースにしたシンプルなドラマメイクで人間の複雑な感情を描き切る手腕にも脱帽だ。このドラマにおいては稀代の詐欺師すらやさしい気遣いを見せ

                                          パク・ジウン『愛の不時着』 - 青春ゾンビ
                                        • 坂元裕二『ファーストキス 1ST KISS』 - 青春ゾンビ

                                          物語は餃子ではじまり、餃子に終わる。焼き焦げた餃子。焦げる前にはもう戻れない。「(唐揚げに)レモンするってことはさ、不可逆なんだよ」という『カルテット』(2017)の名シーンを思い出さずにはいられないその不可逆性。起きてしまったやりきれない後悔を、“タイプリープ”という坂元作品にしては珍しいリアリティラインの逸脱でもって、覆してみせる決意のロマンティックラブコメディSF。 どこかでお会いしたことありましたっけ? ありふれた恋のはじまりの常套句。もしくは、何度も交わされる「はじめまして」の挨拶。そんななんでもない台詞が、タイプリープによって過去と未来が同時に流れ込み、どこまでも切なくロマンティックに、複層的に響いてしまう。“3年待ちの餃子”の変容で泣けてしまうのである。こんな作品、観たことない!“ラブストーリーの名手”坂元裕二の面目躍如の傑作SFの誕生だ。 坂元裕二が描くキャラクターのリアリ

                                            坂元裕二『ファーストキス 1ST KISS』 - 青春ゾンビ
                                          • 『劇場版まーごめドキュメンタリーまーごめ180キロ』 - 青春ゾンビ

                                            『劇場版まーごめドキュメンタリーまーごめ180キロ』は傑作だ。不条理を支える研ぎ澄まされた言語センス、そして引用の多様さ的確さに、お笑いが新しい世代に突入していることを痛感させられる。2022/2/20(日)まで配信が延長されているとのことなので、ぜひとも視聴をオススメいたします。ここには間違いなく1500円以上の価値があるのです。 ここでは、“お笑い”であることを一旦無視して、ネタバレ全開で『劇場版まーごめドキュメンタリーまーごめ180キロ』を語ってみたい。原宿の喧騒の中に構えるワタナベエンターテイメント本社前、大きな身体で所在なさげに佇む大鶴肥満から映画は始まる。大鶴肥満はワタナベの所属タレントであるマルシアの出待ちをしている。なんでも、彼はマルシアに“謝りたい”のだという。ここで、大鶴肥満の存在を知らない方のために記しておくと、大鶴肥満というのはママタルトというコンビのお笑い芸人であ

                                              『劇場版まーごめドキュメンタリーまーごめ180キロ』 - 青春ゾンビ
                                            • バカリズム『ホットスポット』7~10話 - 青春ゾンビ

                                              これまで登場人物の衣装のカラートンが話ごとに統一されていて、「これは何の伏線なのだろう?」と世間が盛り上がっているなか、「そんなの洒落た感じを出すための画調の統一だろう」くらいに思っていたわけですが、最終話で主要メンバーが異なる色調の、“隠し撮り”をするにはあまりに場違いなビビットカラーの衣装で横並んだルックに、思わず涙腺を刺激されてしまう。宇宙人、超能力者、未来人、幽霊、タイムリーパー・・・とSFモチーフの渋滞がもたらす多様性の肯定みたいなものが、画の力でバシっと示されていて、またこれまでのカラー統一からの解放があるからこそ、よりグッときてしまうではないか。 下手したら、ほらあの『E.T.』みたいに 政府の機関とかに追われちゃう可能性もないとはいえないから えっ『E.T.』知らない? 超ヒットした映画なんだけど 『E.T.』観ましたよ あっ、観た?おもしろかったでしょ? 高橋さんってああ

                                                バカリズム『ホットスポット』7~10話 - 青春ゾンビ
                                              • 空気階段『anna』 - 青春ゾンビ

                                                普通じゃない人々への讃歌とラジオ、そしてお笑いのある世界への愛。コロナウィルスの影響で2回の延期を経て、ようやくの開演となった第4回単独公演『anna』は、彼らの代表番組『空気階段の踊り場』(TBSラジオ)がそのまま具現化されたようなコントに満ち溢れていた。そして、空気階段の2人の演技の巧みさ。身体の置き方、視線の動かし方、まさに人間の“実存”というものを表現している。間違いなく彼らのキャリアの大きなジャンプアップ。かもめんたる、シソンヌというそびえ立つコントチャンピオン達の単独公演に肩を並べる傑作の誕生だ*1。以下ネタバレを含みますので、未見の方は5月に発売のDVDを観賞後にぜひ。 <僕はみなさんのちゃんとしてない所が好きなんです> 才能枯渇という苦悩から逃れるために全身整形によって別人として生き潜む伝説のミュージシャン、AV女優をこよなく愛する天才サイコハッカー、小学生の頃に自作した漫

                                                  空気階段『anna』 - 青春ゾンビ
                                                • 生方美久『silent』1~5話 - 青春ゾンビ

                                                  言葉はまるで雪の結晶 君にプレゼントしたくても 夢中になればなるほどに 形は崩れ落ちて溶けていって 消えてしまうけど でも僕が選ぶ言葉が そこに託された“想い”が 君の胸を震わすのを諦められない 愛してるよりも“愛”が届くまで Official髭男dism「Subtitle」 佐倉想(目黒連)が読み上げる作文の冒頭の「言葉はなんのためにあるのか?」に導かれるように、このドラマは“言葉”を巡る物語である。しかし、その脚本の筆さばきは、言葉というものの力をむやみやたらに祭り上げるというのではなく、どこか言葉の“不確かさ”、“信用ならなさ“に重きを置いているように思う。たとえば、想がひた隠しにしていた秘密の漏洩は、萌(桜田ひより)が湊斗(鈴鹿央士)に問いかけた「湊斗くんってさぁ、知ってるんだっけ?」というやりとりの言葉の不確かさが生み出してしまったものだ。また、特に重要であるのは1話冒頭の紬(川

                                                    生方美久『silent』1~5話 - 青春ゾンビ
                                                  • Netflix『オフライン ラブ』 - 青春ゾンビ

                                                    Netflixが新たに贈る恋愛リアリティーショー『オフライン ラブ』が抜群のおもしろさだ。MCに小泉今日子と令和ロマンという人選で、「なんだか新しい恋愛リアリティーショーが見られそう」と思わせるワクワク感がある。3人の察しの良さなのか、編集の妙なのか、事前に入念に打ち合わせしたのか、そのすべてなのかわかりませんが、出演者にはなるべく負荷をかけまいという強い意志を感じるスタジオトーク。過剰な弄りではなく、知性に裏付けられた観察と考察の応酬で、笑いを巻き起こしていく。とにかく、VTRで巻き起こっている現象に対しての解像度が高すぎる。その着眼点と圧倒的な言語化能力を浴びる気持ちよさ。髙比良くるまがあまりにおもしろいのは周知の事実として、松井ケムリも抜群の仕事をしていて、“愚か者過ぎる”、“完封グリコ”、“酔拳みたいな恋愛”など名フレーズ生産マシーンと化している。そして、小泉今日子の存在としての説

                                                      Netflix『オフライン ラブ』 - 青春ゾンビ
                                                    • 『キングオブコント2021』&『空気階段の踊り場』 - 青春ゾンビ

                                                      「これが“寂しい”って感情かなぁ?」 「どうしよう…愛おしい」 蛙亭 「やぁ…好きだなぁ」 「ちょっとぉ、愛が止まらないなぁ」 男性ブランコ 「ここになんかある…胸が温かい」 「この気持ちはなんだろう?」 ザ・マミィ 初出場のコント師たちが揃って、“心”についてのコントで人間愛を叫び、その果てに「生まれてきた意味がありますね」と漏らした空気階段が優勝を飾る。その美しい連なりに、『キングオブコント2021』という大会を通して1つの作品なのだという感触を抱かせた(そういうのを抜きにしてもシンプルにネタが粒揃いで史上最高の大会でした)。彼らがコントで表現してみせた愛というは、 “異質さ”を受け入れるという態度だろう。酒焼けダミ声の関西弁からホムンクルス・・・とその異質さに幅はあるものの、コントの登場人物たちはその“変なところ”に愛おしさを見出していく。優れたエンターテインメントというのは時代や社

                                                        『キングオブコント2021』&『空気階段の踊り場』 - 青春ゾンビ
                                                      • 『Nizi Project』の素晴らしさに寄せて - 青春ゾンビ

                                                        まさに一世風靡という感じの『Nizi Project』の素晴らしさに遅ればせながら打ちひしがれている。もしあなたが(数日前のわたしのように)まだこの番組に触れていないというのであれば、YouTubeで公式にアップされている#1をクリックすることをオススメする。これは単なるアイドルオーディション番組の域を超えた力のあるコンテンツだ。もし、#1を観終えたのであれば、そこに少しだけ余計な解説を添えることをお許しいただきたい。 この番組の主役と言ってしまっていいJ.Y.Park(TWICEや2PMを手掛けるなど韓国を代表するプロデューサー)がオーディションのはじまりに、自らの芸術観を語り出す。 人の見えないところを見えるようにするのが芸術です これはスイスの画家パウル・クレーの「芸術とは見えるものを再現するのではなく、見えないものを見えるようにするものである」からの引用であろうし、もっとわかりやす

                                                          『Nizi Project』の素晴らしさに寄せて - 青春ゾンビ
                                                        • 最近のこと(2025/5/3~5/9) - 青春ゾンビ

                                                          2週間くらい体調を崩してしまい、ここ数日やっと回復の兆し。この体調がなかなか治らない感じ、老化だ。「最近のこと」も途中まで書いたけど、消してしまったので仕切り直し。大阪では万博が始まった。今のところは対岸の火事だが、なんとなく駅や街は混み合っているような気もする。大阪万博のフューチャーライフゾーンというところに“太陽のつぼみ”なるサウナ施設があって、その仕掛け人は元・俳優の小橋賢児であるらしい。小橋賢児という響きがもたらす平成ノスタルジア。彼がどんな俳優だったのかを説明するのは難しくて、「河合我聞とか加藤晴彦の類似タレントです」としたいところなのだけど、小橋賢児を知らない人は河合我聞や加藤晴彦のことも知らないので有効ではない。小橋賢児ってどんな番組に出演していたのかまったく思い出せないな。河合我聞は『三姉妹探偵団』(1998)だし、加藤晴彦はアルペンのCMと『あいのり』があるし。あと、わた

                                                            最近のこと(2025/5/3~5/9) - 青春ゾンビ
                                                          • 最近のこと(2022/12/24~12/31) - 青春ゾンビ

                                                            “年末年始”と一括りにされているけども、気持ちとしては“年末/年始”であって、年末と年始の間には大きな分断がある。もう全くの別物なのだ。そして、わたしはいつだって年末の側に立っていたい。それは「休みがまだまだたくさん残っている状態だから」というのがもちろん第一。街行く人の顔にも余裕がある。でも、わたしの年末への偏愛はそれだけではない気がするので、グッと考えてみる。年末と年始では色が違うように思う。年始は漂白されたような美しい“白”で、年末は少し濁ったような濃紺だ。年末には、一年間のあらゆる想い(そこには罪や罰も含まれる)がパンパンに積み重なっていて、なおかつそのすべてがあたかも許されてしまうかのような甘やかでだらしない空気感がある。そこがたまらなく好きなのだと思う。年始はすべてが浄化され爽やかで、ツルっとしていて物足りないのだ。 “年末”の音楽と言えばベートーヴェンの交響曲第9番。わたしは

                                                              最近のこと(2022/12/24~12/31) - 青春ゾンビ
                                                            • 生方美久『silent』最終話 - 青春ゾンビ

                                                              「言葉は何のためにあるのか?」というのは、想(目黒連)の書いた作文冒頭の問いかけだった。その問いは作文の中において 言葉が生まれたのは、きっと想いの先にいる誰かと繋がるためだ と結ばれている。つまり、言葉は“想い”の代替品ではなく、“想い”を伝えるための手段のようなものということだ。10話においては、春男先生(風間俊介)と奈々(夏帆)の間においても、以下のような会話がなされている。 手話はコミュニケーションの手段でしかなかった 言葉の意味を知ることと相手の想いがわかるってことは違った 言葉(もしくは手話)は“想い”とイコールではなく、コミュニケーションの手段である。そして、最終話において教室の黒板の前*1で紬(川口春奈)は言う。 人それぞれ違う考え方があって 違う生き方をしてきたんだから 分かり合えないことは絶対ある 他人のこと可哀想に思ったり 間違ってるって否定したくもなる それでも一緒

                                                                生方美久『silent』最終話 - 青春ゾンビ
                                                              • 最近のこと(2025/2/11~2/16) - 青春ゾンビ

                                                                ひさしぶりにブログを更新したら、文章を書くのが楽しくてなんでもいいから書きたくなり、「最近のこと」を更新。『君たちはどう生きるか』のエントリーを更新した時もまったく同じことをしていて、2回しか続かなかったのだけど。昨年に子どもが生まれてから、「最近のこと」を書くのははじめて。父としてのわたしの日常。ずっと読んできてくれた人は違和感を覚えるだろうか、それともすっと受入れてくれるだろうか、なんて自意識過剰なことを思った。6000字くらいあるので、暇なときにお読みください。 2月11日火曜日 「建国記念の日」であるらくし、祝日。この歳になるまで2/11は「建国記念日」だと思っていたけども、「建国記念“の”日」なんですね。2/11が「初代天皇の神武天皇が即位した日」という設定なのも完全に失念していた。教養が不足している。せっかくの祝日なので、車で出掛けることにした。YouTubeチャンネル『山名家

                                                                  最近のこと(2025/2/11~2/16) - 青春ゾンビ
                                                                • チョ・クァンジン『梨泰院クラス』 - 青春ゾンビ

                                                                  『愛の不時着』から『梨泰院クラス』という実にありきたりなルートを歩んだわたしは今、あのイガグリ頭が目に焼き付いて離れないのである。『梨泰院クラス』というドラマを駆動させているのは“土下座”であるからして、”頭”というのは重要なモチーフとなっている。パク・セロイというキャラクターを象徴するあのイガグリ頭。2年後、7年後、4年後・・・というように鮮やかに時間軸を飛ばしていくドラマメイクの中で、登場人物たちのルックスやファッションもまた変容していくのだが、セロイの髪型だけは不変である。そして、セロイの頭を触る癖。照れ、気まずさ、悲しみ、怒りといった感情が込み上げた時、セロイはまず自らの頭を撫でる。また、他者への愛情表現を行う際も、相手の頭を撫でてあげる。 すごいな と言ってイソの頭を撫でるシーンはこのドラマのアイキャッチとしてあまりに優秀で、世界中の人々がパク・ソジュンにハートを奪われたことは想

                                                                    チョ・クァンジン『梨泰院クラス』 - 青春ゾンビ
                                                                  • 藤岡拓太郎『大丈夫マン』 - 青春ゾンビ

                                                                    そのほとんどが1ページで終わる藤岡拓太郎の漫画は、いきなり始まって、いきなり終わる。ここには“途中”という感覚がある。高級レストランにて指輪を忍ばせた寿司ネタでプロポーズする大将、家電売り場にInstagramを買い求めにやって来る夫婦、息子の運動会に参加するも借り物競争のモノが見つからず町中を走り回るおっさん、擬音だけで『桃太郎』を読み聞かせる父親、コンビニの店員にとつぜん誕生日を迎えたことを告げられる男・・・など描かれているのは1ページの中で巻き起こる少し特異な出来事なのだけど、ここにはたしかに”これまで“と”これから“があって、読み手は、このキャラクターたちの人生を想像してしまう。それを端的に表現しているのが「キャベツを買った人」という一編だろう。 1ページ漫画「キャベツだけ買った人」 pic.twitter.com/gtB9ni96QY— 藤岡拓太郎 (@f_takutaro) 2

                                                                      藤岡拓太郎『大丈夫マン』 - 青春ゾンビ
                                                                    • シャムキャッツは”忘れていたのさ” - 青春ゾンビ

                                                                      そうだよ 僕は忘れていたのさ シャムキャッツの記念すべき全国流通盤『はしけ』の1曲目を飾っている楽曲は、執拗なまでに「忘れていたのさ」と連呼するのである。一体何を忘れてしまったのかは明言されないのだけど、彼らは、いや、“わたしたち”はたしかに何かを忘れている。わたしはなぜ生まれてきたのか、わたしはなぜ生きているのか、わたしはこれから何をすべきなのか・・・さっぱりわからない。この得体の知れない“欠落感”のようなものは、この世界に生きる人々の共通の切迫感だろう。 あの青い空の波の音が聞こえるあたりに 何かとんでもないおとし物を 僕はしてきてしまったらしい 透明な過去の駅で 遺失物係の前に立ったら 僕は余計に悲しくなってしまった とデビュー作である詩集『二十億光年の孤独』に収められたこの詩に若き谷川俊太郎は「かなしみ」と名付けている。しかし、シャムキャッツの「忘れていたのさ」という楽曲には切実さ

                                                                        シャムキャッツは”忘れていたのさ” - 青春ゾンビ
                                                                      • 最近のこと(2022/12/14〜12/21) - 青春ゾンビ

                                                                        まもなくクリスマス。柴田聡子よろしく『ホーム・アローン』を観よう。『ホーム・アローン』がフェイバリットムービーと言っていいくらいに大好きなのに、大人になったマコーレ・カルキンがケビンを演じているムービー(CM?)が2018年に公開されていたのを知りませんでした。 この国の景気がまだ少しだけましな頃、クリスマスというのはもっととびきりに特別な行事であって、12月24日をどう過ごすかというのはその1年をどう過ごしてきたかの審判を下されるような感覚であった。そんなフィーリングを見事に切り取ったのが、『ハチミツとクローバー』という作品で、こんな一節が登場する。 なんでかは解らないのだけれど アセるのだ この色トリドリの電飾や鈴の音 お前は今幸せか?居場所はあるのか ・・・と問い詰められてるよな気持ちになるのだ この竹本くんがクリスマスに鬱々とするシーンに共感で胸を痛めたものだ。若い頃は自意識が肥大

                                                                          最近のこと(2022/12/14〜12/21) - 青春ゾンビ
                                                                        • 寒竹ゆり『First Love 初恋』 - 青春ゾンビ

                                                                          どこか憤りを感じながらも一気に視聴してしまった。停止ボタンを押すことができないということは、それなりに楽しんで観ていたことは否定できないのだけど、その求心力は満島ひかりという俳優の魅力に寄るものであって、脚本自体は思いついたことを思いついた順に書き綴ったかような構成の稚拙さがどうしても目につく。このエピソードを視聴者を提示するタイミングは果たしてここで正しいのか?という疑問がひたすらに沸き立っていく不快感。一方で、その荒っぽい筆の乗り方が醸し出す濁流のような勢いが作品の魅力でもあって、視聴しながらああだこうだ感想を述べているうちに全9話約10時間があっという間に過ぎ去っていく怪作だ。劇中に何度も登場するナポリタンが食べたくなったり、ひさしぶりに宇多田ヒカルの1stアルバムを聞き直してみたり、さらには『タイタニック』(これも劇中に登場する)を観直してみたくなったりもしていて、意外と心に残って

                                                                            寒竹ゆり『First Love 初恋』 - 青春ゾンビ
                                                                          • 生方美久『silent』6~7話 - 青春ゾンビ

                                                                            <イントロダクション> ジョン・アーヴィングというアメリカの小説家がいて、彼のデビュー作『熊を放つ』(1968)の中に、 過去の恋人も君たちの親みたいなものだ と子に語る父親が登場する。さらに、RADWIMPSがアルバム『RADWIMPS 4〜おかずのごはん〜』(2006)の中で発表した「me me she」という楽曲があって、そこではこんなリリックが野田洋次郎によって歌われる。 僕が例えば他の人と結ばれたとして 二人の間に命が宿ったとして その中にもきっと 君の遺伝子もそっと まぎれこんでいるだろう RADWIMPS「me me she」 どちらも10代の頃に触れた時は「なんか気持ち悪いな」と思ったものだけど、あれから年月を重ね、人間というのはそういう風にできているような気もしている。坂元裕二のドラマ『大豆田とわ子と三人の元夫』(2021)の中では、松たか子演じる主人公が、離婚した元夫に

                                                                              生方美久『silent』6~7話 - 青春ゾンビ
                                                                            • 沖田修一『0.5の男』 - 青春ゾンビ

                                                                              『0.5の男』というドラマ、個人的にはここ数年のベスト作品として推薦したい。2023年にWOWOWで放送されていた連続ドラマなのだけど、今はU-NEXTでもNetflixでもPrime VideoでもHuluでもFODでも観られるようになっていますので、今さらですが紹介させて欲しい。今作には複数の監督・脚本がクレジットされているが、メインで統括しているのは沖田修一。『南国料理人』(2009)、『横道世之介』(2013)、『子供はわかってあげない』(2021)、『さかなのこ』(2022)など優れたフィルムを何本も献上している日本映画界のトップランカーで、個人的にも大好きな監督なわけだけども、そのフィルモグラフィーの中でも1番の輝きを放っている。『0.5の男』は一応連続ドラマなので、映画と比べるのも野暮な話なのですが。テレビドラマかつ全5話という尺の丁度良さもあって何回も観返していて、その度に

                                                                                沖田修一『0.5の男』 - 青春ゾンビ
                                                                              • 最近のこと(2023/7/14~7/20) - 青春ゾンビ

                                                                                今年の2月に引っ越しをした。大阪での3回目の住居変更になるのだが、新しい街もとても気に入っている。大阪にしては、緑や坂が多くて、感性が刺激される、気がする。これまでは職場から徒歩10分くらい都市部に住んでいて、家の周りにコンビニが数えきれないほどあり、飲食店も充実していて、あれはあれで快適だったのだけども、いわゆる住宅街みたいな場所で暮らすのも落ち着きがあって悪くないなと思う。というわけで、ひさしぶりに家から駅まで歩いたり、電車に揺られたり、ターミナル駅で乗り換えたり、と“通勤”というものを体験している。絶望だ!と思いきや、本当にすぐに通勤そのものには慣れたのだけど、単純に自由時間が少なくなったので、ブログを更新する気力が減少していました。先日、ひさしぶりに文章を書いてみたら楽しくて、なんでもいいから書きたくなったので、「最近のこと」を更新してみる。 7月14日 有給休暇を申請していたので

                                                                                  最近のこと(2023/7/14~7/20) - 青春ゾンビ
                                                                                • 最近のこと(2021/09/01~09/07) - 青春ゾンビ

                                                                                  大阪に来て1年以上があっという間に過ぎていった。大阪という街はとても気に入っていて、このままここに住んでもいいとさえ思っている。しかし、仕事には疲弊していて、どうにも文章が書けない日々が続いている。しかし、書かないとどんどん書けなくなるのが文章。せめて日記くらいは続けていけないものか試してみようと思う。最近は、日記のようなものを好んで読んでいる。大岡昇平『成城だより』だとか三輪亮介『生活記録』とか。やっぱり日記というのは良いのだ。1980年頃に書かれた『成城だより』を読んでいて、そこにちりばめられた固有名詞が煌めいたままであることにはたいへん勇気づけられた。何を読んで、何を観て、何を聴いて、何を食べたか・・・そういったものを書き記すだけでもその人の思考のようなものがぼんやりと形作られるということ。やっぱり、しんどくて1回で終了してしまうかもしれないけども、とりあえず9月からの1週間を綴って

                                                                                    最近のこと(2021/09/01~09/07) - 青春ゾンビ

                                                                                  新着記事