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Courrierの検索結果401 - 440 件 / 612件

  • 日本メディアが反省すべきなのは「ジャニーズの性加害問題」だけではない | 米メディアのコラムニストが指摘

    これまで大きな影響力を持ってきた旧統一教会とジャニーズ事務所がその力を失うなか、米経済メディア「ブルームバーグ」のコラムニストは日本メディアに対しても反省すべきだと訴える。彼はジャニー喜多川の性加害を調査しなかったことだけでなく、旧統一教会に対する過熱報道が今後にもたらしうる影響についても指摘している。 大きな影響力を誇った2つの組織 最近の日本における、旧統一教会と芸能プロダクション「ジャニーズ事務所」の没落は、表面的には正義の勝利のように見受けられる。悪事を隠蔽するために長年にわたって強大な影響力を行使してきた2つの団体が、完全な崩壊は免れたにせよ、ついに進退窮まったのだ。 旧統一教会の解散を惜しむ国民はいないだろう。旧統一教会の創設者で救世主を自称した文鮮明(ムン・ソンミョン)にちなみ、信者が「ムーニー」と蔑称で呼ばれることも多い旧統一教会。その献金の強要に対する捜査が入り、日本では

      日本メディアが反省すべきなのは「ジャニーズの性加害問題」だけではない | 米メディアのコラムニストが指摘
    • イギリスの“事件現場清掃人”が語る「忘れられない凄惨な現場と、この仕事の最高のやりがい」 | 仕事終わりに何も食べられないことがあっても、続けられる理由は…

      事件や自殺、孤独死などにより誰かが亡くなった現場を原状回復する「特殊清掃」は、肉体的にも精神的にもタフな仕事であり、誰にでもできることではない。イギリスで特殊清掃業を営む筆者が、現場で抱くさまざまな想いや、この仕事を続けられるモチベーションを語った。 自分で特殊清掃業を始めた理由 私ははじめ、シャワーを売る仕事をしていた。その後、清掃会社の営業の仕事の面接を受ける機会を得た。試用期間中、私は自分でも清掃の仕事をやることになり、こぼれた油や下水やカビを掃除することになった。 やり始めるとすぐに、自分にはこの手の仕事がまったく苦にならないことがわかった。最終的に、私は自分で清掃ビジネスを始めることにした。 私と仕事の相棒のジョージは、2020年に起業した。当初は寝室をオフィスとして使っていたが、いまではちゃんとしたオフィスがある。15人以上のスタッフが、5台の社用車を使って常に仕事に出ている。

        イギリスの“事件現場清掃人”が語る「忘れられない凄惨な現場と、この仕事の最高のやりがい」 | 仕事終わりに何も食べられないことがあっても、続けられる理由は…
      • ChatGPTの「失言」から考える、人間との“あまりにも大きな相違点” | 哲学者とメタの専門家が提言

        人間とAIの大きな違い ChatGPT-4の前身GPT-3は、ユーザーのプロンプト(AIに対する指示)から導ける範囲のことしか理解できない。だから、プロンプト最後の数単語がなんであれ、それに対して統計的に正解の可能性が低い回答をしてしまう。 ChatGPT-4では、この点が多少改善されている。このモデルは正解の可能性が高い回答をするだけでなく、その反応は人間の評価者によって“調教”されてもいる。GPT-4がある回答をすると、人間の評価者がその回答の善し悪しを判断して、強化学習をさせる(評価者にとっては神経が疲れる、トラウマものの作業だ)。 結果としてできあがるのは、妥当性の高い回答だけでなく、(理想的には)人間が適切と評価する回答、つまり正しいとまでいかなくても、少なくとも侮蔑的ではない回答をするシステムだ。

          ChatGPTの「失言」から考える、人間との“あまりにも大きな相違点” | 哲学者とメタの専門家が提言
        • #156 香港の歌姫アニタ・ムイの伝記映画が各地で大ヒット 近藤真彦の“二股”熱愛の真相が明らかに | 香港・日本ニュース拾い読み

          香港のトップ歌手・女優で1980〜90年代アジアを代表するスターとして知られる梅艶芳(アニタ・ムイ、1963〜2003)の伝記映画『梅艶芳(アニタ)』が11月12日に香港、マカオ、中国、台湾、英国、米国、豪州で封切られ、ヒットしている。映画の見どころのひとつは、アニタと近藤真彦(57)の国境を超えた愛だ。 中森明菜との“二股”熱愛 『梅艶芳』は封切り1週間で興行収入2000万香港ドル(約3億円)を突破。分断が進む香港を生きる人たちにとっては、「香港の歌姫」「香港の娘」と呼ばれたアニタを懐かしむとともに、1970~90年代の香港黄金期が再現され、郷愁を誘う作品にもなっている。 1963年、香港の貧しい母子家庭に生まれたアニタは幼い頃から姉とともに盛り場で歌って家計を支え、18歳の時、新人歌手コンテストで優勝しデビュー。以来死ぬまでトップシンガーとして香港芸能界の第一線で活躍し続けた。 日本で

            #156 香港の歌姫アニタ・ムイの伝記映画が各地で大ヒット 近藤真彦の“二股”熱愛の真相が明らかに | 香港・日本ニュース拾い読み 
          • 話し方より「黙り方」が大事? 戦略的“沈黙”を会得するための3ヵ条 | 黙り方が9割

            トップレベルのビジネスパーソンは、意見を言うべきときと口を閉ざすべきときを心得ている。名門ウォートン・スクールの経営学専門家マイケル・パークが最新研究で明かした「戦略的沈黙」の活かし方とは。 いつ話すかより「いつ黙るか」 然るべきタイミングや活かし方がわかっていれば、ビジネスシーンにおいて「沈黙は金なり」だ。 優れた業績を誇る従業員のなかには、頭のなかに情報やアイデア、問題点などがあっても、然るべきタイミングが訪れるまで“あえて”何も言わない人がいる。そんな事実が、米ペンシルベニア大学ウォートン・スクールの経営学助教マイケル・パーク率いる研究チームが発表した最新研究で明かされた。 「戦略的沈黙(strategic silence)」と呼ばれるスキルは、上司がその従業員の意見が組織や目下の課題にとって有益だと考えていると、高く評価されることが多い。 一般的には、仕事に関する問題などが生まれた

              話し方より「黙り方」が大事? 戦略的“沈黙”を会得するための3ヵ条 | 黙り方が9割
            • 「彼を見つけなければ」─アマゾンの先住民族の“最後の希望”の捜索 | アマゾンの森は誰が権利を有しているか

              「逃亡」を続ける男 そこは見渡す限り熱帯雨林しかないような場所だったが、ブラジル政府から派遣された職員はそれを見つけた。雨風をしのぐ、にわか作りのシェルターだ。焚き火はまだくすぶっていた。2人分の足跡、2本のマチェーテ(刀身の長いなた)、そして2つのハンモックが残されていた。 「さっきまでいたんだ」。派遣された職員のひとり、ジャイール・キャンダー(63)は、ヤシの葉の覆いの下で身をかがめてそう言った。そのかたわらで、もうひとりが手早く写真撮影をおこなった。キャンダーは35年間、追跡をかわし続けてきた男の発見に全力を注いできたが、またしても先を越された。 それはピリプクラ族のタマンドゥアという男だ。彼の人生は、まさに逃亡そのものと言っていい。多くの人がその姿を執拗に追うものの、彼が逃れようとしているのは政府当局からでも、敵からでもない。彼は現代文明から逃げ続けているのだ。 タマンドゥアは、ピ

                「彼を見つけなければ」─アマゾンの先住民族の“最後の希望”の捜索 | アマゾンの森は誰が権利を有しているか
              • 脳の仕組みを知れば「人の考え方」を説得で変えられる! | 意見を聞き入れてもらうコツを伝授

                過去と他人は変えられない。 だが今ここから始まる未来と自分は変えられる──これはカナダの精神科医、エリック・バーンが残した言葉だ。 どれだけ間違っているように感じられても、他人の考え方を変えることは難しいものだ。だけど脳の仕組みを知れば、意見を聞き入れてもらえる可能性をあげることができるという。 脳は情報をどうカテゴリー分けしているのか 誰かの考え方を改めたいけれど、その人が自分の考えをまったく曲げようとしない──そんなときには「脳の働き」を理解することが助けになる。 「自分や他人の考えを変えることは、同化や融和を通して行われる複雑なプロセスです」 『考え方はどう変わるのか』(未邦訳)の著者で、科学ポッドキャスト「You Are Not So Smart」の司会者であるデビッド・マクレーニーはそう語る。 「認知的不協和を引き起こすような新しい情報に直面したとき、脳は解釈情報を更新するか、そ

                  脳の仕組みを知れば「人の考え方」を説得で変えられる! | 意見を聞き入れてもらうコツを伝授
                • 北京大学教授が分析「ロシアの敗北を不可避にする4つの要因」 | 英高級誌で激論

                  ロシアとウクライナの戦局は、どちらの側にも立たない中国からはどう読めるのか? 中露関係が専門の北京大学教授・馮玉軍(フェン・ユジュン)が、英誌「エコノミスト」で明快な主張を展開し、国際的に話題になった論考を全訳でお届けする。 ロシアとウクライナの戦争は、両国にとって悲惨なものとなっている。どちらかが圧倒的に有利なわけでもなく、それぞれの政治的な立場も完全に反目しており、この戦いがすぐに終わるとは考えにくい。 だが、明白なことがひとつある。この戦争は、冷戦後の転換点であり、世界的に重大で、永続する影響をもたらすだろうということだ。 4つのおもな要因がこの戦局に作用するだろう。 その第一は、ウクライナ人たちが示した抵抗と挙国一致の度合いであり、これはいままでのところ並外れている。 第二は、ウクライナに対する国際的な支援だ。最近は同国の期待に応えられていないものの、その支援はなお広範なものだ。

                    北京大学教授が分析「ロシアの敗北を不可避にする4つの要因」 | 英高級誌で激論
                  • 米紙が報道「軍事化が進む沖縄で、若年層は米軍基地に反対していない」 | 戦争を知る高齢者の声は届くのか

                    自衛隊で最も新しい駐屯地は、石垣島に建設された。米軍普天間基地の辺野古への移設問題で、国と沖縄県は激しく対立している。 こうした軍事化が急速に進むなか、沖縄に暮らす人々はどう考えているのだろうか。台湾有事を想定しておこなわれている避難訓練を取材しつつ、現地の人々の声と「世代間のギャップ」を米紙「ロサンゼルス・タイムズ」が深掘りした。 「日本中が危険だ」 最初の空襲警報が鳴ったとき、草で覆われた公園でうろうろしていた人々はほとんど動かなかった。5歳になるサノ・タエは母親の手をつかんだ。 周りにいる黄色いビブスをつけた人のなかには、心もとなく歩きだす人もいた。だが、本当に緊迫感が高まったのは、困惑した群衆のなかを青いユニフォームを着た男性が駆けていったときだった。 「もう一度やります」と、その男性はメガホンで叫んだ。 またサイレンが鳴り響くと、「たったいまミサイルが発射されました。ただちに避難

                      米紙が報道「軍事化が進む沖縄で、若年層は米軍基地に反対していない」 | 戦争を知る高齢者の声は届くのか
                    • 金持ちを次々とハメていく「女詐欺師」の実話物語がヒットしているワケ | ポスト・ガールボス時代の「アンチヒーロー」に

                      野心的な女詐欺師の物語はなぜヒットするのか 女詐欺師の物語への注目が「ピークに達している」と、各紙が報じている。「ネットフリックス」や「Hulu」などの動画配信サービスがこぞって女詐欺師の物語の配信に着手しているからだ。 今月より「ネットフリックス」はアナ・デルヴィー(本名:アナ・ソロキン)を、「Hulu」は来月よりエリザベス・ホームズのストーリーを配信予定だ。米誌「エスクワイア」によれば、ネットフリックスはデルヴィーに約3700万円を支払ったという。 デルヴィーは「多額の遺産を相続する予定のドイツの資産家の子女」という偽のアイデンティティで、ニューヨークの富裕層が集まる社交界に紛れ込み、彼らを手玉にとって集めたお金で豪遊するという大胆な悪行で逮捕された人物だ。 ホームズは、一時は第二のスティーブ・ジョブズと仰がれた起業家だが、「シリコンバレー史上最大の詐欺」を起こしたことで、今なお刑事裁

                        金持ちを次々とハメていく「女詐欺師」の実話物語がヒットしているワケ | ポスト・ガールボス時代の「アンチヒーロー」に
                      • 孤独やイジメの苦しみから守ってくれたのは、いつも『ONE PIECE』だった | ページを開けばルフィが冒険へ連れ出してくれる

                        「聖杯」は尾田の手書き原稿 フランス語圏には『ワンピース』を専門に配信するユーチューバーが十数名いる。エルヴェ、通称「ル・ドック」はその一人だ。「ワンピース・パッション・TV」というチャンネルを運営する。「尾田栄一郎と同い年です」と話す彼は、自分こそが「パイオニア」だという自負をのぞかせる。 「『ワンピース』系ユーチューバーのなかでは、言ってみれば自分は『白ひげ』なんです」 白ひげとは『ワンピース』に登場する重要人物だ。エルヴェはフランス北部ノルマンディー地方の田園地帯の自宅で、20平米ほど一室を自分の情熱に捧げるスタジオとしている。イケアの白のビリーの棚には、サイズやポーズ、コスチュームが百種百様の『ワンピース』のフィギュアがずらっと並ぶ。 黒の布の下をめぐれば、そこはまるで奇術師の手品台であるかのように、日本のマンガの単行本、雑誌が出てくる。ファイルも幾つかあり、そこにはアニメ版を作る

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                        • ホワイトハウスを離れたら…トランプは刑務所行きか国外逃亡か? 向き合うべきトラブルが山積み状態 | 脱税、レイプ疑惑に推定4000件の訴訟

                          ——— 2020年、クーリエ・ジャポンで反響の大きかったベスト記事をご紹介していきます。11月8日掲載〈ホワイトハウスを離れたら、トランプは刑務所行きか国外逃亡か? トラブル山積み〉をご覧ください。 ——— 「みすぼらしい法廷で証言台に立つ被告人は気まずそうだ。暗いスーツに地味なネクタイを締め、老けて見える。この1年は、76歳の元指導者にとって大失敗だった。何十年にもわたってショーマンだった彼は、数々の訴訟、数々のスキャンダルを乗り越え、威勢よく振る舞ってきた」 「だが彼はオフィスを離れると、脱税の罪で起訴された。満員の法廷の中、彼は丸まった書類の束を読み上げる。かつては考えられなかったことが実現しようとしている──この国の元指導者は有罪判決を受けるのだ」 「日付は2012年10月19日。その男は、長年イタリアの首相を務めたシルヴィオ・ベルルスコーニだった」 これは、ドナルド・トランプ大統

                            ホワイトハウスを離れたら…トランプは刑務所行きか国外逃亡か? 向き合うべきトラブルが山積み状態 | 脱税、レイプ疑惑に推定4000件の訴訟
                          • ユーザの動きがリアルに現れるFacebookメタバースで「取得した生体情報」が広告主に売られる懸念 | ウェアラブルデバイスで目や表情、身体の動きまでトラッキング

                            これまで幾度となく不祥事を起こし、「安全性よりも利益優先」という内部告発も経て、懐疑的な目で見られてきたフェイスブック。10月に社名をメタに変更し、メタバースへの注力姿勢を見せて以来、同社の株価は上昇している。 しかし、同社が現在開発するメタバースの技術には、多くの懸念点があると英経済紙は論じる。 メタバースへの大型投資を重ねるメタ社 1月18日、マイクロソフトは、アメリカトップのゲームソフト開発・販売のアクティビジョン・ブリザードを690億ドル規模で買収すると発表し、話題を呼んだ。英経済紙「フィナンシャル・タイムズ」によると、マイクロソフトCEOのサティア・ナデラは、この買収を、仮想世界を指す「メタバース」への足がかりにすると述べている。 同社をはじめとするテクノロジー大手は、メタバースなど新技術への投資と開発を急速に進めている。なかでもフェイスブックを運営するメタ社は、さらにメタバース

                              ユーザの動きがリアルに現れるFacebookメタバースで「取得した生体情報」が広告主に売られる懸念 | ウェアラブルデバイスで目や表情、身体の動きまでトラッキング
                            • 『PERFECT DAYS』ができるまで─米紙が見た「製作の舞台裏」 | 主人公は「美しい削減の象徴」

                              ヴィム・ヴェンダース監督は、なぜ最新作『PERFECT DAYS』で「東京のトイレ」を取り上げようと思ったのか? 米紙「ニューヨーク・タイムズ」が監督本人や主演の役所広司に、東京で感じた「精神性」や主人公・平山のキャラクター造形などを聞いた。 芸術的インスピレーションの観点からいえば、ふつう公共トイレは創作意欲をかき立てたりしない。もっとも、たいていのトイレは東京の公共トイレのようにはいかないものだ。 かくして、『パリ、テキサス』や『ベルリン・天使の詩』などの傑作で知られるドイツ人映画監督ヴィム・ヴェンダースは、2022年の春に初めて東京都心の公共トイレを視察した。そして安藤忠雄、坂茂、隈研吾などがデザインし、監督自身が「小さな宝石」と称するそれらの建築物に魅了されることとなった。 東京のスタイリッシュな公共トイレから生まれた彼の最新作『PERFECT DAYS』は、アカデミー賞国際長編映

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                              • ウクライナ人歴史学者セルヒー・プロヒー「この戦争の行き着くところはもはや明らかだ」 | この戦争の根本的原因は? ロシアに接近したドイツの責任は?

                                ウクライナを代表する歴史家の一人であるセルヒー・プロヒーは、自身のキャリアのすべてをかけて、祖国の劇的かつ魅力的な歴史を紐解き、その歴史を「帝国による誤読」と自身が呼ぶものから解き放たんとしてきた。 ロシアの都市ニジニ・ノヴゴロドに生まれ、ウクライナで育ち、アメリカとウクライナの二重国籍を持つプロヒーは、2013年よりハーバード大学ウクライナ研究所の所長を務めている。 マサチューセッツ州ケンブリッジのオフィスからスペイン紙「エル・パイス」の取材に応じたプロヒーは、もともと著書『ヨーロッパの門 ウクライナの歴史』(未邦訳)について語るはずであった。本書は、紀元前5世紀のギリシャ人歴史家ヘロドトスによって初めて残された黒海北部の平原、山間、森林についての記述から、2014年のロシアによるクリミア併合とドンバス地方の一部占領に至るまでの長大な歴史を扱っている。 だが、ウクライナの現状に突き動かさ

                                  ウクライナ人歴史学者セルヒー・プロヒー「この戦争の行き着くところはもはや明らかだ」 | この戦争の根本的原因は? ロシアに接近したドイツの責任は?
                                • 精神疾患患者を「地元住民の家」に寄宿させる─ベルギーの小さな町で800年続く伝統 | 精神疾患を「個性」として受け入れる

                                  Text by Matina Stevis-Gridneff and Koba Ryckewaert Photos by Ilvy Njiokiktjien ベルギーのヘールという町では、精神疾患のある人々が地元住民の家で一緒に暮らすという、13世紀以来続くユニークな伝統がある。精神科病院における患者への対応が問題視されるいま、この町のアプローチが施設収容に代わる人道的な手法として注目を集めている。 他人と暮らす穏やかな日々 ヨシフがこの世に誕生してからの53年間は、トラウマ、精神疾患、そして精神科病院への入院という苦難の連続だった。 生まれ故郷のルーマニアからベルギーへの亡命を謀ったが失敗し、その後も離婚や経済的苦境を経験した。精神疾患は彼の人生に数々の危機をもたらし、しばしば手に負えないほど深刻な状況に陥った。 しかしいま、大きなガラス戸越しに森を臨むダイニングに座っているヨシフは、穏

                                    精神疾患患者を「地元住民の家」に寄宿させる─ベルギーの小さな町で800年続く伝統 | 精神疾患を「個性」として受け入れる
                                  • ハーバード・ビジネス・スクールの人気教授が語る「幸福とは“4つの習慣”にもとづくプロジェクトだ」 | 幸福とは「感覚」ではない

                                    社会科学者のアーサー・C・ブルックス(59)は、幸せな男ではない。だからこそ、自分の研究分野に「幸福」を選んだのだと彼は言う。 ブルックスは31歳のとき、ホルンのソリストとしてのキャリアを捨て、公共政策学の博士課程に進んだ。現在、彼は世界で最も高名なビジネススクールのひとつであるハーバード・ビジネス・スクール(HBS)で、幸福とリーダーシップについて教えている。 ブルックスは米誌「アトランティック」のコラムニストであり、ベストセラー作家でもある。また、米共和党のシンクタンクであるアメリカン・エンタープライズ研究所の所長を11年にわたって務めた経歴を持つ。 不安やストレスの多い現代で、どうすれば「幸福な人生」を築けるのか。スペイン紙「エル・パイス」がインタビューした。 ──哲学者のジュリアン・マリアスは、幸福とは「必要な不可能」であると述べています。あなたにとっての幸福とはなんでしょうか?

                                      ハーバード・ビジネス・スクールの人気教授が語る「幸福とは“4つの習慣”にもとづくプロジェクトだ」 | 幸福とは「感覚」ではない
                                    • フランスで人気の“管理職トレーナー”が伝授 「会議で大事なのは最初の5分間です!」 | リーダーの孤独は運命なのか…?

                                      ビジネスに特化したSNS「リンクトイン」で6万人以上のフォロワーを持つコンサルタントのリュドヴィク・ジロドン。母国フランスでベストセラーとなった著書『ドリーム・チーム』(未邦訳)では450人ものビジネスリーダーを取材し、マネジメントの知見を体系的に示した。 多すぎる会議、退職を告げる部下……。悩めるマネジャー(管理職に就くリーダーや経営者)がまずすべきことは何なのか。ジロドンが仏誌に語る。 リーダーは「上から目線の専門家」ではない ──あなたの本には「誰もがマネジャーに向いているわけではない」とあります。マネジャーに向いている人とそうでない人はどこで見分けられますか。 会社の規模や業種にかかわらず、どこにでも良いマネジャーと悪いマネジャーがいます。 マネジメントの基本は、他人を愛することです。人々の話を聞き、彼らに関心を持つこと、彼ら自身というよりも彼らの問題に関心を持つのです。そのために

                                        フランスで人気の“管理職トレーナー”が伝授 「会議で大事なのは最初の5分間です!」 | リーダーの孤独は運命なのか…?
                                      • 映画『オッペンハイマー』で広島と長崎が「脚注」に追いやられた理由 | 原爆の残虐性を描かなかったのは「金銭的判断」

                                        話題作『オッペンハイマー』がようやく日本でも公開された。2023年夏に米国で封切られた当初から、原爆投下後の広島・長崎の惨状や被災者の描写がないことの是非が議論されていた作品だ。 パリ政治学院で教える歴史学者のポール・ハムは、この映画で日本の被害が描かれなかったことを批判し、その判断の裏にあるハリウッドの思惑を指摘する。 アカデミー賞に現れた「亡霊」 2024年のアカデミー賞授賞式には日本人少女の亡霊がいたが、誰も彼女に気づかなかった。 舞台袖に座っていた彼女の顔はただれ、血液は毒され、皮膚には無数の移植の跡があり、心にも傷を負っていた。すべてはJ・ロバート・オッペンハイマーがしたことの直接的な結果である。 アカデミー賞では彼の生涯を映画化した『オッペンハイマー』が最多7部門を受賞する栄誉に輝いた。しかし、この作品は、原爆投下の決定における彼の重大な役割と、それが引き起こしたすべての死と破

                                          映画『オッペンハイマー』で広島と長崎が「脚注」に追いやられた理由 | 原爆の残虐性を描かなかったのは「金銭的判断」
                                        • 血に染まるブラジルの刑務所に秩序をもたらした犯罪組織「PCC」の実態 | 彼らは「救世主」か「人殺し」か

                                          レイプから盗難まで、「彼ら」はなんでも「解決」してくれる 警察の目を遠ざけ、何者も彼らの麻薬取引に損害を与えることがないように、PCCは独自の精巧な司法システムを作りだし、刑務所内外で適用している。システムは3本の柱からなる。 1. 被告は自らを弁護する権利がある。 2. 許可なしに人を殺してはならない。 3. 陪審員は、合意に至るまで話し合うこと。彼らはあらゆる種類の口論でも解決する。 こう語るロドリゴ(偽名)は、42歳の映画監督だ。彼はサンパウロにあるファベーラに住んでいる。地下鉄も通らないこの地区には28万人が暮らす。こうした地区では、警察は信用されていないのだとロドリゴは言う。もめ事はPCCのやり方で解決される。 「すべてが『兄弟』たちのおかげで片づいてる。警察に電話するかって? まさか。そういう話はPCCに持っていくね。いろんな種類の問題が持ち込まれるんだ。レイプからテニスシュー

                                            血に染まるブラジルの刑務所に秩序をもたらした犯罪組織「PCC」の実態 | 彼らは「救世主」か「人殺し」か
                                          • 「気力のスイッチは、切らないと入れることはできません」 | 岸見一郎 25歳からの哲学入門

                                            【今回のお悩み】 「人生に疲れてしまって気力が出ません」 これまで仕事に熱心に取り組んできたのに、突然やる気を失ってしまった。モチベーションを保てなくなってしまったとき、どうしたらいいのでしょうか。哲学者の岸見一郎先生に聞いてみました。 仕事がたくさんあって忙しい毎日を送っていると疲れないわけはなく、もう何もしたくなくなることがあります。それでも、「人生」に疲れるのではありません。「仕事」に疲れるのです。 仕事を辞めれば、疲れは取れるでしょう。しかし、仕事を辞めたら生活していけなくなるので、それは現実的な選択肢にはなりませんが、ひとまず立ち止まるしかありません。気力のスイッチは、切らないと入れることはできません。 「疲れて気力が出ない、どうしたらいいか」と相談したら、誰もが仕事を休んだらいいと助言するでしょう。そんなことはいわれるまでもなく、わかっていると感じるかもしれません。何のためらい

                                              「気力のスイッチは、切らないと入れることはできません」 | 岸見一郎 25歳からの哲学入門
                                            • イスラエル戦時内閣の内部で衝突する「軍人の論理」と「政治家の論理」 | 薬師寺克行「今月の外交ニュースの読み方」

                                              3人で構成されるイスラエル戦時内閣のメンバー2人が相次いで、「ハマス掃討後のガザ地区の統治計画を作るべきだ」と述べて、軍事侵攻のみに終始するベンヤミン・ネタニヤフ首相の対応を批判した。 ネタニヤフは「ハマスの敗北までは戦後についての議論は無意味だ」などと反論し、方針を変えるつもりはないようだ。 2023年10月7日のハマスによる攻撃以来、国家の危機を乗り切るべく挙国一致を掲げてガザ侵攻を続けるネタニヤフ政権だが、いまや完全に内部分裂している。 ネタニヤフを公然と批判したのは、首相と同じ与党「リクード」に所属するヨアブ・ガラント国防相と、野党第一党の「国民統一党」党首で首相の政敵でもあるベニー・ガンツ前国防相だ。 ガラントは5月15日のテレビ演説で、イスラエル軍によるガザ支配を否定し、ハマスに属さないパレスチナ組織と国際組織による統治がイスラエルの利益にもなると主張した。 そのうえで、「ガザ

                                                イスラエル戦時内閣の内部で衝突する「軍人の論理」と「政治家の論理」 | 薬師寺克行「今月の外交ニュースの読み方」
                                              • 茹でるよりも簡単で美味! 「サルシッチャとグリーンピースの焼きニョッキ」 | 【レシピ】Crisp Gnocchi With Sausage and Peas

                                                サルシッチャとグリーンピースの焼きニョッキ 作り方 1 直径約30cmの大きなフッ素樹脂加工のフライパン、またはよく油をなじませた鉄のスキレットにオリーブ油大さじ1を入れ、強めの中火にかける。ニョッキを(くっついているものがあればバラバラにしながら)フライパンに入れ、重ならないように並べる。ふたをして、いじらずに片面がきつね色になるまで2〜4分焼く。上下を返すようにかき混ぜながら、全体がカリッと色づくまでさらに2〜3分焼く。ニョッキが焦げたり、フライパンの油分が足りないようなら、必要に応じて油を足す。ボウルまたは皿に取り出す。 2 同じフライパンに残りのオリーブ油大さじ2を入れ、強めの中火にかける。サルシッチャを入れ、いじらずに、色づくまで2〜4分焼く。上下を返すようにかき混ぜ、サルシッチャに火が通るまでさらに2〜4分焼く。 3 グリーンピース、マスタード、水1/2カップを加え、底にこびり

                                                  茹でるよりも簡単で美味! 「サルシッチャとグリーンピースの焼きニョッキ」 | 【レシピ】Crisp Gnocchi With Sausage and Peas
                                                • 仏経済学者が断言「米国や中国で脱成長論を真に受ける人はいない」 | 経済を成長させつつ温暖化も解決すべき

                                                  「脱成長」とは、気候変動や格差を生む資本主義から脱しようという考え方だ。これはフランスの経済哲学者であるセルジュ・ラトゥーシュが提唱した理論だが、同じくフランスで著名な経済学者のオギュスタン・ランディエは、脱成長を唱えすぎるのも問題だと指摘している。仏誌「ル・ポワン」がインタビューした。 「脱成長」は本当にいいものなのか? オギュスタン・ランディエはフランス屈指の経済学者の一人だ。パリ高等師範学校卒業後、数学と哲学の大学教授資格を取得し、その後、マサチューセッツ工科大学(MIT)で経済学の博士号を取得した。現在はHEC経営大学院(パリ)のファイナンスの教授である。この人が発言するときは、耳を傾けたほうがいい。 そんなランディエが昨今、憂慮するのは、フランスの論壇で「脱成長」を説く論者が幅を利かせていることだ。 ランディエに言わせれば、「脱成長」を論じる自虐的な傾向はフランス独特なものであり

                                                    仏経済学者が断言「米国や中国で脱成長論を真に受ける人はいない」 | 経済を成長させつつ温暖化も解決すべき
                                                  • 「まるで地獄絵図…」 ガーナはいかにしてファストファッションの“墓場”にされたか | 古着のごみの山がもたらす環境汚染

                                                    アフリカ西部ガーナの首都アクラが、古着のごみであふれかえっている。大半が先進国から送られてきたものの、質が悪くて売れなかった古着だ。不法投棄された衣料の山は深刻な環境汚染をこの地にもたらし、それはまるで地獄絵図の様相を呈している──。 「死んだ白人の服」 ある晴れた日の午前、イベット・ヤア・コナドゥ・テッテ(30)はガーナのボルタ川を力強く泳いでいた。青緑色の水面にしぶきはほとんど上がらない。史上初めて40日間で450キロの距離を泳ぎ切るという彼女の挑戦は、最終コーナーにさしかかっていた。 このミッションは壮大だが目的がある。水中に何があるかを探り、ガーナの環境汚染に対する認識を高めることだ。 泳ぐテッテの後を、「恐れない女」と名付けられたソーラーボートが追いかける。クルーが道中で空気や水のサンプルを採取し、汚染度を分析するためだ。 この泳ぎをきっかけに、地球上で最も汚染された水域のひとつ

                                                      「まるで地獄絵図…」 ガーナはいかにしてファストファッションの“墓場”にされたか | 古着のごみの山がもたらす環境汚染
                                                    • 英紙が憂慮…日本が誇る「質の高いおもてなし」が劣化していく | 行列はのび、注文は来ない…

                                                      深刻な労働力不足によって、日本の小売店や飲食店は質の高いサービスを維持することが難しくなっている。これまで、便利さや快適さを当たり前のように享受してきた日本人も変わらざるをえないと、英紙は指摘する。 ある日曜日、郊外の広々としたレストランは、朝食をとりにやってきた地元客で賑わっていた。 サービスはのんびりとしたもので、パンケーキが運ばれてきたときには、人類に原始の時代から備わる「ありがたい!」という気持ちがわき上がってきた。注文から実に22分が経過していた。 イタリアのジェノバか、ギリシャのサントリーニ島といったリゾート地ならまだわかる。だがスローフードを体現したようなこのレストンランは、横浜近郊にあるマクドナルドなのだ。 日本のサービスの質は強み、かつ弱み マクドナルドの従業員は、何も意図的にゆっくりと働いているわけではない。むしろ店側は申し訳なさそうだった。店がすこぶる繁盛しているのに

                                                        英紙が憂慮…日本が誇る「質の高いおもてなし」が劣化していく | 行列はのび、注文は来ない…
                                                      • 英紙が指摘、ジャニーズ叩きをする日本が見過ごす「より深刻な課題」(クーリエ・ジャポン) - Yahoo!ニュース

                                                        2023年9月7日に記者会見でコメントするジャニーズ事務所新代表取締役社長の東山紀之と、前社長で代表取締役の藤島ジュリー景子 Photo: Tomohiro Ohsumi / Getty Images 故ジャニー喜多川による性加害問題が明るみに出て、企業の「ジャニーズ離れ」が進んでいる。この問題は故人による許され難い行為として糾弾が続くが、その一方で見過ごされていることがあると、英紙「フィナンシャル・タイムズ」は指摘する。 【画像を見る】ジャニーズ事務所は変われるのか? 芸能界を揺るがす「性加害スキャンダル」日本の芸能界を揺るがす性加害スキャンダルを受けた記者会見で、56歳の元男性アイドルグループメンバーは、こう尋ねられた。「自身がハラスメントをした認識、またはそのような指摘を受けたことはあるか」と。彼は日本で最も影響力の強いタレント事務所の責任者である。 「直接指摘を受けたことはありませ

                                                          英紙が指摘、ジャニーズ叩きをする日本が見過ごす「より深刻な課題」(クーリエ・ジャポン) - Yahoo!ニュース
                                                        • 気候変動による「世界の終焉への道」はコンクリートでできている | 建設材料の「動き」を知れば、世界の流れが見えてくる

                                                          日々の生活でコンクリートを意識することはあまりないかもしれない。だが私たちの生活の質を大きく向上させたのは、コンクリートだ。その一方で、自然の驚異から人類を守ってくれるコンクリートは、環境に大打撃を与える存在でもあった。 この記事を読んでいる読者はほぼ間違いなく、体が直接コンクリートに触れているか、コンクリートに触れている別のものに触れているか、どちらかのはずだ。コンクリートは、人間が作り出したありとあらゆる人工物の総重量の46%を占めている。とはいえ、そのほとんどはありふれた風景に溶け込んでいて目立たない。 私たちはコンクリートに囲まれて暮らし、働き、コンクリートの上を歩き、運転する。コンクリートジャングルを動き回るその姿は、初めて森のなかを散策する都会の子供と似ている。形状や色は目に入っても、すべてがどのように繋がり合っているのかに思いを馳せることはあまりない。 人間がいるところには必

                                                            気候変動による「世界の終焉への道」はコンクリートでできている | 建設材料の「動き」を知れば、世界の流れが見えてくる
                                                          • 亡命しても暴力のトラウマは消えない 台湾に逃れた香港民主活動家たちの今 | 中国の影に怯え、不眠・フラッシュバック

                                                            台湾人権協会によれば、2019年、犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを可能にする「逃亡犯条例改正案」の反対デモに参加し、香港から台湾に亡命した人々はおよそ200人にのぼる。その多くは若者たちで、彼らはいまだに悪夢にうなされ、暴力のトラウマに苦しんでいる。 暴力のトラウマと逃げたことへの罪悪感 夜はかつてテッド(22歳、仮名)の最大の敵だった。 香港における抗議活動の最前線から台湾の台北に逃げてきたテッドは、何ヵ月も前から悪夢に悩まされていた。光るリングの中に閉じ込められている夢では、彼の横で仲間の抗議者たちが警察に殴られ、拷問され、レイプされていた。だが、彼は動けない。ただ見守ることしかできなかった。 テッドは、小さな二段ベッドの上で叫びながら目を覚ますと、冷や汗をかいていた。 香港では2019年、犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを可能にする「逃亡犯条例改正案」に反対する大規模な抗議活動がお

                                                              亡命しても暴力のトラウマは消えない 台湾に逃れた香港民主活動家たちの今 | 中国の影に怯え、不眠・フラッシュバック
                                                            • 生徒の3分の2が「障がい者」─「逆インクルージョン」の学校ってどう? | ここでは、障がいがあるほうが「普通」

                                                              フランス、トゥールーズ・ロートレック校の生徒たちは、3分の2が障がいを抱え、3分の1が健常者。世間一般での多くの場合とは異なり、ここで「インクルージョン」されるのは、健常者のほう。そこではどんな景色が見えるのか。なぜ、障がいのない生徒たちもこの学校を選ぶのか──。 朝、ノエミ・ウード・カイユはいつものようにクラスの子供たちに「気分カード」を選ばせている。この日、ヨアンは「疲れている」、ミリアムは「眠たい」、トマは「心穏やかで幸せ」を選んだ。最前列のアクセルは迷うことなく、「楽しい嬉しい元気いっぱい」。 電動車椅子に乗るこの少年は、専用のキーボードにゆっくりと言葉を入力していく。彼は発声に障がいを抱えているが、それでも問題に答えようと努め、文法問題はスクリーン上で完璧にこなす。いたずらっぽい目をした笑顔の彼は「いつも自分の考えを持っている、陽の光のような存在」だとウード・カイユは語る。 クラ

                                                                生徒の3分の2が「障がい者」─「逆インクルージョン」の学校ってどう? | ここでは、障がいがあるほうが「普通」
                                                              • 東京オリンピックから利益を上げられず、時代の変化に適応できない電通の苦悩 | 追い討ちをかけたパンデミックと巨額の損出

                                                                時代の変化にうまく適応できない電通 日本のテレビのゴールデンタイムに、オリンピックと連動したキャンペーンが初夏にようやく流され始めた直後、電通は、投資家に8億ドルもの巨額の利益が期待できると伝えた。 長年、日本で最も強力な企業の一つであった電通にとって、この巨額利益は、残念ながら電通のコア事業や成長見通し、そして電通が中心に関わってきたものの延期された東京オリンピックとは何の関係もない。 それは東京にある電通の本社ビルを30億ドルで売却したことによるものだ。そのビルは48階建ての象徴的なビルで、550億ドル規模の日本の広告市場における電通の卓越したシェアにふさわしい建造物だった。

                                                                  東京オリンピックから利益を上げられず、時代の変化に適応できない電通の苦悩 | 追い討ちをかけたパンデミックと巨額の損出
                                                                • 日本の伝統芸能界に挑む2人の女性狂言師にフランス紙が注目 | 舞台上の女性差別は「時代錯誤だ」

                                                                  日本伝統の舞台芸術において、いまだに女性たちは肩身が狭い思いをしている。フランス「ル・モンド」紙が、旧態依然とした狂言の世界に切り込んだ。 能や歌舞伎や文楽に女人禁制の決まりが、はっきりした形であるわけではない。だが日本の伝統芸能の世界では、女性が舞台に立つのを禁じることが数世紀にわたって伝統とされてきており、現在もそれが根強く残る。 そんな男性支配の世界に突破口を開こうとしてきたのが、19代続く狂言師の家に生まれた和泉淳子と三宅藤九郎の姉妹である。和泉流宗家の和泉元彌の姉である三宅藤九郎は、日本の伝統芸能の世界について「変わることに反対はしていないが、変えていこうともしていない」と評する。 狂言はもともと猿楽という中国から渡ってきたとされる民衆芸能に端を発する。能とは密接な関係があり、どちらのジャンルも14世紀に成立した。狂言は能と能のあいだに滑稽な寸劇として演じられることが多いが、狂言

                                                                    日本の伝統芸能界に挑む2人の女性狂言師にフランス紙が注目 | 舞台上の女性差別は「時代錯誤だ」
                                                                  • エヌビディアを世界一革新的な企業へと導いた「創業者のビジョンと信念」 | ジェンスン・フアンCEOに独占インタビュー

                                                                    「革命」を促すエヌビディア 「1920年代には、水がジェネレーターに入り、直流電力が作られていました。いまは電子がジェネレーターに入ると、知性が出てきます」 エヌビディアの最高経営責任者(CEO)であるジェンスン・フアンはそう語る。シリコンバレーの本社を訪れた筆者の目の前には、AIを支えるエンジンとなる「エヌビディア DGX H100」が置かれていた。 この箱型機器には非常に高速のプロセッサや、他の最先端コンポーネントが詰まっている。50万ドル(約7784万円)もするが、新しいAI体験を実現するために大企業やスタートアップ、大学などで使用されるスーパーコンピュータの基礎的な構成要素となっている。 エヌビディアのハードウェアによって動くAIは、かつての電気がそうしたように人々の日常生活を大きく変える。しかし、現在のエヌビディアの影響力はどちらかといえば、充分理解されていない。AI半導体の市場

                                                                      エヌビディアを世界一革新的な企業へと導いた「創業者のビジョンと信念」 | ジェンスン・フアンCEOに独占インタビュー
                                                                    • 【解説】西カトリック教会で性的虐待の被害者数が数十万人に上った理由 | スペイン初の大規模調査で推計

                                                                      スペインのカトリック教会関連の場所で過去に性的虐待を受けたことがある成人は推計で44万人ほど、そのうち聖職者や信徒による虐待の被害者となったのは23万人ほどに上る可能性があることが、10月27日、スペイン下院に提出された調査報告から明らかになった。 スペイン・カトリック教会内にはびこる小児性愛の問題について2018年から独自に調査を始め、入手した被害者のデータをすべて今回の調査にも提供したスペイン大手紙「エル・パイス」が今回の報告について報じている。

                                                                        【解説】西カトリック教会で性的虐待の被害者数が数十万人に上った理由 | スペイン初の大規模調査で推計
                                                                      • ドイツの連立政権が一つにまとまれるのは「進歩的な政権」という理想のためだ | マイノリティにやさしい政策を約束

                                                                        キリスト教系の保守政党を率いていたメルケル首相が退任し、新政権が発足したドイツ。新政権下ではマイノリティにやさしいリベラルな社会政策が多く約束され、今後ドイツ社会が大きく変わることが見込まれるという──。 マイノリティにやさしい新政権 ドイツの新しい連立政権は、税金、年金、気候変動などあらゆる分野で政党間での合意を形成するのに苦労していた。しかし、ある一点が共通点として異なる政党を結びつけている。この数十年のドイツにおいて、社会的にもっとも進歩的な政権になりたいという思いだ。 すでに公開されている連立協定には、マイノリティに良い影響を大きく与える可能性のある政策が幅広く盛り込まれている。その対象となるのは移民、子供を持つレズビアンカップル、トランスセクシャルなどだ。 緑の党のLGBTQ+ロビー団体「クイア・グリュン」の広報官であるグレタ・ガーリヒスは、「喜びをおさえきれません。多くのクィア

                                                                          ドイツの連立政権が一つにまとまれるのは「進歩的な政権」という理想のためだ | マイノリティにやさしい政策を約束
                                                                        • 21世紀の「社内恋愛」心得─キャリアにも職場にも禍根を残さないために | 米英「オフィスロマンス」事情の変遷

                                                                          職場での恋愛関係は上手く行けばやる気も生産性も上がるようだが、下手をすると……。米英の「社内恋愛」事情の変遷を、米経済メディア「ブルームバーグ」がたどりつつ、その心得を識者に聞く。 ポリー・アロースミスは母を看取るため、自分の経営するIT企業を休職することになった。そこでひとりの男性従業員に休職中のことをよろしくと頼んだ。 彼女がいないあいだ、彼にやってもらう大きな仕事がひとつあった。パフォーマンスの低いスタッフのひとりを、解雇手当の支払いが必須になる期日の前に解雇することだ。彼はすぐ承諾したが、言っていないことがひとつあった。そのスタッフと密かに付き合っていたのだ。 アロースミスが数ヵ月後に復職してみると、驚いたことに、そのスタッフは解雇されていなかった。彼は自分の愛する女性をどうしてもクビにできなかったのだ。つまり、アロースミスが彼女を解雇しなければならず、しかも多額の解雇手当をしぶし

                                                                            21世紀の「社内恋愛」心得─キャリアにも職場にも禍根を残さないために | 米英「オフィスロマンス」事情の変遷
                                                                          • ミレニアル世代の「中年危機」はこれまでとどう違うのか? | お金も時間もないのが逆に幸いかも…

                                                                            「中年危機」とはどんな危機で、何歳くらいで直面するものなのか? ミレニアル世代が四十路に入りつつあるいま、米経済誌「ブルームバーグ・ビジネスウィーク」が、先の世代と比べながら、これからの中年危機について考察する。 2023年には360万人のアメリカ人が40歳を迎える。「ミレニアル世代」の第三陣がこの節目に到達するのだ。 だがこの集団は、40、50代でド派手なボートを買ったり、出世階段から飛び降りてバリ行きのフライトを予約したりした親たちのようには反逆しないだろう。 離婚することもなければ(そもそも結婚していない)、タトゥーを入れることもない(すでに入れている)。むしろこの世代は、中年危機をまた違った形で経験することになる。というか、それ以外の選択肢があるほどの余裕がないのだ。

                                                                              ミレニアル世代の「中年危機」はこれまでとどう違うのか? | お金も時間もないのが逆に幸いかも…
                                                                            • AI社会の預言者レイ・カーツワイル「AIは医療を厳密な科学に変える」 | テック楽観主義者が英誌に寄稿

                                                                              コンピュータが全人類の知能を超える「シンギュラリティ(技術的特異点)」が2045年にやってくると予見した、発明家のレイ・カーツワイル。 テック楽観主義者と呼ばれる彼は、昨今のAIに関する議論について「大事なことを見落としている」と英誌「エコノミスト」に書く。その理由とは──。 AIが実世界にもたらす3つのインパクト 今日産まれた子供たちが幼稚園に入るころには、科学から創作にわたりあらゆる認知的作業において、おそらく人工知能(AI)が人間の能力を超越しているはずだ。 2029年までに我々はこうした汎用人工知能(AGI)を手にすることになるだろう──私がそう初めて予言した1999年、ほとんどの専門家は私が小説家にでも鞍替えするつもりなのかと笑ったものだ。 だが、ここ数年で目覚ましいブレイクスルーが何度も起こり、いまや多くの専門家が、我々はもっと早くAGIを手にすると考えている。当時は夢のような

                                                                                AI社会の預言者レイ・カーツワイル「AIは医療を厳密な科学に変える」 | テック楽観主義者が英誌に寄稿
                                                                              • 米国が「少子化対策」に膨大な投資をしなければいけない理由 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」

                                                                                この記事は、ベストセラーとなった『the four GAFA 四騎士が創り変えた世界』の著者で、ニューヨーク大学スターン経営大学院の経営学者であるスコット・ギャロウェイによる連載「デジタル経済の先にあるもの」です。月に2回お届けしています。 人類の起源は30万年前にさかのぼる。以来、長きにわたり人類の大半は30代前半までしか生きられず、深い裂傷や骨折は死の宣告に等しかった。だが1800年頃に、状況は一変した。富、平均寿命、そして人口が爆発的に増加したのだ。過去200年間で、一人当たりGDPは15倍になり※1、私たちは今や曾祖父母の2倍長生きし、人口は10億人から80億人へ、8倍にも増加している。 1798年、トーマス・マルサスは世界的な人口増加による人類の終末を予言した※2。だがその予言は外れた。私が子供の頃、マルサスの時代から人口が4倍になった後、ポールとアン・エーリックが『人口が爆発す

                                                                                  米国が「少子化対策」に膨大な投資をしなければいけない理由 | スコット・ギャロウェイ「デジタル経済の先にあるもの」
                                                                                • ダヴィッド・ル・ブルトン 「超接続社会のなかで“会話”はもはや消滅しつつある」 | 私たちはスクリーンを礼拝しているのか?

                                                                                  道を歩いているときですら、人々はいつもスクリーンを見ている。私たちはかつてなくコミュニケーションをとっているが、集まって語らい合うことはかつてなく少ない。 仏紙「ル・モンド」に掲載された社会学者ダヴィッド・ル・ブルトンの“嘆き”は、「ながらスマホ」で失われるものが何か、気づかせてくれる──。 目の前の人はもはや重要でない 現代世界は「超接続」の状態にあり、顔をつき合わせた会話は少なくなっている。相手の表情にも目を向けながら、誰かの話を注意深く聞く機会が減っているのだ。会話をより豊かなものにしてくれる人との交流も、やはり稀なものになった。 実際、誰かと一緒にいたとしても、その人がスマートフォンの着信音を聞いた途端に、たとえそこに居たとしても、突然に姿を消してしまったようになり、会話が途切れてしまうというのはよくあることだろう。何かメッセージが届いていないかと、ことあるごとにスマートフォンをポ

                                                                                    ダヴィッド・ル・ブルトン 「超接続社会のなかで“会話”はもはや消滅しつつある」 | 私たちはスクリーンを礼拝しているのか?